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第154話 教会でお祈りするようです

 皆に何があったのか説明をして、噴水広場を後にした俺達。居た時間は短かったが、有益な情報を得ることは出来た。


 しかしあの夫婦には悪い事をした。頭の悪い中二病に関わらせてしまったのだからな。まったく!中二病は誰だ!迷惑がかかっただろ!


 え、俺?まさかそんなことないだろー。だって俺のあれは演技ですし。中二病じゃないですし。だからあれは俺じゃない。


 そうでないと俺は今後あの夫婦に会ったら『くっ……邪龍がっ!』とか言わないといけないんだぞ!なんの羞恥プレイだよ!恥ずかしすぎて死ぬわ!


「それな自業自得なのだけれど?」


「ばっかお前!俺はやってねぇ!」


「『くっ!し、静まれ!!』だっけ……?」


「ミルゥゥ!!!やめろぉぉ!!やめてくれぇぇ!!」


「『我が娘達よ!』とかも言ってたよー!」


「ぐぉぉ!!精神に攻撃がぁぁ!!」


「右腕にどんな『邪龍』がいるのですかね?」


「あぁ、俺はもうダメだ……。後は皆に任せる……」


 ぐすん……。な、泣いてんかないやい!ただちょっと心の汗が目から滲み出てるだけだい!うわぁーん!


「それだけ元気があればいい方かしら」


「あるじさま、頑張ってたのにお気の毒……」


「リンよー!分かっているのなら助けてくれ!」


「で、でもあるじさまが『あれは俺じゃない!』って思っていたので……」


「なにっ!?俺は自分の首を締めていたのかっ!」


「というか、初めから誰も助ける気はなかったようだけど……」


「フェイ!それは本当なのか!?」


「う、うん。まぁ……。証拠にほら。女神は一人で行く大笑いしてるし」


 あぁん?女神が大笑いしてるだとぉ?あいつ今自分がどんな立場にいるのか分かってないみたいだなぁ?


「女神、笑ってられるのも今の内だぞ」


「アハハ……えっ?」


「お前の立場を明らかにしてやろう」


「な、なにっ?」


「今のお前の立場それは……中二病の妻だ!それがどう言う意味かお前なら分かるな?」


「はっ!まさか……!」


「ふはははは!そのまさかだ!お前も中二病なのではないかという疑いがかけられている!」


「いやぁぁ!」


「泣け!喚け!そして後悔するがいい!ふはははは!」


 なんかちょっと気分がいいな!高笑いしてるせいだろうな!


「マ、マスターが悪者なのー……」


「窮鼠猫を噛むってやつかしら?怖いわねぇ」


「あんなに悪役っぽい悪役ほかにいない」


「あ、あるじさまは悪役じゃないです!……多分」


「リン様に信用されなくなったら終わりですね」


「まぁまぁ皆、本人は楽しんでるんだからそれでいいんじゃない?」


 君達。俺の事をボロクソに言ってくれるじゃないの。一度とっちめてやらないと!


 と、思ったが訂正。返り討ちにされてもっと惨めになるだけですね。分はわきまえてます。


「さて、お遊びはここまでだ。諸事情により噴水広場にはもう行けないが、この聖都にはまだ色んなところがある。でだ。ちょっと教会行かね?」


「教皇、やる?」


「ミルよ。お前は脳筋だと思っていたが違ったようだ。お前は筋金入りの脳筋だ!」


「いぇーい」


「いや、そんな棒読みで言われてもな。……ってちがーう!」


「じゃあ何?邪龍でも静めに行くのかしら?」


「そんなのはいない!いいか?一度しか言わないからよーく聞けよ!」


 何故うちのパーティメンバーはこんなにもアホが多いんだよ……。いや、分かってて言っているから余計タチ悪いんだ。


「いいか?教会に行く理由は"下見"だ!俺とレンにはマップがあるが、それは一回行ったところでないと機能しない。だから行くんだ」


「なるほど。今から教会に行ってマップを埋め、今夜、作戦会議をするのですね?」


「レンの言う通りだ。何か質問は?」


「はい」


「フェイか。なんだ?」


「実際問題、教会に行くだけって言うのも怪しいでよね?そのへんはどうするの?」


「実にいい質問だ」


 やっべー。その事全く考えてなかったわ。どうすればいいんだ?教会とか一回も行ったことないし分からん!


