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異世界に転生したので楽しく過ごすようです  作者: 十六夜 九十九
第2章 王都そして新しい仲間
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番外編第1話 少女達がイタズラするそうです

 今回は番外編です!気付いた方もいらっしゃると思いますがサブタイを「~ようです」から「~そうです」に変更してみました!気付かなかった方は確認してみてください!

 俺とジュリの結婚式があった日の夜。


「あー。今日は色々疲れたぞ。式典に結婚式。そのまま鬼ごっこ。最後には国王に叱られるというイベント満載の一日だったからなぁ」


 ダルダナンを出発する時点では、式典だけで終わる予定だったんですけどね?


 そこからジュリと出会ったおかげでこんなことになってるわけですよ。


『人のせいみたいに言わないで欲しいわ。あなたが私の方に来たんだから』


『お前は何を言っとるんだ!どう考えても冒険につれてってとか言ったお前が俺の方に来たんだろ!』


『あらそうだったかしら?』


 ……1発いいのを食らわせてやろうかと思ったよ。


 まぁそんなことはいいのだ。俺は今日とても疲れたのだ。身体を休めるためにもはやく寝たい。


「すまん皆、俺は先に寝るよ。おやすみ」


「おやすみー」「おやすみなさい」「おやすみ」「ほいおやすみー」「お、おやすみなさい」


 俺は布団に入り、気絶するように眠りに落ちた……。



◇◆◇◆◇



「マスター寝ちゃったねー?」


「ええ、今日は色々あって疲れたんでしょうね」


 彼が眠りに落ちた後、ガールズトークに花を咲かせる少女達。


「ねぇ?ジュリはなんで彼と結婚したの?旅に出るだけだったら別に誰でも良かったんじゃないの?」


「ミルって意外と鋭い所あるのね」


「私も不思議に思っていました。もしかしたら主様からかと思ったのですが、そうでもなかったようなので」


「そうね…。あなた達なら別に話しても問題はないわよね」


「「「「???」」」」


 ジュリの言葉の意味が分からず首を傾げる4人の少女。


 その揃った行動をみてジュリは微笑み、結婚した理由を話し始める。


「私と彼は転生者なの」


「転生者?」


「そうよ。元々はこの世界の住民ではなかったの。それでその世界で死んだからこの世界に転生したの」


「その話からすると前世の記憶も引き継いでいるみたいですね」


「さすがレンね。そうよ。私と彼は前世の記憶を持ったままこの世界に転生したの」


「それが彼との結婚とどう繋がるの?」


 ミルの素朴な疑問。


「私と彼は同じ世界から転生したみたいなの。それでついて行くなら、なるべく同郷の人の方がいいじゃない?」


「そういうものなの?」


「レンとリンを想像するといいわ。元々同じところにいたってことで今も仲いいしね?」


「なるほど」


 確かにリンはレンに他の人より甘えたりする。


「私もそんな感じよ。同郷の人がいるってだけで安心するのよ」


「それが彼と結婚した理由なの?」


「そうね。でも内緒よ?これを知られるとさすがの私も恥ずかしいから。それと彼と私が転生者だっていう事も内緒ね?」


「わかった」「分かりました」


「ジュリー!ジュリはこの世界に来る前何してたのー?」


「この世界に来る前は女子高生をしてたわ」


「じょしこうせー?」


「なにの話してるの?あるじさまの寝顔みてて聞いてなかった…」


「ふふふっ。リンは本当に彼のことが好きなのね?」


 そう言われたリンがあたふたして、言葉にならない言葉を発する。


 それを落ち着けてからジュリは元いた世界の事を話始めた。


「女子高生って言うのは学校に通ってる女の子の事を言うの」


「がっこー?」


「学校は皆でお勉強をする所なの」


「そんな施設がジュリ様の元の世界にはあったのですね」


「ええ。そこでは沢山の友達や仲間って言える人たちがいたわ」


「今のわたし達といっしよー?」


「ふふっそうね。そんな感じよ。私はそこで何事もない日常を過ごしていたの。学校で授業を受けて、学校が終わったら友達と一緒に遊びに行く。そんな毎日だったわ」


「それからどうやってこの世界に?」


「私死んだからこの世界に転生したの」


「あっ…ごめん…」


「別にいいのよ。あれはしょうがない事だったわ」


「ど、どんな事があったか聞いてもいいですか?」


「別に隠してるわけでもないしいいわよ」


 そしてジュリは自分の死んだ出来事を思いだしながら、語っていく。


「ある日の学校から家に帰ってい時の事よ。私はいつも通っている道の途中には公園があったの。私がそこを通りかかっている時に一人の男の子が助けて!って言っていたの。その男の子は誰かに連れていかれそうになっていたわ」


「誘拐…ですか…」


「そう。私は考えるより先に身体が動いていて、この子を助けに行ったわ。私は不意をついて男の子を助けたけど、誘拐犯はその子を渡さないとお前を殺すと言ってナイフを突きつけてきたの」


「その人わるいやつなのー!」


「そうよ。ゼロはそんな人になっちゃダメよ?」


「うん!」


「いい子ね。えっと続きだけど私は必死で男の子を庇って、どうにか逃がすことが出来た。でも誘拐犯は激怒して、手に持ってたナイフで私の首を切り付けた。そこからはよく覚えてないんだけど、男の子が助けを呼んでくれて公園まで大人の人を沢山連れてきたことは覚えているわ」


