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第36話 ペットを飼うようです

 アルロースの街を出て1日たった。その間みんなすることもなく、じっとしていた。


 さすがにこの暇さは慣れないな。することと言っても、皆との会話か、しりとりとかそんな感じの遊びだけだ。


「マスターなんか面白い遊びないのー?」


「んー?馬車の中で出来きて面白いことかぁ。あ、じゃあ魔法を使って遊ぶのはどうだ?」


 俺の言った言葉でハッとなる少女5人。


「その発想はなかった……」


「確かにこの世界だと魔法はほとんど戦闘か、日常生活にちょっと関わってるぐらいだものね」


「その柔軟さ。さすが主様です」


「でもあるじさま、魔法で何して遊ぶの?」


「そうだなぁ。例えば土魔法で手を使わずに動物とか魔物とかの模型みたいなのを作って、みんなに当ててもらうとか」


「「「「「おぉー」」」」」


「ほかにも、闇魔法で視界を暗くして誰が触ってるでしょうゲームとか考えれば色々出来るんじゃなね?」


「「「「「ほぉー」」」」」


 そんなに感心されても思い付きを言っただけですし。いまの2つはそんなに面白いとも思わないけどね。


 それからは魔法をどう使うかで議論が始まった。


 危険な魔法は使わないことをあらかじめ決めてから、使う魔法をどうやって遊びに組み込むか考えてるみたいだ。


 どんな遊びになるんだろうか。


 ちなみに俺は未だに魔法が2つしかない。もうすぐで魔法を作れるようになるんだ。しばしの辛抱。


「マスター決まったよ!」


「何をするんだ?」


「レース!」


「なるほど、レースか。それでどうやってするんだ?」


「それは私が説明するわ」


「たのむ」


 ジュリの話によると、まず、土魔法でレースのためのコースと、各レースに出すための車的なものを作るみたいだ。


 車的なものはジュリが大体の形を作るようなのでそれを使うらしい。


 次にレースだが、自分の車的なものに風魔法を吹き付けて、動かすようだ。


 よく考えて作ってあるな。面白そうだ。


 早速皆でコース作りをはじめる。俺は土魔法が使えないので、でこぼこしてる所を直したり歪なところを補修したりした。


 ジュリは車的なものを作っている。ジュリいわく魔法で動かす車だからマジックカーと呼ぶらしい。安直である。


 そして色々準備が整った。みんな楽しみにしているな。


 ちなみに俺は審判。不正がないか調べるぜ。


 各マジックカーがコース上にのスタート位置に並べられる。


「よし。揃ったみたいだな。では…」


 ここまで言った時、馬車が急に止まった。


 む。なにか面倒事でも起きたか?


