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第157話 教皇の娘のようです

 PV数が20万いきました!いつも呼んでくださっている方ありがとうございます!

 そして、ブクマ数が200を超えていることを知って大喜びしてます!

 今後もどうぞよろしくお願いします!

 少女が泣き止んで数分後。上の階を探っていた皆が集合した。


 結果は俺の予想通りで、何処にも教皇はいなかったようである。透過で中に入った時に、幾人かいたようだが、勘づかれる事もなかったようだ。


「で、あなたは犯罪を犯してたというわけね」


「違うわい!ちょっと優しく頭を撫でてやっただけだ!」


「へぇー。そぉー」


「なんだその疑いの目は!」


「でもほら。その子泣いた痕があるじゃないの。あなたが乱暴したから泣いたんでしょ?」


「違うと言ってるだろ!ったく!」


 ジュリは知った上でこんな事を言ってくるのだから手に負えない。


「この子は教皇の娘だ。恐らくだがな」


「まだ確信は持てていないのですか?」


「直接聞いたわけじゃないからな。この子の言っていた事と現場からの推測だ」


「どんな事を言っていたのですか?」


「お父さんのやっている事を止めたいと言っていた。俺には父の悪事を止めると言うふうに聞こえたな」


 それに加え、ここが教皇の家であるとするならば、ほぼこの子が教皇の娘である事は決定だ。


「この子は相当な目にあっていたと思う。死に怯える姿が尋常でなかったからな」


「そうですか……」


「かわいそーなのー……」


「まぁ今は大丈夫だろ。寝てるし。今の内に教皇の所に行きたいのだがな」


「なにか……?」


「これを見ればわかる」


 俺は、服の裾を固く握られている所を見せた。


「へぇー。モテモテねー」


「どう考えても違うだろ!」


「どうかしらね。私の推測だとあなたはこの子に優しく声をかけているのだけど。それも相当キザなものをね」


「う、うるさい!」


「図星なんだ……」


「な、なんだフェイ。その俺を蔑んだような目は」


「いや、ちょっと……ね」


「あるじさまは節操がないですっ!」


「だから違うと言っているだろう!女神も見てないで助けてくれ!」


「えっ?んー。『大丈夫だ。俺達は君を殺したりしない』とか?」


 女神が俺の声真似をして、俺が言った事を繰り返した。


「他にも『君は死ねない理由があるんだろ?』とか『君のやりたい事は悪い事か?』とかも言ってた」


「「「ジトー」」」


「こんのくそ女神がぁ!」


「てへぺろ!」


 その時だった。俺の声が大きかったのか、眠っていた少女が起きた。まだ眠たそうに目をこする。


 しかしその間も俺の裾を握ったままだ。俺はいつになったら開放されるんだ?


「ひっ……」


 俺と女神以外を見て小さく悲鳴をあげる少女。俺達に会った時と同じ反応をしている。


「大丈夫だ。こいつらは俺の仲間だ。悪い事は絶対しない」


「ほ、ほんと……?」


「あぁ、本当だ。だからさ、この手離してくれないかな?」


「あっ……!ご、ごめんなさい!私、安心しちゃって……」


 少女は少し顔を紅くして俯く。


「「「ジトー」」」


「な、なんだよ皆して」


「節操なし……!」


「ミルよ、違うと言っているだろ?」


「ふん……!」


「はぁ……。お前達は一体なんなんだ……」


 俺は脱力し項垂れる。


 なぜこんなにも言われなければならないのだ……。俺何もしてないはずなんだが……。


「こんな人放っておいて、私達で話を進めましょう」


「そうですね。主様には深く反省してもらわないとなりませんし」


「マスターのバカ……!」


 ゼロの罵倒が心に深く刺さったのだが……。ゼロよ……!お前は清い心のままでいてくれ!


 しかし、俺の状態などお構い無しに話を進める皆。もうちょっと俺に優しくしてもいいと思う。


「私はジュリよ。で、私に近い方から、レン、ミル、フェイ、ゼロ、リン。名前はおいおい覚えてもらえればいいわ」


「私の名前はニーナです……」


「あんまり畏まらなくていいわ。その方が楽でしょう?」


「う、うん……」


「ニーナはここで何をしていたの?」


「私は何かが来たって思ったから隠れようとして……」


「そしたらこの人が来た?」


「うん……」


 まぁキッチンの方は水がまだ乾ききってなかったところから大体予想はついてたな。多分俺達が来たのを知って急いだのだろうな。


「あ、あなた達はここに何しに来たの……?」


「私達は、ニーナのお父さんに会いに来たのよ」


「ダメッ!!!」


 ニーナは今までで一番大きな声をあげた。


 何かを知っていて、危ないから引き止めているのだろうな。何となく分かる。


「お父さんの所に行ったら絶対ダメッ!!!酷い事されちゃう!!」


「酷い事?」


「私、見たの!お父さんが無理矢理、人間を人間じゃなくしたところ!」


「人間じゃなくす……」


「私怖くてそこから逃げたけど、お父さんにバレてた……。その日の夜は本当に死ぬかと思った……。その時、初めてお父さんの怒ったところを見た……。あんなのやめてって言ったら、叩かれて、私も人間じゃなくそうとした……。でも、なんでか出来なくてお父さんがまた私を叩いた。私が気を失うまでずっと……。お父さん、お母さんが死んじゃってから変わっちゃった……」


 ニーナは一度死にかけている。殴られてほぼ虫の息だったはず。だが恐らく、教皇が回復魔法で回復させてるのだろうな。何と非道な。


「そんな事をされてるのに、ニーナはなんでここに残ってるんだ?逃げる事も出来ただろ?」


 その問のニーナの答えは、俺達の心に揺さぶりをかけた。


「家族がお父さんしかいないから……。あんなことされてもお父さんだけが私の家族だから……。それにお父さんの事嫌いになれないもん……」


 ニーナは、お父さんを止めたいと言っていた。殺すではなく、止めると。それは、ただ家族が好きだから死なせなくない。そういう意味だった。


「もしも……。もしも俺達がニーナのお父さんを殺すと言ったらどうする?」


「……私はどうもしないかな……。お父さんのやってる事は恨まれても仕方ない事だから……」


「そうか」


「お父さんを殺しに行くの……?」


「……そうしなければならない理由があるからな」


「なら、私も連れて行ってください!お父さんを止める最後の機会だと思うから!」


 俺は止めるつもりだった。足でまといにしかならないと感じたからだ。だが、ニーナの強い意志の宿った目を見て心が変わった。


「いいだろう。だが、自分の身は自分で守れ。いいな?」


「はいっ!」


 大きく返事をするニーナ。その顔にはもう弱気はなかった。


『本当にいいの?死んでしまうかもしれないわよ?』


『それも覚悟の上だろう。俺はニーナの家族への想いにかける』


『そう。あなたがそこまで言うのならいいわ』


『すまんな』


『ここは謝るのでなくて、感謝をするところよ』


『ふっ。そうだな。……ありがとう』


『どういたしまして』


 俺はジュリとの念話を切った。そしてニーナの頭に触れて、必要なスキルだけを渡す。


「皆、教皇の所まで行くぞ」


 俺達は教皇を目指し先に進む。

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