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異世界に転生したので楽しく過ごすようです  作者: 十六夜 九十九
第6章 結婚式そして仕返し
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第113話 一難去ってまた一難のようです

「・・・とひうふぁけなんでふ」


 頬を真っ赤に腫らした状態で、事情を説明した俺。


 何故頬が真っ赤になっているのかというと、皆に捕まったあと、問答無用でビンタされたからである。


 皆強いのに手加減一切無しで殴ってくるんだもん。そりゃあまともに喋れなくなるよな。


 ちなみに殴られた後は道端で正座させられて、お説教タイム。


 道行く人に見られながら怒られるのはとても惨めだった。泣きたい……。


「なんて言ってるのか聞き取りづらかったけれど、事情は分かったわ。もっと早めく言ってくれればこんな事にならなかったわよ?」


「話をする前にビンタしたのは誰だ」


 おっ、普通に喋れるくらいまで回復したか。自己再生のおかげだな。


 だが、最近自己再生に頼りすぎだと思うんだ。ビンタは仕方ないにしても、戦闘の傷はあまり負わないようにしよう。


「全く……。フェイの早とちりで酷い目にあった……」


「わ、私のせいだって言うの!?」


「だって、説明しようとしてるのに逃げるし、誤解したまま皆に話すし……」


「それはあなたが馬鹿みたいな事を言うからでっ!」


「でも、全部本当の事だって言っただろ?」


「うぅー……!」


 唸っても駄目だぞ。全部本当の事なんだからな。


「じゃあ、あなたに聞きたいのだけれど、フェイの裸を見たというのはどういう事なのかしら?」


「えっと、あの、その、それは裸と言うより下着姿で……」


 怖い!言い方は普通なのに、なんでか分からないけど怖い!


「ふーん。それで?」


「裸ではないといいますか、なんといいますか……」


「あなたはこの期に及んでそんな事を言うのね」


 この期に及んでってなに!?俺、これの前は何もなかったんだけど!


「だ、だが事実だ!」


「事実だとしても女の子の下着姿を見るのも裸を見るのも変わらないわ」


「えっ、そうなの?」


 俺は皆を見ながら答えを待つと、すぐに皆が頷き始めた。


「男のあなたには分からないでしょうね下着を見られる恥ずかしさが」


「そうそう!俺男だから分からないんだ!だからここは許してくれない?」


「許すわけないじゃない。それにその態度……。これはきついお仕置きが必要みたいね」


 うぇ!?マジかよ……。自分で自分の首を絞めてしまった。


「さーて、何をしようかしら?」


「裸で帝都一周」


 ミルがとんでもない爆弾を投下してきた。これはひどい。


「それいいわね。ちょうど裸だし、これで少しはフェイの気持ちも知れるわ」


「いやいや!そんなの倫理的にダメだから!」


「…………それもそうね」


 その間はなんだね?もしや少し迷ったりしたのか?


「じゃあ他に何か案がある人」


「裸で磔にする、とかはどうだ?」


 エルシャさんがそんなことを言ったのだが、それさっきと言ってることが殆ど変わらんぞ!


「だから倫理的にダメだって言ってるだろ!何故裸にこだわる!はい次ぃ!」


「裸で盆踊りというのはいかがてしょうか?」


 レンがいい提案をしたみたいに周りが反応を示している。しかし俺は認めん。


「盆踊りだけならいいのに、なぜ裸にした!裸ダメ!絶対!はい次ぃ!」


「マスターだけ裸で鬼ごっこ!」


 実にゼロらしい回答だ。しかしそんなのは許さん。


「鬼ごっこをするだけなら構わん。しかし裸はダメに決まっているだろ!はい次ぃ!」


「は、裸でベットイン……とか?」


 おうふ。こんな所で下ネタとは。だが皆は盲点だったとか言って結託しはじめた。


「ば、馬鹿は休み休みでいえ!俺はそんな事せんぞ!」


「「「ちぇー」」」


 ちぇーってなんだよ、ちぇーって。当然だろ。


「じゃあ逆に言うけどなんの裸がいいのよ?」


 逆でもなんでもないぞそれは!


「裸が駄目なの!言ってる意味わかる!?」


「「「はぁ……」」」


 何故そこで溜息をつくんだお前達は……。溜息は俺が吐きたいんだが……。


「私の裸見て欲情してたくせに!」


 すると突然フェイがそんな事を言い出す。しかも言われのない事を。


「してないし、その逆だ!俺はフェイの裸に欲情するどころか、なにか感じる事すらなかったわ!」


「ひ、ひどい……。私の裸見たのに開き直るなんて……!」


 お、おや?この流れは俺が一方的に悪くなる流れでは?


「あなた……人の裸を見ておきながらなんてことを……」


「マスターのエッチ」


「主様……信じておりましたのに……」


「君はそこまでの変態だったのか」


「……犯罪者」


「…………あ、あるじさまって裸に何も感じないの……」


 若干一人は自分の世界に入っているが概ね俺は貶されている。


 しかしミルの犯罪者はグサッとくるな。あれは不可抗力だというのに。


「おい、見つけたぞあいつだ!」


「おらっ!お前ら行くぞおぉぉっ!!」


「「「おぉぉ!!」」」


 ん?なんか騒がしくね?


