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第32話 捕まえたようです

 俺達が領主をどうするかの話し合いが終わった頃に騎士の4人全員が目を覚ました。


 最初の人以外の3人も洗脳がしっかり解けているようだったので安心だ。


「私達を止めていただきありがとうございました。操られていたとはいえ、騎士にあるまじき行為をした事は変わりません。このことをどうお詫びすればよいか……」


「お詫びなど必要ありませんよ。私達はこの国に不利益をもたらす者を排除しただけなので」


 ジュリが珍しく礼儀正しく受け答えしてる。でもまぁこれに関してはジュリの言う通りだし何も間違ってはいない。


「そう言っていただ……!?もしやあなた様はジュリエット王女様なのでは!?」


 あ。ジュリが王女だってバレた。そりゃあ、王女みたいなことしたらそうなるわな。どうせ癖で出てしまったのだろう。


 ジュリエット王女と呼ばれたジュリは顔をまっかにして毅然とした態度を保とうとしている。


 事情をすべて知っている俺達からすると笑える光景ではあるのだが、騎士達からすると顔を赤くして怒って見えるのではないのだろうか?


「大きな声を出して申し訳ございません!」


 ほーらやっぱり。ジュリはもうちょっとジュリエットっていう名前になれるといいと思う。


「ジュリエット様はここにはお忍びで来られたのですか?」


「私は隣にいる夫と世間を知るための旅の最中よ」


 本当は自分が冒険したいだけの癖に、物は言いようだな。


『うるさいわね!こうでも言わないと変に思われるでしょ!』


 おっと。ジュリを怒らせるとあとが怖いから程々にしておこう。


『あなた覚えておきなさいよ…!』


 もう手遅れだったか…!


 ジュリは念話を終わらせて騎士達の方を向く。


「私達はなるべく一般市民として扱って欲しいと思っているわ。だから王女だとかそういうのは抜きにして貰えるかしら?」


「はい。かしこまりました」


 ほかの3人も頷いているので大丈夫だろう。


「じゃああなた達はすぐに領主の館までの戻って今起こったことを伝えに行きなさい。私達が王女だということは伏せておくように」


「「「「はっ!」」」」


 騎士の4人はジュリに言われた通りに館へ向かっていった。


「そういえば、ギッシュは衛兵に突き出すのよね?」


 不意にジュリが聞いてくる。


「ん?そのつもりだが?」


「誰が衛兵の所に連れていくの?」


 その一言で俺達全員が全身に雷に打たれたような衝撃を受けた。


 確かにその事を考えていなかった…!


 脂ギッシュじゃなかったらどうにかなったかも知れないのに…!


「ジャンケンして負けた人が連れていく…!」


「ジュリが有利すぎだろ!何かほかのことで決めれないのか?」


「あみだくじはどうでしょうか?」


「それならいけそうだな。じゃああみだくじで」


 俺は紙とペンをマジックボックスから取り出して、紙に6本の縦線を加える。


 そしてそのうちの1本の終点の所にはバツ印を書いておく。


 あとはバツ印が隠れるように曲げたらみんなに横線を書いてもらう。


「皆これに横線書いてくれ。ただし、1人2本書くことと、斜めに書いたりしないことっていうのは守ってくれよー」


 そして皆が順番に書いていき、遂に書き終わる。


 皆がそれぞれどこをスタートにするのかを決めて、いざ、あみだくじ!


「バツ印はいやなのー!」


「私も嫌ですね」


「私もごめんだわ」


「もし当たったらこいつ殺す…!」


「はずれて…お願い…」


「俺も嫌だ!そしてミルは物騒なこと言うな!」


「ん」


 さて、皆が道をたどっていく。


「私ではありませんね」


「私でもないわ」


「わたしもちがーう」


「あたしじゃなかった」


 ここで4人の無事が確定。そして最後の1枠は…。


「やった!わたしじゃなかった!」


 リンがかっさらっていきました。


 要するに俺があみだくじでバツ印に行き着いたのだ。


 どうしてなんだ!?運が上がるって創造の説明にあったじゃん!!創造さんちゃんと仕事して!


