表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
143/204

第133話 強敵が現れるようです

ーside:主人公ー


 俺達は火山の大噴火にただ逃げるしかなかった。

しかしどこが出口なのかも知らず、逃げるにしてもどこに向かえばいいのか分からなかった。


 マップを使って出口を探すこともしてみたが、それらしきものは一切見つからなかった。


「俺達閉じ込められたのか……?」


「閉じ込められてるって言うよりマップがそこまでしかないんじゃない?」


「……と言うと?」


「ほら、ここって転移トラップで飛ばされた場所じゃん?もしかしたから火山洞窟って言うマップはあっても、その他のマップがなかったりするのかなって」


「そうかもしれんな。だが、その中をどう生き残ればいいのやら」


「私、知らないよ?だってこの転移トラップってトラップにかかったものを殺すのが目的なんだし。その点は他のトラップと何ら変わりないね!」


「マジかよ……。このままだと俺達死ぬ可能性があるかもしれんな……」


 しかし、女神が言った事が全て事実ならどこかに次のステージに行くための仕掛けのようなものがあるはず。それを探すか。


「あっ!みてみて!あそこ何か開けてない?あそこなら休憩出来るはず!早く行こー!」


 女神が少し興奮気味に話し、俺を置いてそこまで走っていく。


 確かに開けていて休憩も出来そうではあるのだが、俺の中の何かが警鐘を鳴らしている。


「あーっ!」


 先に行った女神の大きな声が俺の耳にまで届いた。何か女神の身にあったのかと思い、急ぎ女神の元に行った。


「女神!何かあったのか!?」


「うん!看板があったよ!」


 あ、うん、いやね、俺の何かあったは、何か起こったのかっていう意味だったんだが……。まさか、看板があったよと言う返事が帰ってくるとは思わなかった。何か走ったのを損した気分。


「この看板読んでみるよ!」


 俺の気なんてお構い無しに看板を読み始める。


『未来を望む者、この地の精霊と相見える。その者、己の力を信じ、やがて栄光を掴まん』


「今回は短いね?」


「まぁだろうな。精霊に勝てばいいぞしか言ってないんだから」


「だとしたら、精霊を探さないと戦うも何も無いよ?」


『その心配は無用だ。未来を望む者達よ』


 俺達の頭上で、俺達ではない誰かの声がした。


『この地まで辿り着いた者は久しい。久々の強者に我の闘争心が高鳴るぞ』


 その声の正体はだんだんとその姿を現す。


『さあ、我と戦い未来を勝ち取ってみよ!』


 俺達の目の前に降りてきた精霊は実体がなく、炎自身が己の身体であるかのように振る舞う。


『我が名はイフリート!四大精霊にして炎を司る精霊なり!』


 そうして、俺達が栄光を掴むための戦いが始まる。



◇◆◇◆◇



ーside:ゼロー


「とうちゃくー!」


「あ、危なかった……」


 わたしとリンは雪崩に飲み込まれそうになったけど、山頂に転移したおかげで何とかなった。


 下の方では未だに雪が斜面を流れていて、さっきまでわたし達がいた所が飲み込まれた。


「あのままだったらわたし達死んでたのー!リンのおかげなのー!」


「そ、そんなことないよっ。今回はたまたまだからっ!」


「そーなの?でも助かったからいい!ありがとー!」


「う、うん。どういたしまして」


 じゃあどんどん先を目指して行こー!