 俺はその騒がしくなっている方を向く。


 するとある集団がこちらに向かって全速力で走ってきていた。


 俺はその集団の内の一人と目が合った。そいつは俺と目が合った瞬間に親指で首を切るジェスチャーをした後に、そのまま親指を下に向けた。


 要するに首を切って地獄に落ちろというわけだ。


 という事はこの集団、俺を狙って来ているという認識でいいのか。


 なるほど、これはひどい罰だ。まさか二日連続で追いかけられることになろうとは。


 ちなみに皆は声がした時点で俺から離れ安全を確保している。


「捕まえて殺せー!」


「犯罪者を許すなー!」


「俺達が成敗してやるっ!覚悟しろっ!」


「お主の脳味噌を豆腐と入れ替えてやる……っ!」


「俺の闇の力で葬り去ってやる!ダークインフェルノ・ノヴァっ!!」


「邪悪なロリコンに神の裁きをー!」


 一般人に正義の味方、忍者や中二病、それに聖職者までいるし……。


 俺としてはツッコミどころ満載で、めっちゃツッコミたくなるんだが。


 ただ、俺の好きだった忍者がロリコンだった事がすごく残念。こいつ一体何者なんだよ……。


 っと、そんな事はどうでもいいからとりあえず逃げるか!


 俺は集団に捕まる前に逃げだした。


「ゴラァ!逃げんじゃねえよハゲ!」


「私から逃げられると思ったら大間違いですよ」


「へっ!あんな奴俺が捕まえてやるよ!」


「主らは頭に血が登りすぎなのじゃ。ここはわしに任せい」


「お前達。こんな所で何を油売っている」


「「「「だ、大王様……!」」」」


「さあ行け!私の配下たちよっ!!」


「「「「はっ!」」」」


 お前ら楽しそうだな!?実は俺を追いかけるのはする事がないからとかだろ!絶対そうだ!


「お前ばっかりずりーんだよ!」


「女の子はお前の事ばかりで!」


「俺達には振り向かねぇ!」


「顔かっ!?やっぱり顔なのかっ!?」


「くそっ!あいつ見向きもしないぞっ!」


「「「これだからイケメンはっ!」」」


 お前ら……。ただの僻みならやめとけって。そんなんだから女の子が寄ってこないんだよ……。


「待てぇ!そして俺に女の子と友達になる方法を教えろぉ!」


「というか、それ以前に友達の作り方を教えろぉ!」


「俺達を救うと思って、ここは立ち止まってくれ!」


「「「なぁ!お願いだぁ!」」」


 俺を騙そうったってそうはいかんぞ!お前ら三人は既に友達だ!でなければそんなに仲良く見えるはずがない!


 それから俺は次から次へとくるボケを心中だけでツッコミながら帝都内を逃げ回っていった。



◇◆◇◆◇



ーside:女神ー


「またやってるねー。これは長引きそう」


「よくもまあ飽きずにやるものだこと」


「「「うんうん」」」


 取り残された私達は過ぎ去っていく集団を見送る。


「あのー、もしかして一昨日の夜騒がしかったのって……?」


「フェイの思っている通りよ。一昨日の夜も追いかけられていたわ」


「人気者なんですね」


「そ、そういうわけじゃないと思うけど……。あ、あるじさまがいないからツッコむ人がいない……!どうしよっ!」


 この子は相変わらず可愛いなぁ。あの人の事となると頭がおかしくなるけど、大抵は正常だし、いつも本気だからなぁ。うらやましい!


「さてと、あの人も行ってしまったし、私達はクエストに行かないと」


「そうだった。クエスト忘れてた」


「主様は毎回何かしら大事をしでかしますからね。忘れるのも無理ありません」


「そうだぞ。私も自分が告白したのを忘れるくらいだ!」


「そ、それを忘れるのは……。やっぱりわたしじゃダメっ!あるじさま、助けて!」


 ツッコミ不在とはこんなにもおかしなことになっちゃうのかぁ……。今日一日はほとんどそれだから頑張ってね!


「女神はあの人の代わりにフェイをよろしく頼むわね」


「はいよー!私に任せなさい!」


「すごく心配だけれど、しょうがないわね……。じゃあ行ってくるわ」


「いってらっしゃーい!成功を祈ってるねー!」


 ジュリは背中越しに手を振って、クエストに向かっていった。


 ジュリのあれ、様になるのがびっくりだよね。なんて言うか、とてもスマート!


「あのー、女神様?」


「私の事は女神でいいよ!それに、こんなんだけど腐っても神様だから強いよ!安心してね!」


「女神さんはこれからどうするの?」


 さん付け……。まぁいいでしょう!


「フェイってもうお酒飲めるよね?」


「の、飲めるけど……まさか!」


「そう!そのまさか!さぁ飲みに行こう!」


 私は強引にフェイを連れて、さっき見つけた飲み屋さんまで向かった。

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