第29話 ピクニックするようです
「今日は皆でピクニックに行こう!」
「「「「「ピクニック?」」」」」
「あぁそうだ。レンとリンはいいとして、ミルは日向ぼっこが出来て、ジュリはゆっくりできるからな。」
「わたしはー?」
「ゼロのはちょっと無理」
「えー…」
さすがにピクニックでふにふには出来んだろう。
「それじゃピクニックに異論ある人は手をあげてくださーい」
「ん」
「お?ミルかどうした?」
「ピクニックに行くならお弁当」
「異論じゃなくて弁当の心配なのね…。まぁ大丈夫だと思うぞ?ドラゴンの肉は腐るほどあるからな」
まぁマジックボックスに入れてたら腐らないんだけどね!
「なら安心」
「安心なのー!」
「お前達は食べるのが幸せだもんなぁ」
「わたしはマスターといる時とふにふにしてもらってる次くらいに食べてる時が幸せー!」
「あたしも」
「お、おう。なんか照れるな」
「モテモテね?」
「これで外見がロリっ子じゃなくて、しかもはちゃめちゃじゃなかったらなお良かったな」
「ロ…リ…?」
あーっと!言葉の選択肢間違えたー!ミルにロリっ子は禁句だった!忘れてたぜ!
「ミル。大丈夫よ。この人ロリコンだから」
「なら大丈夫…!」
何が大丈夫なのか俺には分からないです。
「ロリコン?」
「そうですリン様。見てください。この部屋にいる女の子は全員ちっちゃい子ですよ?主様が意図してしなければこんなことにはなりません」
「た、確かにレンちゃんの言うとうりかも…」
「マスターはロリコンなのー!」
「おいこら!お前達は何を言っているんだ!そしてゼロは声がでかいぞ!お隣の部屋の人に聞かれでもしたらどうするんだ!俺が死ぬぞ!」
「マスターしんじゃうの…?」
「あ、いや、社会的にな?本当に死ぬわけじゃないぞ?」
「よかったー!」
そう言って抱きついて来るゼロ。
ふむふむ。かわいいのぉ。
「ゼロちゃんいいなぁ…」
「お?リンも来るか?」
「いいの?」
「どんとこいだ!」
俺がそう言うとリンも抱き着いてくる。何気に素で話してくれた事に嬉しさがこみ上げるどうも俺です。
そういえばリンが抱き着くのは初めてじゃないだろうか?ふにふにもしてないし。まぁまた今度やってあげようかな?
『やっぱりあなたロリコンね?』
『ちがわい!かわいい子には暗い顔させたら駄目なの!』
『じゃあ私が暗い顔してたら?』
『そりゃあもちろんジュリもしてやるぞ?』
『~!』
おい、自分で聞いてて照れるんじゃない。なんか恥ずかしいだろ。
「主様。私も…」
「あたしも…」
「じゃあピクニック行ったらな」
「はい!」「ん!」
うむ。可愛い笑顔だな!俺の何度も0になったライフが回復するようだよ。…だが0にするのは主にこいつらなんだけどな。
「よーしそれじゃ出発するかー」
「はーい!」「はい!」「ん!」「いぇーい!」「おう!」
今日はいつもより元気がいいな!感心感心。
さて、今日向かうところはゴブリン討伐の時に行った湖。あそこならいっぱい楽しめるだろう。
「それじゃまたあれで行くぞー。ゼロから離れるなよー。ゼロ任せたぞ」
「うん!」
ゼロと俺のコンビネーション転移で1時間もしないうちに全員無事に湖にたどり着く。
「「「「「「ついたー!」」」」」」
「それじゃ日向ぼっこ用のシートみたいなやつひいておくぞー」
俺がひいたのは大きめのやつで皆乗っても充分にスペースはある。
「日向ぼっこする」
ミルはさっそく日向ぼっこに入る。
「私も日向ぼっこするわ」
ジュリもミルの隣で日向ぼっこ。
ちなみに俺の従魔達はというと。
ゼロとリンが追いかけっこ。レンはそれを見守っている。
その従魔達の主である俺は昼ごはんの準備に取り掛かっている。
んー。昼まではもう少し時間あるな…。あっそうだ。バーベキューなんて良くないか?天気もいいし、眺めもいいし。
「昼はバーベキューにしようと思うんだがいいかー?」
「おっ。いいわね」
「「「「バーベキュー?」」」」
「そっか。お前達は知らないのか。バーベキューってのはな野菜と肉をその場で焼いて食べる物だぞ。どんどん焼けるから自分の好きなのをとって食べるといい。詳しくはジュリに聞いてくれ。俺は準備してくるから」
「わかったー!」
「ん」
まぁこのふたりはそうなるよね。
それじゃやりますか。バーベキューの道具作り。食材はあるから何もしなくて大丈夫だ。
俺は木の枝から良さそうなのを持ってきて、道具を組み立てる。
んー。難しいな。ここをこうしてっと。…いやこうか?
などと言いながら無事に完成。するとあら不思議。道具達が光を放ち始めた。
光が収まるとそこにはバーベキューセット一式が。しかも鉄製に見える。
とりあえず鑑定しておくか。
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〔マジックバーベキューセット〕
魔法の力で決して汚れず、壊れないバーベキューセット。魔鉄製。コンロは火が自動で付き、自動で調節される。トングなどは火で熱くなったりしない。魚の蒸し焼きなどを作るための機能も兼ね備えている。焼けたものは焦げないように自動でお皿についでくれるし、ひっくり返すこともしてくれる心優しいコンロ。
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え?これなんてチート?いやチートという表現でいいのか?
