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異世界に転生したので楽しく過ごすようです  作者: 十六夜 九十九
第2章 王都そして新しい仲間
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第18話 王女様のようです

 王城の中に入った俺は来賓室に案内された。


 城の中はよくゲームで見るような感じの派手な内装をしている。甲冑とかもたってたぞ。


 ちなみに今俺は1人だ。案内してくれた兵士は門番の仕事に戻るとかでいなくなった。ご苦労様なことである。


 それにしても暇だなぁただ待ってるだけってつまらんよな。


『マスターつまんないって伝わってきたよ?』


 以心伝心め…。以心伝心がこんなに離れてるのに伝わるのも驚きだが、念話で話せるのにも驚きだ。


『あー、1人で部屋に待たされてるからな。することがないんだよね』


『わたしが行こうか?』


『大人しくそこで待ってろって言ったろ?だから来るんじゃない』


『はーい…』


 可愛そうだが仕方ない。魔物を連れ込んだ事で国王暗殺の罪とか国家転覆の罪とかに問われるかもしれないからな。


 するとドアをノックする音が。


「失礼します。私国王の側近で参謀長をやらせてもらってます、ジルドと申します。あなた様が竜殺しの冒険者様でありますか?」


 なんかいい歳の取り方をしたおじさんだな。若い頃はさぞモテただろう。


「あ、はい。そうです。今日は式典のことについて聞いておきたくて参りました」


「なんと礼儀正しい。冒険者達は荒くれ共が多く礼儀を知らない者も沢山いますから。あなた様は礼儀というものを知っておられるのですね。良いことだと思いますよ」


 べた褒めされた。まぁたしかに冒険者には荒くれが多いからな。礼儀正しい冒険者は新鮮なのだろう。


「お褒めいただきありがとうございます。それで話を進めたいのですが…」


「ああ、すいません。式典のことでしたね。式典は明後日の昼頃に開催されることになります。明後日は10時前にここへ来てください」


「分かりました。式典の途中で私がすることはなにかありますでしょうか?」


「そうですね。特に何も無いかと。王の前で一礼して跪けば後は勝手に進みます。終わったら頭をあげて一礼すれば終りです」


「分かりました。ではまた明後日に来ます」


「ええ、こちらこそ」


 そして俺が来賓室から退出しようとした時、いきなりドアが勢いよくあいた。


「ここね!ドラゴンを倒したって奴がいるのは!私がどんな奴か見てやろうじゃない!」


「お、お嬢様!もう少し礼儀というものを…」


「ジルドは黙ってて!」


 勢いよくあいたドアから来たのはなんと王女様らしい。と、言っても中学生の女子とそう大差ない。


 だが、なんというテンプレの王女様。どうせこと後いちゃもんつけられたり、戦いを求められたりするんだろ?


「あなたね!ドラゴンを倒したって人は!」


 元気のいいことである。


「はい。そうでごさいます。王女様」


「な、なんか調子狂うわね…。でもまぁいいわ!私があなたを鑑定してあげる!」


 か、鑑定!?見るってそういう見るだったの?!これはいかん。俺のスキルとか称号とか見たら絶対騒ぎ出すぞ。


「鑑定!」


 はえーよ!俺まだ許可してないし!ああ、終わった……。


「ふむふむ。えっ………こんなのおかしいわ!」


 そうですよね。分かってます。


「こんなに低レベルでドラゴン倒すなんておかしいわ!」


 そっちかい!スキルとかみてないのかよ!


「も、もしかして……」


 おや?王女様の様子が?


「ジルド少し席を外してもらっていいかしら?」


「かしこまりました」


 ジルドさんが行ってしまう。待ってくれ!俺をひとりにしないでくれ!


「では失礼します」


 ああ、行ってしまった…。最後にジルドさんの哀れみの目をみてしまったよ……。


「それじゃ知ってるかもしれないけど自己紹介をしておくわ!私はジュリよ!」


 知らなかったのでありがたいです。


「あなたに1つ聞いておきたいことがあるわ」


「はい、なんでしょう?」


「日本って知ってる?」


 な、なぜここで日本という言葉が出てくるのかさっぱりなんですが。


「その反応、やっぱりね」


「どうして分かったんですか?」


「低レベルでドラゴン倒すとか、地球の日本人が転生する時に神様からチートもらって俺TUEEE!するくらいしかないわよ」


「はぁ。えっとまぁそうなんですかね?」


「ええ、そうよ。ちなみに私も転生者よ?ここの赤ちゃんに転生したわ」


 なんと転生者だったとは。世間は狭いな。


「あなたは転移させられたくち?それとも死んだからここに送ってもらったくち?」


「死んだから送ってもらったくちですね」


「敬語なんて使わなくていいわよ。同じ日本からきた、言わば同郷の友なんだし」


 友になった覚えないんですが……。まぁ敬語とか疲れるだけだしいいか。


「それで?俺になんの用が?」


「私も旅に連れて行って!!」


 いきなり何を言ってるんだこいつは。バカなの?死ぬの?