「じゃあ首の傷がジュリ様の死因ということですか」


「まぁそうなるわね。それからは気づいたら赤ちゃんになってて、この世界に転生してたってわけよ」


「す、すごい!ジュリちゃんカッコイイ!」


「そうでもないわよ。だって私死んじゃったんだもん」


「でも今生きてる。それでいい」


「ミルの言う通りね。前世は前世。今は今よね」


「ん」


 ひと通りジュリの過去を知った少女達。そこでミルがふと気づいた。


「彼も転生者ってことは1回死んでるってことなんじゃ…?」


「ええそうね。確かに彼も1回死んだって言っていたわ。そして彼の容姿が前世のままっていうのも分かってるわ。でもそれ以外は知らない」


「マスターもジュリといっしょー?」


「違うと思うわよ?多分いつか彼から話してくれる日が来ると思うわよ?」


「わかったー!」


「あるじさまも大変な想いをしたのかなぁ?」


「どうでしょうね?普段の彼の行動からはあんまり分からないわ」


「確かに主様は秘密主義な所がありますからね。現に名前も知らないですし」


「そうなのよ。鑑定で見ても彼の名前だけ載っていないの。なぜなのかしら?」


「でもマスターは優しいよ?」


「確かにゼロちゃんの言う通り優しい所ある…。わたしのわがままを聞いてくるし…」


「そうね。結婚もなんだかんだ言ってしてくれたし」


「多分それが彼の根っこ…」


「そうね。彼は優しくて自分より他人を想う人なのかもしれないわね」


 それから話題は変わっていく。


 ゴブリンキングの群れを倒した時の話や、鬼ごっこの時ああしてれば良かったなどの話に花を咲かせる。


 そしてなぜ鬼ごっこになったのかを確認した時だった。


「確か鬼ごっこって私達全員で彼にキスするために追いかけてたらそうなったんじゃなかったかしら?」


 ジュリのその言葉に他の4人が雷に打たれたように茫然とする。


 その中でレンがいち早く意識を取り戻しあろう事か変な事を口走る。


「この際です。寝ている間にキスしてしまいましょう」


 そしてこのレンの一言な少女達の目の色を変えることとなる。


「ここで重要なのは誰が一番最初か…!」


「わたしがいちばんなのー!」


「私だって一番最初がいいです」


「あら皆女の子してるわねー」


「ジュリはいいの?」


「私は別に構わないわよ?でも出来るなら一番が嬉しいわね?」


「あ、あるじさまとキスを…。わたしが一番いきます!」


「あ!ぬけがけだめー!」


「放してゼロちゃん!あるじさまにキスできない!」


「リンは落ち着いて」


「お前達ぃ……」


 ビクッ!!


「ね、寝言でしたか…」


 彼の寝言は少女達を冷静にするのに効果覿面だったようで、落ち着きを取り戻した。


「ここはジャンケンで決める…!」


「望むところです!」


「わたしが勝つのー!」


「あるじさまとのキス…!」


「皆楽しそうねぇ。私も混ざろっと」


「「「「「最初はグー!!」」」」」


「「「「「ジャンケンー!」」」」」


「「「「「ポン!!」」」」」


「「「「「あいこでしょ!!」」」」」


 それからはずっとあいこのままでジャンケンが続く。


 それをおかしいと思ったレン。レンは何がおかしいのかを推理する。


 そして導き出された結論は…。


「ジュリ様が皆さんの思考を呼んで必ずあいこにさせてきます」


 大正解だった。


 ジュリはその場に出る手を読んで必ずあいこにしていた。皆が同じならそれに合わせる。2つしか出ないようなら出てない方の手を出す。3つ出ていれば適当に出すというふうに。


「ジュリは反則負け…!」


「そうなのー!」


「ジュリちゃんが思考読めるとかきいてない!」


「そういう事ですのでジュリ様は一番最後でお願いします」


「ちぇー。バレないと思ったのになー」


 そしてまたジャンケンが始まる。


 結果は、1リン、2ミル、3ゼロ、4レン、5ジュリの順番になった。


「や、やった!わたしがあるじさまと最初にキス…!」


 リンはそう言って彼の寝ている側に座り込む。


 そして彼の唇に自分の唇を重ねるべく、顔を近づける。


 ゆっくりと近づいていく。心臓の音が耳の奥で大きな音を立てている。息が荒くなりそうなのを必死で抑える。


 そして、もう唇同士が触れそうな距離になった時。


「リンさん?お前は何を一体何をしようとしているのかね?」


「ふぇっ!?」


 寝ていたはずの彼が目を開け、言葉を発した。


「あ、主様。いつから起きていたのですか?」


「お前達がジャンケンを始めた当たりから。というかジュリは気づいてたろ」


「気づいてたけどそっちの方が面白いかなぁって」


「………このジュリエットめ」


「いやぁぁ!その名前で呼ばないでぇ!」


「…あ、あるじさまとキス出来ると思ったのにぃ…」


「マスターはもう1回ねるのー!」


「その方がいい…!むしろそうして…!」


「お前達の思考が読めるようだぜ…。どうせ続きとか言ってまたやろうするんだろ?」


「「「ギクッ!」」」


「声に出てるぞー?」


 ギクッ!


「おー。次はちゃんと出来たな。だが俺は寝らん。するのならまたの機会にするのだな!ふははは!」


「「「「「えー!!」」」」」


「えー!!じゃない!寝てる間にイタズラされる俺の気を知れ!」


「「「「「はーい…」」」」」


 こうして夜は老けていく……。


 さて今回の番外編ですが、主にジュリの転生する前のお話になりました。今後も番外編は少女達のお話にしていこうと思っています。

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