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第38話 頼まれごとのようです

 レースをした日から馬車に揺られること2日。ようやく次の街に着くことが出来た。既に日が落ちかけている。


 そういえば、馭者の人いわくこの街はガランドというらしい。アルロースの街から東側に道なりに進んだところに位置している。


 ガランドには近くに鉱山があり、そこで希少な鉱石を採掘しているとも言っていた。


 なるほどね。ガランドには鉱石を売って生計を立ててる人が多いのか。希少な鉱石あったら買っておいてそんはないかもな。


「ふわぁ…」


「おっ?ジュリが欠伸とか珍しいな」


「さすがに長旅すれば疲れるわよ。それにもう暗くなってきてるし、眠りたいところね」


「あたしも眠りたい…」


「ミルもか」


 ちなみにシロは俺の頭の上で既に寝ている。やっぱり猫ってめっちゃ寝るんだな。ずっと寝てるぞ。


「では主様。宿屋を取りますか?」


「あぁそうだな」


 俺達は宿屋を探す。


 だがどこも空いていなかった。どこも満室ですって言われたし。


 もしかして今日は野宿になってしまうのか?せっかく帰って来たのに野宿はきつい。


「ねぇねぇマスター?どうするの?」


「冒険者ギルドに行ってみるかー。シロの従魔登録しないといけないし…」


「…ニャァ…」


 返事かと思ったら寝言だったし!紛らわしいぞ!


 取り敢えず冒険者ギルドに行くか。


「えーっと冒険者ギルドはーっと?」


「あ、あるじさま?さっき通り過ぎたよ…?」


「えっ?そんなバカな…」


 俺は半信半疑で後ろを振り返る。


 マジだった…。すぐ後ろに冒険者ギルドがあるじゃん…。なんで俺気付かないんだよ…。


「真面目な話、俺って探すの下手くそだったりする?」


「主様は下手くそと言うよりは苦手かと」


「それを世の中では下手くそって言うんだよ!」


 俺はレンの言葉にショックを受けた。


 レンがそう言っているということはそういうことはのだろうな…。


「大丈夫…!安心して…!」


「ミ、ミル。お前は俺を慰めてくれるのか?」


「あたしも同じだから…!」


「慰めになってねぇよ!」


 まさかの追い討ち!俺の心の傷は癒されるどころか傷に塩を塗られた…。……泣いてもいいですか…。


「そんなことより早くギルドに向かいましょう?眠くて仕方ないわ」


「お、おう。そうだな」


 俺は心に傷を負った状態でギルドに向かう。いや、ね?ちょっとは慰めてくれてもいいと思うんだ…。同じパーティの仲間なんだから心のケアしてくれてもいいよね…。


 俺は自分のパーティメンバーの厳しさを感じながらギルドに入った。


 するとギルドの中は騒然としていてなにか起きているのかと思うくらい人が多かった。


 本当になにか起きてるのか?まぁ起きてたとしても今日はもうなにもしないがな。


 俺達は受付へ向かう。


「すいません。今大丈夫ですか?」


 一応聞いておかないとな。忙しそうだし。


「ちょっと待ってもらっていいですか?」


「あ、はい」


 やっぱり聞いててよかったわ。


「…………はい。もう大丈夫です。それでどうかなさいましたか?」


「えっと、いくつかあるんですけどまずはこのマウスネコの従魔登録をお願いします」


「ではこちらに手をかざして下さい」


 受付の人はそう言って水晶を差し出してきた。


 だがしかし!受付の人の目線はマウスネコにいっている!この受付の人可愛いのが好きなんですね!


 と受付の人の印象をうけながら水晶にてをかざした。


 まぁいつも通りだよな。水晶からカードが出てくるなんて。


 すると受付の人が血相を変えてこちらを見た。


「え、Sランクパーティですか!!?」


 おう?それがどうかしたのだろうか?そんなに大声で言うことでもないだろうに。


「そんなことより次の要件を…」


「そんなことで終わらせないでください!今この街を救えるのはあなた方のパーティだけなんです!」


 えぇ。なにこの急なテンプレ展開。驚きなんだけど。


 ジュリとか、また来たわね!テンプレ展開!、とか言って興奮しちゃってるじゃん。お前眠いんじゃなかったのかよ。


 それはともあれ、俺達じゃないとこの街を救えないとはどういう意味なのだろうか?


