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勇者編第3話 話し合いをしました

 ヨハンに案内された部屋は必要最低限の物しかなく、質素だった。1部屋を4人で使うようだ。


 ヨハンは俺達を案内した後、仕事が残っていると言っていなくなった。


「早速だが、海雪に今の状況を聞いておきたい」


「元よりその約束でしたしね」


 逢奏と那由多も海雪の話に耳を傾ける。


「今の状況ですが、前に言ったように異世界転移というものです。異世界転生とはそのままの意味で、異世界に転移する事です。これは日本の一部インターネット上で有名です」


「その異世界転移したらどうなるのか教えてくれない?」


 逢奏がそう尋ねる。尋ねられた海雪の顔に影が落ちた。


「異世界に転移すると今の様に魔王を倒して国を救ってくれ、と言うのが多いです。こういうのは大抵帰る手段が隠されていて、最悪無い場合があります」


「それが本当だったら私達は元の世界に戻れないかもしれないってことなの!?」


「はい。最悪の場合ですけど…」


「どうして…!どうして私達がこんな目に遭わなくちゃいけないのよ!」


 逢奏は怒りを抑えることが出来ずに、不満をもらした。


 海雪は申し訳なさそうに顔を俯けていた。


「確かに何故俺達がという気持ちもある。だが、今はそんな事を言ってる時間が惜しい。帰ることが出来るかは魔王を倒せば分かることだ。だから今の状況を嘆くのではなく、今後どうするかを話し合う事が先決だ」


「…確かに拓真の言う通りね。不満を漏らしてる時間は無いものね」


 逢奏の怒りは静まり、冷静に帰ることが出来たようだ。逢奏は今情緒が不安定だ。だから誰かがこうやって落ち着かせなければな。


「じゃあ拓真くんはこれからどうすればいいと思う?」


「俺は明日からレベル上げをした方がいいと思う。魔王って言えば日本のゲームとかでもラスボスとして出てくるものだ。相当強いだろう。だからレベルを上げることは必須だ」


「私もそれに賛成です。しかしレベルを上げるだけでなく、武器や防具も必要になる筈です」


「それに関してはスキルに宝具召喚って言うのがあったから大丈夫だと思う」


「だとしたら1回召喚しておいた方がいいと思います」


「そうだな。それじゃ全員、宝具召喚をしてくれ」


 俺達は宝具召喚をした。


 宝具召喚を使うと同時に、目の前の地面が輝き始めた。その中から武器や防具と思われるのもが現れた。


 輝きが治まり、ようやくその姿を見ることが出来た。


 俺の目の前に出てきた物は、光り輝く剣とその雰囲気に似た防具だった。


 皆も宝具召喚をし、俺と同じ状態になっている。


「皆さん、鑑定のスキルを持っていましたよね?それを使えばこの武具の詳細を見る事ができます」


 海雪にそう言われ皆が鑑定を始める。


 最初に俺は召喚して出てきた武器を鑑定した。するとステータス画面の様なウィンドウが出てきた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〔エクスカリバー〕

光り輝く伝説の宝剣。ヒイラギ タクマ専用武器。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 アーサー王が使っていたとされる剣、エクスカリバーか。それが俺専用の武器というわけか。


 防具を鑑定すると、聖騎士の防具一式になっていた。防具も光り輝ていて、エクスカリバーの雰囲気とあっていた。


「皆の宝具はどうだ?俺はエクスカリバーと聖騎士の防具一式だったが」


「私は武器がグングニルって槍と、勝者の防具一式だったわ」


「逢奏はグングニルの槍か。確かオーディンが使っていて、必中の投擲槍だな」


 逢奏の武器もなかなか強いものだ。特に必中と言うのが強みだな。


「私はアスクレピオスっていう杖と、慈愛の防具一式ってなってた」


「アスクレピオスって言うとギリシャ神話に出てくる名医の杖ですね。医療や医術の象徴になっているやつです」


「という事は那由多は回復担当という事になるな。他に支援とかにも回ってもらうことになりそうだ」


 戦闘では那由多の支援が必須になるだろう。頑張って欲しい。


「私はヴァナルガンドという杖と、破壊者の防具一式でした。ヴァナルガンドと言うのは破壊の杖とも呼ばれていて、フェンリルの別名でもあります。その事もあって、この杖はフェンリルに変身することが可能なようです」


「海雪ちゃんはどういう役割になるの?」


「そうですね…。この装備を見る限り私は魔法使いでしょうか?」


「多分そうだろう。破壊者と言うのが何とも言えないが、魔法使いであることは間違いないだろうな」


 皆の宝具は、俺も含めて神話に出てくるものだった。これなら魔王と戦っても大丈夫だろう。


 という事はやはり問題なのはレベルだ。レベルを上げなければ装備が良くても勝つことは出来ない。


「装備に関してはもう大丈夫だろう。レベルを上げる時もこの装備を付ければ楽になりそうだ」


「じゃあ明日からもうレベル上げを開始する事で決まりね?」


「そういうことになるな」


 出来るだけ早くレベルを上げて、魔王を倒しに行かなければ。帰れるか帰れないかはその時に分かることだ。


 もし、帰ることが出来なかった時は振り出しに戻ってしまうのだが。


「そういえばあと1つ問題がありますね。私達が魔王の居場所を知らない事です」


「それはヨハンって言う人に聞けばわかるんじゃないかな?あの人が魔王を倒してくれって言ってるんだし」


「そうだといいのですけど…」


「それは明日聞けばいいだろう。もし知らなければレベル上げついでに情報収集するだけだ」


「そうですね」


 これで話し合いは終わった。具体的な事はまだしっかりとは決まっていないが、明日からする事も決まった。


「それじゃ今日はもう寝た方がいいだろうな。色々あって疲れているはずだ。夜更かしせずに寝た方がいい」


「そうね。それじゃ私はもう寝るわ」


「あいちゃん一緒に寝ていい?誰かと一緒じゃないと不安で…」


「なゆなら大歓迎よ。一緒に寝ましょ」


「では私も寝ます。皆さんおやすみなさい」


「おやすみなさい」


「おやすみー」


「おやすみ。…じゃ俺も寝るか」


 こうして、俺達の非日常の生活が始まった。

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