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第131話 過酷な環境のようです

ーside:主人公ー


 二回目の転移の光に包まれてすぐ事。俺と女神、そして、シロは新たなステージに飛ばされた。


「……っと、二度目の転移をしたみたいだな」


「そうだね。で、次のステージはここかぁ……」


「分かるぞ、女神。お前の気持ちが」


「ニャー……」


「そうだよなシロ。お前も同じだよな。だってここは火山洞窟だからな」


 そう俺達が二度目に飛んだのは火山洞窟。洞窟の中は熱気で満たされ、息をするだけでむせそうになるほど。


「「暑い……」」


「ニャ……」


 転移してから間もないのに俺と女神は汗が引き出す。シロはいつもの俺の服の中ではなく、外に出てヘタレてしまっている。


「この中を進まないと行けないのぉ……?」


「進まなければ皆に会うことも出来ないからな。……だがこの中を進むのは骨が折れるぞ」


「どうにかしてよぉ……」


「どうにかって言ってもな……。氷魔法でどうにかなればいいが」


 俺は氷魔法をダイヤモンドダストのように粉にして辺りに振り撒くが、その瞬間に溶けてしまい何も起こっていないことと同じだった。


 次に粉ではなく固形の氷を出し周囲の温度を少し下げたのは良かったのだが、蒸発までが早く、水蒸気となったものは高温になっておりまた周囲の温度を上げた。


「ダメだ……。この火山を止めない事にはどうしようもなさそうだ」


「えぇー……。私動きたくない……」


「駄々をこねても仕方ないだろ。さっさと行くぞ」


「ニャア……」


「ほら、シロを見習え。シロは自分から歩き始めようと……」


「ニャ……アァ……」


「シロッ!大丈夫かっ!」


 シロは歩き始めたのだが、途中で倒れてしまった。やはり暑すぎだからだろう。俺はシロを両の手の平に乗せた。


「これも試練だと言うのか……。なら先に進まなければ……」


「私もついて行く……。一人だと死んでしまいそう」


「女神に死ぬとか言う概念があるのかは疑問だがな……」


「何よ、神は信仰されなくなった時点で死ぬんだから」


「そうなのか。もう分かったから話さずに先に進もう。じゃないと無駄に体力を使う……」


「そうね……」


 ボケとツッコミにいつものキレもなく、ただ熱気でだるくなっているのを痩せ我慢しながら先に進む。



◇◆◇◆◇



ーside:ゼロー


「んー!つ、着いたのー!」


 わたし達が来たのは、一面が雪と氷で出来た山。海から氷山に来たから風は強いし、とても寒い。


「ゼ、ゼロちゃんっ。はは、早く厚着しないとっ!」


「そそそうだねー!」


 うぅー!声が震えるー!早く服を着てあったかくなりたいっ!


「はははいこれっ!ゼゼロちゃんのふ服だよっ!」


「ああありがとーっ!」


 わたしはリンから受け取った服を何枚も重ね着をして丸くなる。


「はふぅ。ちょっとだけあったかくなったのー!」


「で、でも耳とか手とか足とかが冷たくなっちゃう」


「どうにかしてあったかくしたいのー!」


「火を起こすしかないと思うけど……」


「火ーっ!」


 わたしは火を起こす為に、炎魔法使った。だけどその炎はすぐに萎んでしまって、全くあったかくならなかった。


「全然ダメなのー……」


「土魔法で四方を囲んでしまえば風は凌げるし、樹木魔法で火を維持出来ると思うっ。だ、だけど……」


「だけどー?」


「こんな斜面じゃとても……」

 

「んー。そうかぁ」


 今氷山にいるけど、平らな所なんて見渡す限り近くにはないなぁ。近くにはないけど、てっぺんならちょうど平らになってそうな所がみえる!


「リンっ!あそこいくのー!」


「ま、待ってよゼロちゃんっ!あそこって頂上だよっ!?」


「あそこならあったかくなれるのー!だから頑張るのー!」


「ひ、一人で行かないでっ!」


 わたし達は暖を取るためにてっぺんを目指す。



◇◆◇◆◇



ーside:ミルー


 目の前が鮮明になってきて今までいた所ではない所に来たことが分かった。


「こ、ここはどこなの?」


「見渡す限り砂……?」


 日が燦々と降り注ぎ、それを照らし返すように砂がキラキラと輝いている。


 見てる分には綺麗だって感動するけど、ここにいるとやっぱりきつい……。


「「あ、暑い……」」


「……やっぱり暑いよね」


「ん。それに歩きにくい」


「もしかしてこの先を行くの……?」


「多分」


「行けると思う……?」


「無理」


「だよねー……」


 暑くて頭が働かない……。そのせいで単語しか喋れてない。


「ミル……水をくれない?」


「ん」


 あたしは水魔法で飲み水を出してあげた。


「んくっ……。ありがとう。私は魔法も少しは使えるけどMPが少なくてすぐにばててしまうから、また頼ってしまうかも……」


「大丈夫。いつでも頼って」


「うん」


 飲み水はまだ魔法でどうにか出来るけど、この暑さはどうしようもない。歩きにくいのは樹木魔法で足場を作ってしまえば多分大丈夫。


「やっぱり先に進まないと行けないよね……」


「どこに向かう?」


「んー。あそこは?なんか水溜りみたいなのが浮いてるところ」


「あそこなら何かありそう」


「じゃあ、あそこで決定」


 あたし達はそこに向けて歩みを進める。



◇◆◇◆◇



ーside:ジュリー


「飛ばされた先がここなんてね……。嫌な予感しかしないわ」


「私も同じ事を思っていると思います」


「どう考えてもここはあれが来るわよね」


「ええ、来ますね。あれが」


「「触手が」」


 私達が飛ばされた先は密林。分かりやすく言うとジャングル。ここには木々に絡んだ蔦や蔓があり、蛇やそれに準ずる魔物が多く居ると推測出来る。


「しっかりとフラグを回収してしまうのね……。こういう時はフラグをへし折りたくなるわ」


「フラグ……?回収……?」


「あー。レンは知らなくてもいいのよ。あまり関係ない事だから」


 はぁ。なんでよりによって私達が触手の餌食になるのかしら。しかも今度はレベルアップして帰ってきた。密林の中から外に出るのは難しそう。


「でもまぁここに来たからには先に進まないと行けないわよね」


「ええ、そうですね。あまり気は乗りませんが」


「そうよねー。それが問題なのよ」


 何せここいるだけで触手に追いかけられる未来が待っているのだから。誰が好き好んで触手なんかに捕まるかっていう話だ。


「気に病んでも仕方ないわ。早く行きましょう」


「ええそうですね」


「向かう先は川。幸い川のせせらぎが聞こえる。この近くにあると思っていいわ。後はそこから上流に向けて進みましょう」


「はい」


 私達は川を探しに密林を練り歩くことになった。

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