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異世界に転生したので楽しく過ごすようです  作者: 十六夜 九十九
第1章 転生そして討伐

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第12話 ドラゴン討伐のご褒美のようです

 ドラゴンを討伐してダルダナンに戻って来た討伐隊。


 エルシャさんによると、今回のドラゴン討伐は奇跡と言っていいほどに負傷者がいなかったらしい。血まみれで倒れていた冒険者の2人は、重症だったものの命に別状はなかった。俺から言わせればそっちの方が奇跡なんだが。


 討伐隊のみんながわいわい騒ぎながら帰って来たこともあり、住民の人達は無事に討伐出来たのだと安心して、我が家へ戻り始めた。


 俺達は宿に戻ろうとしたのだが、エルシャさんに呼び止められた。


「すまないが、今からギルドに来てくれないか?」


「いいですけど、どうしたんですか?」


「今回のドラゴン討伐の功績による報酬の話とランクアップの話をするためだ」


「ランクアップですか!?」


「あ、ああ」


 おっと、ちょっと引かせてしまった。だけど仕方ないだろう。今のところ俺の目標はギルドカードの色を黒か白にすることなんだから。


 そういう事でギルドにやって来ました。


「それじゃ私の部屋で話をしようか」


「分かりました」


 今日でCランクになるのか。楽しみだ。


 俺はエルシャさんの部屋についてすぐに椅子に座った。


「それじゃ今日のドラゴン討伐での君の功績なんだが、ほぼ1人でやってしまったのでな、話は簡単だ」


「牛若丸とか片翼の翼とかの人達も頑張ってましたけど……」


「だからほぼと言ってるだろ?今回のドラゴン討伐には総計で1千万G位の報酬が出るだろう。そこらから君には6割、牛若丸と片翼の翼、それにギルドには1割ずつ、残りは参加した冒険者達に送られるだろう」


 6割ってことは……600万G!?


「そ、そんなに貰えないですよ!ましてや俺はDランクですよ!?本来は参加出来なかった奴なんですから報酬はいいですよ!」


「しかし、君がドラゴンを倒したのを見ていた奴は大勢いるからな。こちらとしても送らないわけにはいかないんだよ」


「む、むぅ…」


「はっはっは、そんなに悩むことは無い。冒険者のランクというものはただの目安だ。低ランクでも強いやつは確かにいる。君のようにな。もちろんその逆も然り。それはどの冒険者も分かっているさ」


「そ、そうですか。そこまで言うなら……」


「分かってくれたようで何よりだよ。あ、それと今回のドラゴン討伐は国王に報告するから、もしかしたら王都に君が呼ばれるかもしれないね?」


「うへぇ。面倒くさそうだなぁ」


 どうせ巻き込まれるんだろうな。体質的に。はぁ。


「君ならそういうと思ってたよ。だが、ドラゴン討伐者には竜殺しの称号を送るってことになってるから我慢してくれ」


「はぁ。わかりました。その時は王都に行きますよ」


「それじゃ次はランクアップについてだが……」


 きたー!待ちに待ったランクアップ!


「今回はドラゴン討伐を1人でこなし、冒険者達をその身を呈して護ったことを評価して、Dランクから2つ上げてBランクにあげることになる。ランクアップは受付にいけば出来るだろう」