 俺は仕方なくギッシュを連れていこうとして近ずいた。


「んんっー?…はっ!おいそこのお前!お前は一体何をしたんだ!」


 その時ギッシュが目を覚ましました。


 思ったより早かったな。


「いや答えなくてもいい。私の能力でその5人の女をもらっていくことにしよう」


「あーそれ無理だぞ?」


「それが私には出来てしまうのだよ!」


「言い方が悪かったな。暗示と思考誘導は俺が封印したから無理だぞ?」


「な、なぜお前は私のスキルのことを知っているのだ!?そして封印とは一体どういう事だ!」


「まぁ使ってみたらわかるだろ。1回やってみ」


「言われなくても元よりそのつもりだ!お前の悔しいがる顔が見れるのを楽しみにしてるぞ!」


 俺もお前がほおける顔が見れるのを楽しみにしてるぜ。


「発動!お前達は私の言いなりになるのだ!」


 ギッシュは5人を指さしてそういった。


 しかし、その5人に何の変化もない。むしろ汚物を見るような目でギッシュを見ている。


 暗示が聞いていないのが分かったのか。露骨に焦り出すギッシュ。


「やっぱりこいつ殺そう…?」


「私も賛成でございます。流石にあんな事言われたら私でも殺意が湧いてきますので」


「きもちわるーい」


「………死ねばいいのに」


「あれはさすがに気持ち悪いわね」


 5人に殺すだの死ねだの言われて青ざめていくギッシュ。


 ははは!いい様だ!


 っとあやうく悪役みたいになる所だった。


 脅しはこれくらいで大丈夫だろうか?これなら衛兵の所まで連れていけるはず。


「どうだ?俺が言った通りダメだっただろ?」


「……………」


 完全に意気消沈してるな。


「お前にはふたつの選択肢がある。ひとつは今ここで俺達全員から殺してもらうこと。もうひとつは衛兵の所まで行って衛兵に全ての判断を任せること。さあお前はどっちを選ぶ?沈黙だった場合は殺すからな?」


「え、衛兵の!衛兵の所に連れていってくれ!」


 よし!思った通りだ。これで自分で歩かせれば触れることはないだろう。


「自分で歩いて衛兵の所までいけ。俺達が後ろで見張っておく」


 俺に言われたギッシュはそそくさと衛兵の所まで向かっていった。


 余程怖かったのだろう。衛兵の所についた途端腰が抜けていた。


 まぁ怖がらせたの俺なんですけどね。


「衛兵さん。この領主のやってきたことを洗いざらい吐き出させて、然るべき罰をお願いします」


「了解した。さあこい!奥でじっくり問い詰めて住民の苦悩を思い知らせてやる!」


 衛兵さんもお怒りのご様子。これは死刑になるかもしれんな。


「死刑になりますように…」


「ミルお前ほんとブレないよな」


「あいつは女の敵…。殺すしかない」


「その脳筋どうにかなりませんかねぇ!」


「ならない…!」


 ミルの奴、言い切りやがったぜ…。


「これでもう安心なのー」


「ゼロちゃんの言う通りもう大丈夫だよね!」


「ですが、次の領主など決めないといけなくなりますね」


「そこら辺は住民全員で協力すればどうにかなるんじゃね?」


「そうね。街の問題はその街の住民が解決するべきだと思うわ」


 俺達は今後どうなるのかを話しながら、グレプルさんの所に戻った。


「グレプルさん。1万G分の果物の用意は出来てますか?」


「もう戻ってきたのかい?果物の用意は出来てるから持っていきな!」


「ありがとうございます」


「それで領主はどうしたんだい?」


「衛兵に突き出しました」


「それは本当かい!?みんなにも教えてあげないといけないね!」


 そう言ってグレプルさんは店を飛び出した。


 グレプルさん…。店番どうするの…。まぁ代わりに俺がやってあげるんですけどね。


 グレプルさんが戻ってくるまでの間、俺達は店番をしていたのであった。

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