だがまぁ説明文を見る限り俺の願望が盛り沢山になってますねぇ。
「ジュリ。ちょっとこれ鑑定してみて」
「いいわよ。………これなんてチート?」
まぁ同じ反応だな。まぁチートで困ることはないしいっか。
「みんなそろそろバーベキュー始めるぞー。集まれー」
皆それぞれ集まってくる。
「今日の食材は、ドラゴンの生肉が5Kg。王都で買った新鮮な野菜が沢山。その他諸々。後はそこの湖で食べれる魚を捕まえれはいいだろ」
「おぉー!」
「はやく…!」
「はいはい。分かったから涎を拭きなさい」
ゼロとミルは全くもう…。
「それじゃ焼くぞ!」
ドラゴン肉と野菜を焼く。肉の焼けるいい匂いが充満する。
でも匂いで魔物が寄ってくるかもしれないなぁ。どうしよう。
するとコンロが淡く光る。おや?おやおや?もしかして進化したのか?
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〔マジックバーベキューセット〕
魔法の力で決して汚れず、壊れないバーベキューセット。魔鉄製。コンロは火が自動で付き、自動で調節される。トングなどは火で熱くなったりしない。魚の蒸し焼きなどを作るための機能も兼ね備えている。焼けたものは焦げないように自動でお皿についでくれるし、ひっくり返すこともしてくれる心優しいコンロ。匂いは吸い取るよ!
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最後に、匂いは吸い取るよ!、の一文が追加されたな。確かに匂いが弱くなった気がする。
火もしっかり起きてるし、ひっくり返すのも全部コンロがしてくれてる。なんというコンロか。これは一家に一台あっても困らない。これ汚れないんだぜ。
「おっ肉焼けたか。ちょっと俺にくれ。調理してみる」
「あらあなたにできるの?」
「やってやるさ」
《料理上手を獲得しました》
「料理上手のスキルが増えたぜ!」
「あなたも大概チートね」
「そんなことより調理を始めるか」
「そんなことって…。はぁ…まぁいいわ」
俺が作ったのはドラゴン丼。米は買ったものだ。
俺がしたことって言えばご飯の上に肉乗せて、作ったタレをかけただけだけどな。だが無駄に見栄えがいい。
「あら、美味しそうじゃない。私にひと口くれない?」
「なんだったら全部やるぞ?」
「太っ腹ね」
「また作ればいいだけだしな」
「それもそうね。じゃ食べてくるわ」
「おう」
ジュリはひとり、ドラゴン丼を食べるため向こうへ。
「レンちゃん一緒に食べよー」
「いいですね。食べましょうか」
レンとリンは一緒に食べるようだ。
「わたし達はお魚捕まえよー?」
「ん」
ゼロとミルは魚を捕まえるようだ。
「そういえばふたりは前も魚つかまえてたな。どうやって捕まえるんだ?」
「手でー!」「手」
そう言ってふたりは服を脱ぎ始める。
「……って、待てぇぇぇいい!!お前ら何服を脱ぎ始めてんだよ!」
「だって濡れちゃうよー?」
「そうだけど!服は着とかないといけないだろ!」
俺がゼロとミルを止めようとした時、誰かに後ろから抱きつかれた。
「ねぇー。私と遊ばなーい?」
「なんだよジュリ!今はそれどころ……ってお前酒くさいぞ!どこから取り出したんだよ!」
俺、お酒もってきてなかったはずなんだけどぉ!?
「そんなことよりー。私と遊ぼーよー」
「酔っぱらいはそこでじっとしてろ!」
「ゼロ今…!」
「うん!」
「ゼロとミルは服を脱がない!」
今助けを呼べるのはレンだけだ…!
「リン様。お口の周りが汚れてますよ。ほら私が拭いて上げます。」
「ん…ありがとレンちゃん。……あぁジュリさんあんなに近くに…。いいなぁ…」
リンのお世話してたー!ちょっと俺を助けてよー!
「あたし達ならいける…!」
「うん!」
「何がいけるだ!いけねぇーよ!具体的には裸になるのがな!」
「ねぇってばー」
「酔っぱらいはじっとしてろって言っだろ!」
「あーん。いけずー」
「お前いつの時代の人だよ!」
「わたしもまざろうかなぁ…」
「余所見するから落としましたよ。ほら新しいお肉です」
「あ、ごめんねレンちゃん」
お願いだからレンとリンは俺を助けてくれ!
「あたしたちはやりとげた…!」
「お魚とるー!」
「おいこら!裸になるな!」
「私と遊んでよー!」
「わかった!わかったから離れろ!」
「えー!遊んでくれないなら離さなーい!」
「酔っぱらいめんどくせー!」
「レンちゃん!わたしたちもあそこにまざろ!」
「そうですね。ではいきましょうか」
「うん!」
マジかよ!それは予想外だった!
「おいこら!お前達までこんでいい!余計ややこしくなる!」
「リン様。あれはツンデレというものらしいですよ。なにやら反対の意味の言葉を言っているとか」
「そうなの?ならはやくいこ!」
「おい誰だ!レンにツンデレなんて教えた奴は!」
「はーい!私でーす!」
ジュリかよ!レンに変なもの教えるなよ!
「主様ー!」
「あ、あるじさまー!」
ちょっ!まっ!飛び込んできたら…!
「うわっぷ!」
「ねー!私にかまってよー!」
「捕まえた…!!」
「おさかなー!」
「ゼロとミルははやく服を着ろ!風邪ひくぞ!」
「はーい!」「ん」
「お前達も後で構ってやるからちょっと待ってなさい!」
「はい」「はーい」「うん!」
はぁ。どうしてこう俺のパーティメンバーは、はちゃめちゃなのか。
………まぁ?楽しいから許してあげなくもないけどね?