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第57話 成長していたようです

 冬の特に寒い日。街並みを照らしていた太陽が傾いて、影を細長く地面に落とす。昼間の暖かさはなくなっていき、より一層の肌寒さを感じさせる。


 そんな中、俺は高校の制服に身を包み、高校から家に帰っている途中だ。そして俺の隣には一人の女子生徒がいる。


 その時の俺と彼女との間にはぎこちないながらも、暖かで確かなものがあった。


 だが、これは夢だ。この世界に来てからは初めて見るが、この世界に来る前は良く見ていた。


 だからこそ、俺はこのあとに起こる事を知っている。


 隣りにいる彼女は、俺にとって心の支えであり、俺が好意を寄せている人だ。それに気付いた時はもう遅かったが。


 そろそろ問題の交差点だ。


 この交差点で彼女は死ぬ。それも俺のせいで。


 俺は夢の中だから助ける事が出来るのではないかと試みてきた。だが、夢は自分の記憶が見せてくるものだ。当然のように助ける事は出来なかった。


 彼女は暴走して突っ込んできた車から俺を助ける為に自分を犠牲にした。


 俺は、重傷を負った彼女の元に駆け寄って名前をずっと呼び続けた。


 "シオリ"と。


 その時彼女が何かを言った気がして聞き返したが、それは叶わず彼女はそれっきり動かなくなった。


 俺は涙する。酷い喪失感に襲われ、何もかもがどうでも良くなる。


 そして、いつもそこで目を覚ますのだ。



◇◆◇◆◇



 俺は少しずつ目をあける。部屋の光が眩しい。


「あれ?起きた?おはよー!元気だったー?あ、結構怪我してたし元気じゃなかったか」


「…………ちょっと待て。なぜお前がそこにいる?」


 俺がいるのは勇者と戦う前に使った魔王城のべッドの上。あれから誰かが運んでくれたのだろう。


 そして、そのベッドの隣にいるのはあのクソ女神。どうしてお前がそこにいるんだよ……。


「私?私はあなたに呼ばれた気がして来たんだけど。でも来てみたら貴方寝てるし、とりあえず起きるまで待ってようかなって思ってね」


「……俺がお前を呼んだ?そんな馬鹿な。どうやって寝てる間に呼ぶんだよ。それに俺のレベル足りてないだろ」


「それならステータス見てみたら早いんじゃない?あ、それとこの世界のステータスの表示いじっといたから少しは見やすくなってると思うよ?」


「そんなことしていいのかよ……」


「私は女神よ?この世界の概念を操作するくらい許されるし」


「中々に横暴な女神だな……。まぁ今はステータスの確認が先だ。こいつにツッコんでたら話が進まん」


 とりあえず、ステータス。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Lv.60

HP:10000

MP:6000


【魔法】

炎魔法・火炎魔法・水魔法・土魔法・風魔法・闇魔法・光魔法・雷魔法・氷魔法・時空魔法・回復魔法・浄化魔法


【創作魔法】

嵐魔法


【スキル】


〖生活補助系スキル〗

言語理解・創造・マジックボックス・鑑定・念話・マップ・聞き耳・整体師・千里眼・触手・推理・対話・料理上手


〖戦闘補助系スキル〗

威圧・炎無効・自己再生・衝撃無効・完全感知・以心伝心・共有・状態異常耐性・魔力転化・硬化・超硬化・重量操作・衝撃波・魔法継承・スキル封印・思考加速・スキル削除・思考破棄・痛覚遮断・思考解読


〖身体強化系スキル〗

筋力強化・筋力強化大・筋力強化極・俊敏強化・俊敏強化大・俊敏強化極


〖攻撃強化系スキル〗

剣聖・剣術・物理威力増加・物理威力増加大・物理威力増加極・拳王・拳聖


【称号】

巻き込まれ体質

女神の寵愛を受けた者

ロリっ子を引き寄せる体質

竜殺し

守護者

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 あー。レベル50超えてるな。なんでだ?もしかしてタクマと戦ってる間にレベル上がってたのか?


 それと女神が言ってたようにステータスの表示が変わってる。あのごちゃごちゃしてた表示よりこっちの方がいい。その辺は褒めてやらんこともないな。


 まぁ直接言ったら調子乗るだろうし言わないけど。


「それで、ステータスの方どうだった?」


「レベルが50超えてたわ。これってタクマと戦ったから上がったってことでいいのか?」


「対人戦だと相手のレベルが高ければ高いほど戦って得られる経験値が多くなるし、そもそも経験値って殺したりしなくても戦闘すれば入ってくるものだし、あなたの考えで合ってると思う」


