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第132話 災害に見舞われるようです

ーside:主人公ー


「くっ……暑すぎてすぐばててしまう……」


「私もう疲れた……。休憩にしよう?」


「さっきも休憩したばかりだろ」


「この暑さじゃ無理ないと思わない?」


 火山洞窟を進み始めて小一時間ほど経っている。俺達は頻繁に休憩を取りながらあってるのかも分からない道をひたすらに進む。


「流石にこのままでは無理。私が死ぬ」


「はぁ。氷出してやるからこの中で休憩でもしてろ」


「わーい!ありがとー!」


 ほとんど棒読みで感謝の言葉を口にする女神。女神はこれを作ってもらうためだけに、ごねたのだろう。


「ほらよ。これで満足か?」


 俺が氷を出してそう言った時だった。火山が振動を始め、次第に振動は大きくなっていく。


「な、なに?なにが起こってるの!?」


「ま、まさか!」


 俺が考えついたのは火山が噴火するという最悪な状況だった。もし、こんなことになったら俺達はひとたまりもない。


「ここで休憩してる暇はないぞ!走って逃げろ!」


「う、うん!」


 俺達は走り始めた。そしてそのすぐ後に、火山は俺が大きな音を立て、噴火した。


 洞窟内ではヒビが入り、そこからマグマが流れ込んで来たり、振動のせいで洞窟が崩れそうになっていたりと、危ない状況だ。


「ど、どうするの!?」


「とりあえず走れ!それ以外に出来ることはないっ!」


 マグマに追われたり、洞窟崩壊の危機を魔法でどうにかしながら走り続けて、俺達はある場所に辿り着いたのだった。



◇◆◇◆◇



ーside:ゼロー


「さぁ、どんどん行くのー!」


「ゆっくり行かないと危ないよっ」


「へーきへーき!」


「もうっ!ゼロちゃんってば!」


 わたし達は頂上を目指して進行中。早くも飛ばされた所から頂上までのちょうど半分の所まで来れた。


 ちょっと寒いけど、我慢すれば今は何とかなると思う。


「あったかくなりたいからはやくはやくー!」


「わたしはゼロちゃんみたいに早く行けないよっ」


「大丈夫何とかなるー!」


 わたしとリンでそんなやり取りをしていた時だった。突然、頂上の方から大量の雪と氷がこっちに向かって滑り落ちてきた。


「ん?どうしたのー?」


「あ、あれは雪崩!?ゼロちゃん!逃げないと巻き込まれて死んじゃう!」


 雪崩って言うのかぁ。あれの下敷きになったら寒そー!そんなの嫌だ!逃げないと!


「わたしは逃げれるけどリンはー?」


「わたしを置いてでもいいから!」


「そんなのダメなのー!一緒に逃げるのー!」


 わたしはリンの側に転移をした。


「ゼロちゃん……!」


「リン。今から逃げるのー!」


「うんっ!」


 リンはわたしの手を握り、わたしもそれを握り返した。


 わたしは雪崩に巻き込まれないように、ここから見える山頂付近に転移をした。



◇◆◇◆◇



ーside:ミルー


「暑い……」


「ん……」


「砂に足が取られる……」


「ん……」


 あたし達が歩き始めて約一時間ほど、まだまだ当たりは砂だらけで、何の風景も変わらない。


 唯一変わったのはあたし達の体力が減った事くらいだ。


「あそこに浮いている水溜りはほんとにあるのかな……?」


「多分ない」


「だよねー……。じゃあ街は?」


「ない」


 あたし達が向かっているところがあっているのかすら分かっていない。こんな状態で大丈夫なのだろうか?


 あたしがこの先を心配していたら、あたし達の右側で、何か大きなものが蠢いているようだった。


「あれなに?」


 あたしはまだ気づいていなかったフェイに知らせた。すると答えはすぐに帰ってきた。


「あれは砂嵐っ!?」


「砂嵐?」


 あれは砂嵐って言うのか。また一つ賢くなった。


「この辺に隠れる場所は!?」


「ない。……でも造れる」


「じゃあそれをお願い!」


「ん。まかせて」


 砂嵐が襲って来る前に、済ませないといけない。あたしは、急ぎ魔法を使ってあたし達が入れるほどの大きさの仮の家を作った。


「早く入らないともうそこまで来てるよっ!」


「終わった。入って」


「うん!」


 そして、あたし達がその家に入った時、砂嵐に襲われた。


 強風に煽られてどんどん転がって行き、意味をなさなかった家だった。しかし、砂嵐が過ぎた後にどこにいるのかを考えると満更嫌でもなかった。



◇◆◇◆◇



ーside:ジュリー


「ジメジメしてて気持ち悪いわ……」


「道という道もないですし、体力的にも厳しいものがありますね……」


「「はぁ……」」


 私達は川がある所に着き、上流に向けて歩き始めていた。だけど、今どこに向かっているのかすら分からずに、ただひたすら歩き続けている状態になっている。


「唯一の救いは未だに罠が発動してない事くらいかしらね……」


「こんな所で罠が発動したあかつきには、火炎魔法を辺りに乱射します」


「レン落ち着きなさい。それをすると私達の身も危なくなるわ。ここは氷魔法で氷漬けにするのよ」


「なるほど。その手がありましたか」


 罠対策は早ければ早いほどいいと思う。いつ発動するのかも分からないのだし、すぐに対応できた方がいいしね。


「まぁ一番は罠が発動しないのがいいのだけれどね」


「はい、そうです……ん?」


 レンが途中で話すのをやめて上空を見た。それにつられて私も上を見ると、空が曇天模様になっており、今にでも雨が降りそうになっていた。


 気圧が少し下がって来ている事が肌で感じる事ができ、直感的に酷い嵐になる事が分かる。


「嵐が来ますね」


 レンも嵐が来ると予見した。そして、ポツポツと雨が降り始め、早い段階で土砂降りの雨へと移り変わる。


 穏やかだった川は次第に水位を上げ氾濫し始め、強風と共に私達に襲いかかる。


「レン!今すぐ川から離れるわよ!」


「はい!」


 濁流になり始めた川に一度飲み込まれたらそれで終わり。できるだけ川から遠くで、高い所を目指して逃げる。


 強風に煽られて強く揺れる草木で、皮膚を切ることも多々あるが、そんな事を気にしている暇はなく、だんだん迫ってくる川から逃れる為だけに走る。


「……あそこなら、川は襲ってこないはずよ!」


 私は目の前に見えた崖上を指し示して、レンに伝えた。


「私が転移魔法を使いますから、私に捕まってください!」


「分かったわ!」


 私はレンに触れ、二人で崖の上へと転移をした。

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