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異世界に転生したので楽しく過ごすようです  作者: 十六夜 九十九
第6章 結婚式そして仕返し
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第105話 仲間が増えるようです

「ふあぁ……また眠ってしまったみたいだな……」


 修行などといいながら、ぐっすりと眠ってしまっていた俺。そのおかげか今日一日の疲れは取れたが、やはり修行の成果はない。


 この修行するのは二回目だが、それだけでこの修行が俺に向いていないのが分かるな。もしかしたら修行するタイミングが悪いだけなのかもしれんが。


 前回した時も今回もだが疲れが溜まってる状態だったしな。


 そんなことを考えていると部屋の扉がノックされた。


「はい、どうぞ!」


 俺が返事をして、部屋に入って来たのは使用人だった。


「失礼致します。御夕食の準備が出来ましたのでお呼びに上がりました」


 もうそんな時間か。結構眠ってたようだな。


「わざわざありがとうございます。ところで、俺の仲間には既に声をかけているのですか?」


「いえ、これからかけようかと思っております」


「でしたら俺が起こしにいくので少し待っていただけませんか?」


「かしこまりました」


 俺は自分の仲間を呼びに隣の部屋に向かう。もしあの時のままだったらとても見せれるものではないからな。


 俺が部屋に入ると多少変わってはいるが案の定、そのままだった。


 皆眠っていて服のはだけ方とか酷いことになってる奴いるし、俺が来て良かった。


 とりあえず俺は皆を起こす。使用人の人を待たせるのも悪いしな。


「おーい、みんな起きろー。夕飯の時間だぞー」


「ゆう……はん……!」


「……ごはんー!」


 一番最初に起きたのはミルとゼロ。やはりこの二人は食べ物で釣るのが早い。


「……ん、ふわぁぁ……おはよう…」


「……!まさか寝顔見られたっ!?」


 次に起きたのはジュリとエルシャさん。起き方は対象的だが、起きるのが早くて助かる。


 まだ眠っているはレンとリン、それと女神の三人だ。しかし起きる気配はまだない。そこで声をさっきより大きくして起こしにかかる。


「起きろー!夕飯の準備が出来てるぞー!」


「……すいません眠ってしまってました……」


「……あるじさま、おはようございます…」


 珍しく起きるのが遅かったレンとリン。二回目で起きてくれたし謝らなくてもいいと思うぞ。


 真に謝らないといけない奴は未だに起きる気配が無い奴だからな。


 俺は女神に近寄って叩き起こそうとする。すると女神が寝言を言い始めた。


「……うぅっ……先輩のおたんこなす……」


 おたんこなすって……。一体なんの夢を見ているんだこいつは。うなされてるようだから楽しい夢じゃないのは分かるんだが。


「……い、いやぁぁ!!」


「うぉっ!……びっくりしたぁ」


 いきなり女神が大声を出しながら飛び起きてきた。俺の心臓に悪いからそういう起き方はおすすめできないぞ……。


「……な、なんだ夢かぁ……」


「とりあえずおはよう」


「うん……おはよう。でも本当に夢で良かった……。まさか先輩の不祥事を私が被って堕とされるっていう夢見るとは思わなかった……」


 女神の世界はよく分からんが、こいつが項垂れる程だ。よっぽどの事なんだろう。


 だが今はそんなのはどうでもいいのだ。


「これで全員起きたな。今から夕食に行くぞ。……皆身だしなみを整えとけよ?」


 俺がそう言って皆は自分の姿に気付いたようだ。急いで身だしなみを整え始めた。


 身だしなみを整え終えた皆とともに待たせていた使用人のところへ行き、夕食の席まで案内してもらう。


 そうしてその部屋の前まで案内された俺達。ここに来るまでにとても美味しそうな匂いが漂っていた。


「こちらでございます」


 使用人に促され部屋の中に入ると、帝王様やフェルト達が既に席についており、テーブルの上には様々な料理が置かれていた。


「ようやく来たか。空いている席に好きに座るといい」


 帝王様の指示に従って適当な場所に座る。


 すると目の前の人に話しかけられた。


「あ、あんたがお父さんが言う人だったの?」


 話し掛けてきた人を見てみるとフェイだった。


「フェイか。さっきぶりだな」


「なんだお前達、既に知り合いだったか」


 帝王様は俺とフェイが会っていたのを知らなかったらしい。


「その事についてはまた後で言及するとしてだ」


 言及しちゃうんですか……。ほんとに娘の事となると途端に親バカになるんだから……。


「全員揃ったようだから、食事を始めるとしよう。……では、皆、グラスを持ってくれ」


 皆が言われたようにグラスを持って、待機する。


「何の縁か今ここに集まっている中には国の王家が居る。そこで親睦を深める意も込めてこの食事の席を設けさせてもらった。今日は無礼講と言うことで楽しんでもらえたらと思っている。それでは親睦が深まることを願って乾杯!」