「ふーん。それで?俺にはお前がここに来た理由が分からんのだが」


「だから、さっきも言ったけどあなたに呼ばれた気がしたから来ただけだよ?」


「さっきも言ったが俺が寝ている間にどうやってお前を呼ぶんだよ」


「そうなんだよねー……」


「「むぅ」」


 俺と女神はそれからは唸るだけだった。どれくらい唸ってたかは分からないが、唸り始めて早くに部屋の扉が開いた。


「マスターまだ寝てるかな……?あ、起きてる!皆を呼んでこないと!」


 部屋の扉を開けたゼロはそう行ってどっかに行った。


「今のがあなたの仲間なの?」


「ああ、そうだ。俺の大切な仲間だ」


「そっか。まぁずっと見てたから知ってるんだけどね!」


「じゃあ聞くなよ!」


 はぁ。この女神はふざけないと死んでしまう病気かなにかなのか……。真面目な話が出来ん……。


 すると部屋の外で何人かが走ってこっちに向かってる足音が聞こえて来た。


「あなたの大切な仲間が来たようね?」


「うるさくなる様な気がするけどな」


 こっちに向かっていた足音は、この部屋の前で止まり、扉が勢い良く開かれる。


「マスター!皆連れてきたー!」


「俺、そんなの頼んでないけどな!」


 部屋に入って来た皆は俺がいるベッドを囲むようにして並んだ。


 ちなみにシロは俺の頭の上に乗ってきた。もうそこが定位置だよな。俺も落ち着くわ。


「その様子だと元気そうね」


「まる2日寝たままだったから心配した」


「無事で何よりです」


「それであのー。あるじさま?この方は?」


 指さされて誰かと聞かれる女神。


「私は女神だよ?この人が転生する時にこの世界に送ったのが私」


「え、えっとあるじさま?」


「……残念だが本当の事だ」


「ちょっと?残念ってどういう意味?私これでもちゃんと女神の仕事してるんだよ?」


「自分で、これでもって言っちゃうあたりがもう…な……」


「しょうがないでしょ!女神になったばっかりなんだから!」


 ちなみにこんな女神を見て皆は唖然としている。まぁそうだよな。


 だが、約1名喜んでそうな奴がいる。そう、ジュリだ。


 いま何考えてるか思考解読して見よう。


『まさかここで女神のテンプレに出会えるなんて……!さすが異世界!』


 まさかここまでぶれないなんて……!さすがジュリ!


『わたし知ってるのよ。あなたが思考解読持ってること。そして今あなたが私の真似をしたこともね』


『すいませんしたー!』


 俺は全力で謝った。ほっといたら何をされるか分からんからな。


「そういえば、ゼロはここになんの用があって来たんだ?」


「あ、忘れてたの!マスターに私とレンとリンのステータス見て欲しいの」


「ん?それくらいなら構わんぞ」


 そんじゃステータス!


《従魔の進化が出来ます。進化させますか?》


《従魔の進化が出来ます。進化させますか?》


《従魔の進化が出来ます。進化させますか?》


 お、おう。3人とも進化するんだな……。


「3人とも進化出来るんだが……」


「進化するー!」


「私も進化したいですね」


「わたしも強くなりたい…です」


「まぁ当然だわな。それじゃ進化と」


《進化を開始します》


 そうアナウンスされると3人が光に包まれる。


 この光景見慣れてきたな……。


 3人が進化してるあいだにミルとジュリのステータスも確認しておくか。


 ステータス!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ミル・ラ・ハルストル

Lv.55

HP:5000

MP:10000


【魔法】

炎魔法・火炎魔法・水魔法・氷魔法・土魔法・樹木魔法・風魔法・暴風魔法・闇魔法・深淵魔法・奈落魔法・光魔法・結界魔法・封印魔法・支援魔法・生活魔法・雷魔法・回復魔法・蘇生魔法


【スキル】


〖生活補助系スキル〗

念話・千里眼


〖戦闘補助系スキル〗

魔力転化・無詠唱・状態異常耐性・索敵・隠密・暗器使い・ドレイン・予知予測


〖身体強化系スキル〗

魔力増加・魔力増加大・魔力増加極


〖攻撃強化系スキル〗

魔法威力増加・魔法威力増加大


【称号】

魔力に愛されしもの

魔王の娘

乙女

覚醒者

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ジュリエット・ファン・グランザム

Lv.40

HP:3500

MP:8500


【魔法】

炎魔法・火炎魔法・水魔法・氷魔法・土魔法・樹木魔法・風魔法・暴風魔法・光魔法・聖光魔法・極光魔法・支援魔法・結界魔法・守護魔法・封印魔法・浄化魔法・生活魔法・召喚魔法・精霊魔法・回復魔法・蘇生魔法


【スキル】


〖生活補助系スキル〗

言語理解・鑑定・念話・看破・対話・未来予知・交渉術・料理上手・家事上手・礼儀作法


〖戦闘補助系スキル〗

思考解読・祝福・無詠唱・罠感知


〖身体強化系スキル〗

魔力増加・魔力増加大・魔力増加極


〖攻撃強化系スキル〗

魔法威力増加・支援効果増加・支援効果増加大


【称号】

支援魔法の使い手

精霊に愛されしもの

国王の娘

乙女

覚醒者

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 前に見た時よりレベルが20程上がってるな。


 魔法になにか見慣れないものがあるな。ミルは奈落魔法でジュリは極光魔法。感覚的に最上位の魔法だという感じがするな。


 それともう1つ。称号の覚醒者。これは何なのか。


 俺が詳細を調べようとした時だった。ちょうど3人の進化が終わった。それと同時に、奇妙なアナウンスが聞こえてきた


《従魔との契約が切れました》


《従魔との契約が切れました》


《従魔との契約が切れました》


 何故に?ゼロ達になんの変化もないんだが……。


 俺は覚醒者の詳細を見る前に3人のステータスを確認することにした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ゼロ