「リン!あそこ行こー!」


「あそこって?」


「何か刺さってるところー!」


「本当だ。でもあれって確か……」


「考える前に行動あるのみだよー!」


「ゼロちゃん!こういう時は普通逆だよ!」


「気にしない気にしない!」


 わたしは何か刺さっている所に向かった。そして、その刺さっていたものの正体が分かった。


「ゼロちゃんっ!わたしを置いて先に行かないでよっ!」


「リンこれ、どこかで見たことあるよねー?」


 わたしは刺さっていたものを指さした。


「これは看板っ!もしかしたら次に進めるか……」


『勇気ある者、己の目で怪奇なる者を視る。その者、迫り来る恐怖に打ち勝ち、新たなる極を得る』


「ゼロちゃんっ!読むなら読むって言ってよ!」


 私にはなんの事かさっぱり分からない。


「リンは意味わかるのー?」


「わたしもわからないけど……」


『あんた達だね。私のテリトリーに無許可で入り込んだ奴は』


「だ、誰っ!」


「リン、後ろなの!」


 そこに居たのは青白い着物を着た女の人。だけどただの女の人ではなく、顔や身体が真っ白で目が大きく見開いていて、口が裂けている。


「ひっ!お、お化け!」


『あんた今私を見て化け物扱いしたね。あんた見たいな奴は私が殺してあげる』


「リン危ない!」


 わたしはリンを突き飛ばした。リンのいた場所には細長くて鋭いつららが、三本刺さっていた。


『ちっ。余計な事をしてくれるね』


「あなたは誰なの!」


『私は雪女。この地に住まう者の頂点に君臨する者よ』


「頂点……」


『さぁ、あんた達にはこの地を治める者として死を贈ってあげる』


 雪女はわたし達に向けてつららを投げてきた。



◇◆◇◆◇



ーside:ミルー


 家が飛ばされることもなくなって少したった。


「出てみる」


「そうだね。でも慎重にね?」


「まかせて」


「まかせてもなにも……」


「とう……!」


「えっ、ちょっと!」


 あたしはフェイの忠告を守る事もなく外に飛び出した。するとあたし達を囲むように人か並んでいた。


「ミルっ!慎重にって……あれ?これはどういう状況?」


 私の後を追って出てきたフェイもこの状況に困惑しているみたい。


「……あぁ。水じゃないのか……」


「村長……。このままでは私達の村は……」


「もう……終わりか……」


 何を言っているのだろう?水?水なら出せるけど。


 あたしは水を振りまいた。


「おぉ!水だ!」


「久しぶりの水だ!」


 するとあたし達の所へ一人、近づいてくる人がいた。


「あなた達は、水を出せるのですか!その力を我々を助けるためと思って使ってもらえませんか!?」


「え、えっとあのぉ……」


「あぁ、すいません。私はこの村の村長をやっております。今この村は水が汲めない状態に瀕しているのです」


「どういう意味?」


「この村はオアシスの周りに作られていて、毎日そこから水を汲んでいたのです。しかし、三日程前から恐ろしい魔物が居座り、水が汲めない状態なのです」


 なんと。大事な水が飲めないなんて。そんなのただ死ぬのを待つだけ。何とかしてあげたい。


「ねぇ、ミル。あそこ見て。看板がある」


 フェイが言ったあそことは、人々の後の事。確かにそこに看板がある。


「読んでみるよ?」


『愛情深き信徒、この地の村を訪れん。その者、村を壊滅せし元凶を排除し、光に満ちた世界に引き込まれる』


「だって。って事は村長の言ってる魔物を倒さないと」


「ん。分かった」


 あたしは村長に魔物を倒す事を伝えた。すると村長は目を丸くして驚いていた。


「なんとありがたきことか!この村を救ってもらった際にはお礼をさせていただきます!」


「ん。待ってる」


「では魔物がいる所までご案内させていただきます。付いて来てください」


 そうして連れていかれた先でわたし達は恐ろしいものを見た。


「あいつです。どうかこの村をお救い下さい」


 村長はそう言って帰って行った。


 あたし、こいつがこんなに大きいなんて聞いてない。


 そいつは全長が軽く十メートルはありそうな雰囲気で、硬い殻に囲まれている蠍だった。


『ぬぅ?人間よ。また性懲りも無く私に挑むか。お主らはここで緩やかに滅びればいいものを……』