「俺達じゃないと街を救えないとはどういう意味なのですか?ついさっきこの街についたばかりでよく状況が飲み込めないんですが…」


「では説明させていただきます!その説明を聞いたらぜひあなた方のお力をお貸しください!」


「えぇー。じゃいいです」


「そんなこと言わないで助けてくださいよー!!……グスッ…」


 ち、ちょっと!泣かないでよ!


「あー!マスターが泣かせたー!」


「女を泣かせるなんて、ひどい男だこと」


「主様。ここは話を聞いたほうかいいのでは?」


「レンちゃんの言う通り、話聞いた方がいいと思うよ…?」


「眠い…」


 泣かせたことに対する避難が2、話を進めるが2、眠いが1。………ミルよ…。お前、ちょっとは話に入ろうぜ?


「…グスッ。話聞いてくれませんか…?」


「………はぁ。わかりました。話を聞きますよ」


「ありがとうございます!ではさっそく説明に入りますね!」


 おい!無駄に元気じゃねぇか!さっきのは泣き真似だな!まんまと嵌められた!


 まぁ話を聞くと言った手間、聞かないなんてことはできないんだがな!


「あなた方はこの街が鉱山から採掘される鉱石で発展してる事はご存知ですか?」


「えぇ。知ってます」


「なら話は早いですね。今回の問題はその鉱山です」


「一体鉱山で何が?」


「端的に言いますと、鉱山にある坑道の入口をある魔物が塞いで閉まっているんです」


 あー。話が読めたわ。


「つまりその魔物のせいで鉱石を取れず、街が衰退していってしまうから倒したいけど、その魔物が強いから手も足も出ないって所ですかね?」


「す、凄い!さっきの話だけでそこまで分かってしまうなんて!」


 いや、逆に分からない方がおかしいですよ?今までのやりとりでわからないわけないじゃないですか。


「そういうことですので、どうか協力してもらえませんか!?」


 頼まれてしまった。さすがに俺でもここまでされて断ることはしない。


「わかりました。やってみます。ですがそれは明日でいいですよね?」


「はい!明日で構いません!ありがとうございます!」


 よし。これでこの話は終わったな。


「じゃあ俺達の要件なんですが…」


「なんでしょうか?」


「ギルドに泊まらせてくれません?宿が全部埋まって閉まっていて今日寝る所がないんです…」


「そういう事でしたらギルドからスイートルームを手配させます!Sランクパーティでこの街の救世主をギルドで寝かせることなんて出来ません!」


「なにもそこまでしなくても……」


 スイートルームとかびっくりだわ。ていうかこの世界にもスイートルームなんてものがあるんだな。


「それじゃこれがスイートルームの招待状です。これを書いている場所に持って行って、見せれば使えるようになります」


 話を全く聞かない受付の人だな。まぁいいか。部屋に泊まれるなら嬉しい限りだ。


「そこまで言われたら行きますよ。それじゃぁ早速行くんでまた明日来ます」


「心よりお待ちしております!」


 俺は心よりお待ちなんてしてないけどな!


 俺達は受付の人に渡された招待状を持ってその宿のある方を目指す。


 ………あっ!あった!


俺達は招待状を持って宿に入った。


「招待されてきたんですが…」


「ギルドからのですか?」


「えぇそうです。何やらスイートルームとか言ってました。招待状がこちらです」


 招待状を受け取った宿の人。


「確かに本物ですね。ではスイートルームをお使い下さい」


「ありがとうございます」


 こうしてようやく宿を取ることに成功した。


「眠いから寝る……」


「ふわぁ~ぁ。私も眠くなってきたわ。さっきちょっとはしゃぎ過ぎたかしら?」


 ちょっとどころじゃなかったと思うがな!!


 だが、俺も眠くなってきた。俺も寝るか。


 シロを頭の上から床に下ろしてベッドに横になる。


 な、なんだこのベッド!めっちゃ沈む!ふわふわだ!


 ベッドに仰向けに寝転がった瞬間にそう思った。だが包み込まれた感じで悪い気はしない。


 シロは俺のお腹の上に乗って、丸くなって眠った。


 ちなみにゼロ、レン、リンは眠らなくても大丈夫なんだが、一応寝る真似はするらしい。


 明日は魔物退治にいくのか。めんどくさいなぁ。


 最後にそう思った所で眠りについた。


 こうしてガランドの街の1日目が幕を閉じる。

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