「お、お客さん!盗賊に囲まれた!」


 盗賊か。まぁ大丈夫だろ。


「馭者の方はここで待っていて下さい。私達がやってきます」


 俺がそう言って馬車の外に出ると、他のみんなも馬車から降りた。


 ふむ人数はそれほど多くはないか。これなら余裕だな。


「お前達。自分から馬車を降りて来るなんてわかっているじゃないか。そうそうに降参するのは賢いぞ選択だぞ」


 どうやらこいつがボスみたいだ。ちょっと雰囲気が違う。


「だが降参したからと言ってお前達は殺す事に変わりないからな」


 こいつらは盗賊だ。そういうのは承知の上。こいつら如きにまぁ負けないけど。


「じゃあお前達が俺達に殺されても文句言うなよ?」


「はっ?何言ってんだ?お前みたいなひょろいガキと小娘でどうにか出来ると思ってんのか?…まぁいい。お前らこいつらを殺して金品全て奪ってこい」


 四方八方から襲ってくる盗賊。


 しかし、こんな奴ら相手にならない。


 さっきの会話の間にジュリに念話で支援魔法をパーティ全体にかけるように言っていたので既に準備は整っている。


 まずはミルの氷魔法で、先頭のヤツらを凍らせる。


 盗賊達に動揺が出た隙に、ゼロとレンとリンが転移で盗賊達の背後に周り、次々に殴り殺していく。


 支援魔法をかけ終わったジュリは召喚魔法により、騎士を呼び出して、盗賊達の前の方から殺す。


 その姿を見た盗賊のボスは、呆気に取られてしまっていた。


 俺はそのボスの方にゆっくり近づいていく。


「どうした?さっきの威勢はどこにいったんだ?」


「ぐっ…!こ、降参だ!降参する!」


「お前自分で言った事をよく思い出せよ。降参したところで殺すのは変わらない。俺も一緒だぜ?」


「く、くそぉ!せっかくいい商品が手に入った矢先にこれかよ!」


「商品?なんだそれ?」


「お前に教える義理はない!」


 確かにそうだ。じゃここはジュリにたのむか。


『ジュリ、ちょいとこいつの思考読んでくれ』


『分かったわ』


 ジュリが思考を読む。


『なるほどね。あなた商品がなにかを知りたかったのね。あなたの知りたい商品っていうのは珍しい動物みたいね。この動物、貴族の間で超高額で取り引きされてるみたい。その動物がいるのはここからちょっと道をそれた先にある小屋みたいなところね』


『なるほどな。サンキュ』


 商品がなんなのか、どこにいるのかも分かったし、もうこいつに用はないだろう。


「お前らが商品とか言う動物は俺が逃がしてやるよ。じゃあな」


「なん…っで…!」


 俺はボスの胸を素手で貫いた。ボスの胸には穴があいた。


 1度やってみたかったんだが、なかなかにグロいな。もうしないようにしよう。


 ボスはそのまま息絶えていった。


 他の盗賊達もほとんどが死んでいる。


 俺達って容赦ねぇなぁ。まぁ盗賊に容赦も何も無いがな。


 戦闘を終えた俺達は、馭者の人に待ってもらって、珍しい動物とやらを逃がすため、その動物がいる所に向った。


「ジュリは珍しい動物がなにか知ってるのか?」


「ええ知ってるわよ。確かネズミサイズのネコだったかしら?」


「えぇ。なにそれ」


「確か種族名がマウスネコだったわ」


「色々ツッコミどころがあるんだが…」


「でも進化すると一気に大きくなって、種族名がビャッコになると言われてるわよ?」


「なにその急展開。いきなり神話来ちゃったんだけど」


「まぁそんな感じで個体数が少ないから貴族が超高額で取り引きしてるのよ」


「そこは納得出来た。逆にそこしか納得できないんだがな!」


 そんなこんなで小屋についた俺達は、周囲を警戒しながら小屋の中に入っていく。


 小屋の中には人は誰ひとりとしておらず、机のうえに鳥かごが一つ置いてあるだけだった。


 多分この鳥かごにマウスネコなるものがいるのだろう。


 鳥かごの中は綿のようなものが敷き詰められていてマウスネコがいるのか分からない状態だった。


 俺は鳥かごを開けて、マウスネコに呼びかける。


「おーい猫ー。出てこーい。助けに来たぞー」


「ニャ…?」


 おっ。出てきた!って言うかほんとにちっちゃいな!でも白くてふわふわしてて気持ちよさそう。


 俺は無意識にマウスネコに手を伸ばす。


「ニャーォ♪」


 おおかわいいのぉ。………はっ!無意識に撫でてしまった…!


「とってもかわいいのー!」


「あたしもなでる」


「ほんとにちっちゃいのね」


「あるじさま!わたしにも!」


「皆さん落ち着いて撫でてください」


 あのレンさん?止めるなら撫でることも止めてもられません?


「おいお前達。このマウスネコはこれから逃がすんだぞ?」


 その言葉を発した瞬間に、マウスネコが俺の頭のうえに登ってきて、離れなくなった。


 え?なにそれ?逃げたくないのか?


「そのマウスネコ、あなたを気に入ったみたいね?」


「えー…」


「ニャッ!」


「こら!痛いから頭を引っ掻くな!」


「気に入られたのならしょうがないわよ。どうせならペットにでもしたら?」


「ニャ!」


「ほらこのマウスネコも頷いてるわよ?」


 俺にそんなこと分かるか!


「ペットにするのー?わーい!」


「もふもふがペットになるのかぁ!えへへぇ…」


「思う存分撫でれる…!」


「主様、私も撫でてみたいです」


「皆もこう言ってるんだしもうペットにしましょう?」


 はぁ仕方ないか。皆がこう言ってるんじゃ無碍にもできまい。


「じゃあこのマウスネコはうちのペットとしてかうことにする。名前はどうしようか?………もう安直に見たまんま、シロ、でいいだろうか?」


「ミャー」


 俺の頭が撫でられる。


「お?そうか。それでいいんだな」


《マウスネコが従魔になりました》


 ということで俺達のパーティにシロという名前のマウスネコのペットが増えることになりました。

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