「あ、今、バカなの?死ぬの?、とか思ったでしょ?あなたもオタクだったみたいね」


 し、思考が読まれた!?


「何をびっくりしてるのよ?私も転生者よ?それも日本の。チートスキル貰ってないわけないじゃない」


 なんと説得力のある事だろうか。


「ちなみに私は支援に特化してるから連れて行っても足は引っ張らないわ!」


「はぁ。着いてくるにしても国王にはどう説明するんだよ」


「結婚する相手のところになら行ってもいいって言われてるから大丈夫よ!」


「は?」


 また何を言ってるのか分からない。というか分かりたくない。


「訳が分かりたくないって顔をしてるわね。分かるわよ。私だって同じことをされたら同じ反応するし」


「なら言うなよ!」


「でもお願い!転生して冒険しないなんて転生した意味がないわ!一生のお願いだから!もしダメって言うならお父さんに、あの人に襲われたっていってやる!」


 逃げ道がなくなった……。国王を引き合いに出すとか卑怯くさくね?


「はぁ。わかったよ。だけど俺はパーティ組んでるからそいつらにも確認するぞ」


「わかったわ!連れて行ってくれるならなんでもいい!」


 なんて現金なやつ。


『おーい。聞こえるかー?』


『聞こえるよ』


『ミルか。ゼロとレンはどうした?』


『ゼロが、レンが飛べるのを知って、わたしを乗せて飛んで!とか言ってた。レンはなんかゼロに押し切られて、ゼロを乗せて飛んでる』


『あいつらなにしてんだよ……。それでミルはなにしてんの?』


『順番待ち』


『お前もかよ!』


 俺のパーティメンバーは残念なやつばっかりだ。


『あら?楽しそうね?』


『ちょ、念話出来るのかよ。そして勝手に入ってくるな』


『楽しそうだったからつい』


『まぁいい。好都合だ。ゼロは後で説教な』


『えー』


『ぐすっ…』


『…おいゼロ。レンが泣いてるぞ?お前何したんだよ』


『え、何もしてないよ?ただ飛ばしてくれないとふにふにされるときにレンに順番あげないって言った』


 お前らどんだけふにふに好きなんだよ。


『ふにふに?なにそれ?』


 ジュリにまでふにふにがっ!?


『マスター、この人誰?』


 ゼロ今回はナイスだ!


『私はジュリよ。新しくパーティに入ることになったわ』


『よろしくー』『よろしくお願いします』『よろしく』


 俺のいない所で勝手に話が進んでいくな。って言うかパーティに入ることはもう決定事項なんですね。


『それで?どうしたの?』


『え、あぁ、いや、ジュリがパーティに入るけどいいか聞こうと思ったんだけど…』


『みんなオッケーみたいね!』


『はぁ』


 また1つ変なのを拾ってしまったか。先が思いやられる。


『それじゃお父さんに結婚してくるって言ってくる!』


『ちょ、おま、こんな所でなにを!?』


『マスターどういう事?』


『主様。今のは聞き捨てならないです』


『結婚するの?』


 約2名は念話のはずなのに圧が凄いです。


『ジュリは王女様で、結婚しないと一緒に行けないそうなんだよ』


『あたしと一緒で王女なのね』


『そういえばミルは魔王の娘だったな…』


 ミルが王女だということに気づいたとき、ジュリが戻ってきた。


「言ってきたわ!お父さんはそいつに会わせろって言ってたから今から行くわよ!」


 なんということか。そこまで考えてなかったわ。


「結婚辞退してもいいですか?」


「襲われたって……」


「はい!精一杯結婚させてもらいます!!」


 こんな嬉しくない結婚なんてしたくなかった。


「じゃあ行くわよ!」


「はい…」


 俺は諦めて国王の元に連れていかれた。連れていかれてる間、頭の中でずっとドナドナが流れてたよ……。

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