 俺の頭をフル稼働させても、全く思いつかない。これはどうしたもんか。


「……どうしたの?」


「これは、全く考えてなかったって顔ね。あきれたわ」


「だってしょうがないだろ!教会なんて一回も行ったことないんだから!」


「はぁ……。取り敢えず祈りを捧げていればいいんじゃないのかしら?」


「それだ!」


 うんうん。やっぱりパーティメンバーは大事だよな。


「じゃあ教会に行くか。……で、教会どこ?」


「マップを使えばいいじゃない」


「あ、そっか。いやはや、中二病事件から頭が回りませんな!はっはっは!」


 なぜだろうか?いつもはこんなことないんだが……。ま、いっか。俺のフォローは皆がしてくれるさ。


 俺はマップを開き、教会の場所を確認する。


「お、あったあった。えーっと?ここから教会に行くとしたら噴水広場を通って向かって左側みたいだな。やめとくか」


「ちょっと、何勝手にやめようとしてるのよ」


「ジュリ、聞いただろ?噴水広場を通るんだ。辞める理由はそれで充分だろ……」


「はぁ……何も別にそこを通らなくてもいいでしょう?」


「いやしかし、教会に行くにはどうしても噴水広場を……」


 そこまで言った時、ジュリは人差し指を上に向けた。俺には何を言いたいのかさっぱりわからなかった。多分、顔もそんな感じだったので、ジュリは溜息を一つ付いて説明してくれた。


「空、飛べばいいじゃない」


「おお!確かにそうだな!」


「今日のあなたどうしたの?なんかおかしいわよ?なんていうか馬鹿みたいになってるわよ?」


「いや、俺もそう思ってるんだけどな。原因がよく分からん」


「まぁいいわ。じゃあ教会まで行きましょうか」


「そうだな。行くか」


 皆を引き連れて宙を浮く。あまりにも目立つので、どうしたもんかと思っていると、


《透明化を獲得しました》


 という声が。


 創造さんいつもありがとうございます。とても役立ってます。今後もよろしくお願いします。


 取り敢えず、透明化を全員に適用して宙に浮き、教会を目指す。


 教会は、見れば一目で教会だと分かるようになっていた。特徴は大きなステンドグラスだろうな。


 教会へはものの数分で着いた。


「さて、じゃあ入るか」


 大きな両開きの扉を潜り、中へと入る。


 既にこの時点でマップは完成しているのだが、このまま帰るのでは不自然過ぎるからな。お祈りを捧げるか。


 俺達は教会の中に並ぶ長椅子に座り、両手を合わせ、指を絡めた。


 教壇には聖職者がおり、分厚い本をずっと読み上げている。


『このお祈りってどこの神に祈ってるか教えてあげようか?』


 じっとしている事が出来なかったのだろう女神が、念話を飛ばしてきた。ちょっと気になってお祈りに集中出来なくなった。ここはちゃんと聞いておかねば。


『実はね、ここで崇められる神って私のことなの!』


 ブフッ!マ、マジかよ!お祈りする気が一気に失せたわ!


『どう、驚いた?』


『ああ、驚いた。祈りを捧げる気がなくなるくらいに驚いた』


『ちょっと!ちゃんとお祈りしてよ!』


『いやー、お祈りする相手がお前だろ?こんなだらしなくて、天界の仕事を放るようなやつに誰も祈りたくはないぞ』


『むぅー!』


 今回の俺は正論。何も間違ってない。その証拠に、今の念話を聞いていた皆もお祈り辞めてるもん。


『さて、じゃあ帰るか。ちょっと早いがお祈りする気も無くなったからな』


『女神に祈るなんて……一生の不覚……!』


『ミル、それはどういう意味よ!』


『そのまんま』


『うわぁーん!リンー!皆がいじめるー!』


『あ、あの、今回は女神様の日頃の行いが……』


 あ、女神の心に特大の矢が刺さった音が。純粋なリンに言われたら心の傷は深くなるよな。ご愁傷様です。


 こうして俺達は教会をあとにする。

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