「私達、気配を消してたはずなのに……!」


「こいつ強い」


『……お主ら戦い慣れておるな。それにこの村にいた人間でもない。救世主を気取るつもりか』


 少し威圧をかけられてる気がするけどあの人程の威圧ではない。あたし達ならこの程度は余裕で耐えれる。


「違う。ただあなたを倒さないといけない理由があるだけ。村を救うのはそれの副産物」


『くかか!お主、悪魔のようなやつよの。己の欲に従うとはな』


「なんとでも言っていい。あたしはあなたを倒す」


『よかろう。この私の威圧に一歩も怯まなかったお主に免じて全力を出して戦ってやろうかの』


「むしろ望むところ」


『くかか!本当に面白い奴よの。……では行くぞ。我が名はデザートスコーピオン。我が道を塞ぐものには容赦せぬ!』


 そして、私とフェイは戦いを始める。



◇◆◇◆◇



ーside:ジュリー


 増水する川から逃げ、崖の上に登った私とレン。そこには何かを奉ってるであろう石碑が建っていた。


「これは何かしら?」


「石碑には、この下に眠っている者の名前が掘られてるようですが……」


「フレイヤねぇ……。なぜに豊穣を司る神がこんな所に埋められているのかしら?」


 この石碑には"豊穣の神フレイヤここに眠る"と掘られていた。私が転生する前には北欧神話に出てくるだったけど、ここでも神様やってるなんてびっくりね。


「フレイヤはこの地を護っているのでは?それを人々が眠るというふうに解釈したのでしょう」


「人々って言ってもここは転移トラップのステージよ?私達以外にどこに人が……」


「お、お前達は誰だっ……!フレイヤの石碑に何の用だっ!」


「……いたわね」


 私達を見たその男は、少し痩せこけており、目が少し狂気じみているような気がした。しかし、レンは何も感じていないようだった。


 もしかしたら地球で殺された時のあの男と同じ目をしていたから、そう思ったのかもしれない。


「そ、そこをどけっ!」


 男はそうして私達を突き飛ばし、石碑に触れた。


「なんなのよあの男は」


「私にもさっぱり……」


 私は石碑に触れてばかりいる男を見るのをやめて辺りを見回した。


 すると石碑から離れた所に看板が立っているのを見つけた。


「レン、あそこに看板が立ってるわ。行ってみましょう」


 そうして看板が読める所までレンと一緒に行った。


「読むわね」


『慈悲深き者。この地の神と邂逅す。されどその神、邪気に侵され邪神と化す。その神を殺さず救いし時、新しき扉が開かん』


「……らしいわ。神のことはもう分かるのだけど、この邪気がなんなのか分からないわね」


「……もしやあの男!」


「それだわ!」


 そうして私達が、男の方を見た時はすでに手遅れだった。


「あははは!これであいつらに復讐できる!この絶対的な力の前では誰も俺には逆らえない!」


 石碑から黒い煙のようなものが立ち、それがだんだんと形をなしていく。


「さぁ、いでよ!邪神フレイヤ!」


 そして現れたのは、全体的に黒く、目が赤くなっている女だった。


『我が名はフレイヤ。破壊の限りを尽くす者』


 フレイアの声が複数の女性が発しているかのようになっており、いくつかの声音が聞こえた。


「ふははは!いいぞ、完璧だ!後はどれくらいの力を持っているのかを試すだけだ!さぁ、フレイヤ!あそこにいる女二人を殺せ!」


『…………』


「何してる!早く殺せ!」


『……排除する』


 私達はフレイヤが襲いかかってくると思い構えた。しかしフレイヤは予想外の行動を取る。


『滅殺』


「ぐおおおっ!!な、何故この俺にぃぃ!!」


『我に命令する者には等しく死を、我に従う者には破壊の為の力を、我を拒む者には絶望を与える』


「ぐわぁぁぁ!!」


 その男は灰になって消えた。そして、フレイヤの矛先が私達を向く。


『お前達は我に従うか。それとも拒むか』


「私達は邪神とかしたあなたを救うわ」


「待っててくださいフレイヤ様!」


『我を拒むか……。ならば絶望を与えねば』


 そうして私達と邪神フレイヤの戦いが始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