「ホントですか!?」


「もっと上げたかったのだが、2つまでと決まっていたのでな。済まない」


「いえいえ、充分ですよ!」


 まさか2つ上がるとは思ってなかった。Bランクってことはギルドカードの色が白になるのか!目標が早くも達成されたわけだ。


「ああ、本当だ。しかし、わたしからするとSSランクにしたいんだ。だがそれには条件があってな。君は知らないのだろう?」


「ええ、まぁ」


「それじゃ教えておく。SSランクと言うのはいつでもなれるものなんだが…」


「はい、いつでもなれるってどういう事ですか?」


 俺は手を挙げて尋ねる。分からないことがあったらその都度聞いた方がいいと思うしね。


「簡単に言うと、条件を満たしていればEランクからSSランクになることも可能だって事だね」


「なるほど、それじゃその条件って言うのが?」


「ギルドマスター3人の推薦と国王の承認だね」


 なるほどな。SSランクになるって面倒くさそうだわ。


「そういう事で君をSSランクにすぐにあげるってことはできないんだ」


「あ、いえ、お構いなく。SSランクになるつもりはないんで」


 そう俺はSSランクになるつもりはない。俺はギルドカードを黒か白にするためにランクをあげてるからな。


「そ、そうか。君には欲というものがないのだな……」


「何を言ってるんですか。俺にも欲ありますよ。食欲とか」


「そういうことを言ってるんじゃないのだが………まぁいい。話はこれで終わりだ。なにか質問あるか?」


「報酬がいつ届くかだけ知っておきたいですね」


「そうだな……準備に1週間ぐらいかかるだろう。それくらいに取りに来るとい」


「分かりました。質問はそれくらいですね」


「そうか。それじゃ今日はここまでだな」


「ええ、早く帰ってゆっくりしたいですよ」


「ははは、そうだな」


「それじゃエルシャさん。また」


「ああ、また」


 俺はエルシャさんの部屋をでた。


 そのまま受付に直行してすぐにランクアップをした。


 あぁ。白はいい。だが、黒も捨てがたいんだよなぁ。


『マスターは相変わらず嬉しそうなの』


『そりゃあ目標が達成されたからな』


『やっぱりわたしはよくわからないの』


『んー。あ、ゼロが俺の従魔になった時と同じ感じなはず』


『それならわかるの!わたしあの時すごく嬉しかったんだぁ♪』


 分かってくれたようで良かった。


 しかしながら、やっぱりゼロは可愛いな。ふにふにするの忘れないようにしよう。


『主様?』


『もちろんレンも忘れてないぞ?』


『♪』


 ……うちの従魔はどちらも可愛いです。


 そうこうしながら俺は、商店街に向かっている。


 ゼロとレンの頼みである食べ物を探すためだ。出発前は商店街に何も無かったからな。だが、今回は大丈夫だろう。


『レン、人化していいよ』


『はい』


 ……うん。自分に似てるってすごく不思議な感じだよね。でもまぁ周りからは妹に見えるだろう。


「じゃあレン。何食べたい?」


「そうですね。…ドラゴンの肉?」


「あぁ、そんなのあったな!ゼロは?」


『わたしもドラゴンの肉がいい!』


「それじゃみんなでドラゴンの肉食べるか」


『うん♪』「はい♪」


 ドラゴンの肉は俺のマジックボックスに入れてある。料理してくれる人を探すか。


 俺は料亭を探した。と言っても目の前にあったんだがな。俺はいつの間にか商店街を抜けていたらしい。不思議である。


 えっと?森の妖精っていう料亭なのか。ドラゴンも森で討伐したし、これも運命だろう。


 俺は料亭に入る。


「いらっしゃいませ!」


 出迎えてくれた人はまぁまぁイケてる男の人。


「あのお願いがあるんですけどいいですか?」


「はい、なんでしょう?」


「ドラゴンの肉で料理してくれませんか?」


「ドドドドド、ドラゴンの肉ぅ!!?」


 何を焦っているのだろうか?


「ええ、そうですけど、どうかしました?」


「い、いや、何でもないですよ。それでどれくらいあるのか聞いても?」


 俺はマジックボックスからドラゴンの肉を5kgほど取り出す。マジックボックスの中にはまだドラゴンの肉がたくさん残っている。


「こ、こんなにですか…」


「それでどうですか?やってくれますか?」


「ええ!もちろん!!ここのスタッフ一同で必ず美味しく仕上げて見せます!」


「ありがとうございます」


 ドラゴンの肉で料理を作ってくれることになった。


「すいません、3人前で作って下さい。これは、ほんの気持ちです」


 俺はそう言って、さらに5kgの肉を渡す。男の人はびっくりした顔で受け取り、奥に消えてった。


 俺達は席につく。ゼロは机の上、レンは俺の目の前に座る。


「主様。私とても楽しみです」


「俺もドラゴンの肉食べるの初めてだから楽しみだ」


『どんな味するのかな?』


「スライムに味覚あるのか?」


『あるよー。美味しくないのはあんまり食べないけど、強くなるためだったらなんでも食べるのがスライムなの!』


 ふんすーとか聞こえてきそうなくらいのテンションだな。


 しかし、スライムという種族の事がよくわからん。最弱だから強くなりたいってことは分かるのだが、なぜそこまでして強くなりたいのかわからん。


 その事をゼロに尋ねると、『んー?本能?』みたいな返事が来たのでさらにわからなくなった。


 それからは料理が来るまで話をしながら待った。


 そしてついにドラゴン肉でできた料理が運ばれてきた。


 そこには厚切りのステーキが3枚。


 さっそくいただこうとナイフを入れると、それだけでわかるほどの柔らかさ。そして溢れる肉汁。


 俺はその一切れを口に運ぶ。


 口の中に広がる肉汁。ほどけるようになくなっていく肉。


 とにかく、最高だった。


 レンも俺の見よう見まねで食べていく。ひとくち食べてからそれはもう肉の虜になっていた。


 ゼロはさすがにナイフとフォークは使えないので俺が食べさせている。


『ゼロ、あーん』


『あーむ!んー!おいしぃー♪』


 ほっこりするなぁ。…おっと、レンからの熱い視線が。


「ほら、レンも。あーん」


「あーむ!むふふ♪」


 2人とも天使に見えますよ。美味しそうに食べるのを見てると幸せになるよね!


 周りの男の視線が時々痛いがそんなのは気にしたら負けだ。


 それからも俺達はドラゴン肉をめいいっぱい堪能した。


『「「ごちそうさまでした!」」』


「とても美味しかったです」


『そうだねー』


「それはなによりだよ。それじゃ、帰るか!」


『うん!』「はい!」


 俺は店を出る時に会計をしようと思ったのだが、入って来た時の男に


「貴重な食材を調理させてくれただけじゃなく、食材まで貰ってしまったのでお代なんていりません!」


 と言われてしまったので、それでは悪いと思って、さらに5kgほど渡してあげた。この料亭の人気が出ると嬉しい。


 そして俺達は宿に戻った。

 ドラゴンの肉美味しそうですよね。私も食べたいです。

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