Lv.30

HP:3000

MP:5500


【魔法】

炎魔法・火炎魔法・水魔法・氷魔法・土魔法・樹木魔法・風魔法・暴風魔法・闇魔法・光魔法・結界魔法・封印魔法・浄化魔法・生活魔法・雷魔法・時空魔法・回復魔法・蘇生魔法


【スキル】


〖生活補助系スキル〗

念話


〖戦闘補助系スキル〗

魔物化・硬化・粘性・擬態・変形・奪取・強奪・魔力転化・物理無効・魔法耐性・無詠唱・状態異常耐性・感知


〖身体強化系スキル〗

魔力増加・魔力増加大


〖攻撃強化系スキル〗

魔法威力増加


【称号】

スライムの枠を超えたスライム

魔物化【古のスライム】

乙女

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

レン

Lv.35

HP:3500

MP:6000


【魔法】

全魔法


【スキル】


〖生活補助系スキル〗

言語理解・鑑定・念話・マップ


〖戦闘補助系スキル〗

魔物化・硬化・軟化・魔力転化・飛行・状態異常無効・自己再生


〖身体強化系スキル〗

魔力増加・魔力増加大


〖攻撃強化系スキル〗

剣術・剣技・魔法威力増加


【称号】

武器の枠を超えた武器

魔物化【インテリジェンスウェポン希少種】

魔法を統べるもの

乙女

覚醒者

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リン

Lv.25

HP:2500

MP:5000


【魔法】

全魔法


【スキル】


〖生活補助系スキル〗

言語理解・念話・千里眼


〖戦闘補助系スキル〗

魔物化・硬化・軟化・魔力転化・飛行・感知・状態異常無効・自己再生


〖身体強化系スキル〗

魔力増加・魔力増加大


〖攻撃強化系スキル〗

槍術・槍技・魔法威力増加


【称号】

武器の枠を超えた武器

魔法を統べるもの

乙女

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ん?名前が魔物名じゃなくて、普通に名前になってるぞ?


 それにスキルは、人化じゃなくて魔物化になってる?


 これから導き出される結論は……!そう!3人が進化して人間になったということだ!訳分からん!


 どういうことだ。進化すると魔物が人間になるのか……。


「あ、3人は人間になれたんだね!おめでとう!進化の最終形態だよ!」


「おい女神。それをもう少し詳しく」


「ん?言った通りだよ?魔物の最終形態は人間なの。人間になるためには人間に飼われるしかない。だから、人間に進化した3人はとても凄いことなんだよ!」


「俺初めて知ったわ……」


「あなたちょっと考えたらわかるでしょ!自分になんのメリットも無いのに人間に従って命を懸けて戦うわけないじゃん!」


「まぁ確かにそうだな……」


 女神にいい負けた。悔しい……。


「じゃあ俺達みたいな人間はなんなんだ?ゼロ達みたいに魔物化出来ないぞ?」


「それは魔物化を全然使わなくて退化しただけ。まぁ、帝国の6種族には獣化として残ってるみたいだけどね」


「へぇー。偶にはお前も使えるな」


「偶にってなによ!ねぇ聞いてるの!」


 女神がなにか言ってるが無視だ無視。


 さて、さっき調べようとして調べなかった覚醒者って称号を見てみるか。そういえば、レンにもあったな。一体何なのだろうか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〔覚醒者〕

自分の可能性の鍵を開けた者

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 可能性の鍵?なんだそれ。ただ何かすごい事だということは分かる。


 勇者との戦いで何かあったのだろうか。だが、ゼロとリンにはないし……。んー。分からん。


「ニャー」


「そういえばシロも戦ったんだよな?」


「ニャ!」


 じゃステータスを見てみるか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

マウスネコ

Lv.10

HP:1500

MP:200


【魔法】

結界魔法・守護魔法・回復魔法


【スキル】


〖生活補助系スキル〗

魅惑・聞き耳・夜目


〖戦闘補助系スキル〗

感知・無音・毒牙


〖身体強化系スキル〗

俊敏強化・俊敏強化大


【称号】

伝説の魔物の子

従魔【シロ】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 まぁこんなものか。シロも強くなってる。いい事だな。


 だが、あんまり強くなりすぎても困る。シロは俺達のペットだからな!


 シロのステータスを見終わった時、ドアがノックされた。


「ミクトリアだ。中に入ってもいいかな?」


「はい。どうぞ!」


 そして、勇者達と戦ってから初めて魔王様と会う。

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