「「「乾杯!」」」


 乾杯の掛け声とともにグラスが掲げられる。


 帝王様はグラスに入っていた酒を一気に飲み干し、次々に酒を飲む。


 確かに無礼講とは言っていたがここまでの無礼講とは……。だがまあ俺達からしたらこれくらいがちょうどいいかもな。


「ほら、お前もどんどん飲め!」


 帝王様が俺に酒をよそい始める。


「程々でお願いしますよ」


「なんだつまらん奴だな」


「俺は酒豪というわけではないので」


「そうか。……ところでさっきの話だが」


 ふむ。それが本題か……。早速来たか。


「フェイと知り合いとはどういう事だ?それにお前もフェイと言って親しげに話していたがそれについても詳しく教えてもらおうか?」


 結構食い気味に来るなぁ。別にいいんだけどさ。


「フェイと会ったのは偶然ですよ。フェルトの部屋と間違えてフェイの部屋に入ってしまっただけですから」


「しかしそれだけではフェイと親しくなれるはずがない。フェイは極度の人見知りであるのだ。ほかの理由があるはずだ」


「それなんですけど、どうやらフェイの人見知りは治ったようですよ?フェルトもその場にいたんで知ってると思いますけど」


「なに!?それは本当か!」


 フェイは人見知りが治ったことを帝王様に言ってなかったみたいだ。帝王様はフェイに事実なのか確認しにいってるみたいだしな。


「フェイ、人見知りが治ったというのは本当か!」


「うん……私もそう思ってたんだけど……」


「だけど?なにかあったのか?」


「人見知りはまだ治ってないみたいなの。あの女の子達を見てから気付いて……。あの人は大丈夫なんだけどね」


「ふむ。不思議なものだな。なぜあいつには人見知りしないのだ?」


「私にもわからない」


 どうやら人見知りが治ったというのは勘違いだったようだ。俺の仲間達を見て人見知りしてしまってるらしい。そこは慣れるまでの辛抱だろうな。


 帝王様がフェイと話している間に、俺はレオンが居ることに気付いたのでレオンのところにいった。


 どうせレオンはフェルトに強制参加させられているのだろう。レオンの性格からしてこんなところに参加しようとしないだろうし。


 いやーしかし少し見ないうちにげっそりしてるな。


「レオンさん、もしかしてお楽しみでしたか?」


「う、うるせぇ!」


 えっ、何この反応。もしかして本当に……。


 俺はフェルトの方を見てみた。するとなんかすごくつやつやしてた。


 俺の仲間達はその事について言及しているみたいだが、これは確定ですね。黒です。


「マジか。お前、遂にフェルトに手を……」


「だ、大体お前のせいだろ!お前が俺になにかしたんだ!」


 これはもう認めてるな。逃げれないと悟ったのだろう。


「いや、俺はスキルを渡しただけだぞ?そのおかげでマッサージ上手くなっただろ?」


「確かに上手くなったが上手くなりすぎなんだよ!あんなの耐える方が無理だ!」


「ふっお前は甘いな。俺は幾度となく耐えてきたぞ」


「マジかよ……。もしかして俺とフェルトが見たあれは……」


「そう、あれはそのあれだ」


「お前本当に男か?よく耐えれるな」


「お前よく見てみろ。あいつらの背格好を。ほとんど子供と変わらんだろ。だから耐えるも何も無いのさ」


 俺が手を出した時点でそれは犯罪になりかねんからな。まぁ出すつもりなんて一切ないんだがな。


 そんな事を考えているとレオンがフェルトの元に連れ去られていった。可哀想に……。ご愁傷様です。


 一人になった俺は料理を皿に取り始める。ようやく静かに食事が取れるしな。


 俺が料理を口に運び込もうとしていた時、一人の女性が俺に向かって手招きしていた。


 その女性はフェルト達と同じく銀狼族で大人の妖艶さのようなものを備えていた。


 俺はその女性に招かれるままに近寄った。


「あなたですね。私の子達に新たな刺激を与えてくれている方は」


 その女性は俺に開口一番そんな事を言ってきた。


「私はフェイとフェルトの母親のフェアリアと申します。あなたですよね?フェイが唯一人見知りをしなかった方で、フェルトに勝負で勝ったという方は」


「それは確かに俺です。なにか悪い事が?」


「いえその逆です。私はあなたに感謝をしているのです」


「感謝ですか?」


 俺何か感謝されることしたっけ?俺がフェルトに試合で勝ったし、フェイに関しては下着姿見たし、感謝されることってなくね?


「ええそうです。あなたと出会ってからのフェルトは表情豊かになり、ボーイフレンドまで出来ました。フェイは一人で部屋から出てきて、食事の席に自分から出たいと言えるようになりました。二人の母として、とても嬉しく思います」


 見方によってはそういわれると確かにそうだな。だけど、フェルトはジュリ達と友達になったから表情豊かになったのだろうし、フェイは自分の力で克服しようとしているのだろうと思うんだが。


「そこでなんですが、フェイをあなたの旅に同行させてもらえないでしょうか?」


「フェイを同行ですか?」


「はい。フェイはあなたには人見知りしませんし、可愛い子には旅をさせよといいます。それならあなたにフェイを預けて旅をさせてあげたいのです。押し付けがましいかも知れませんがお願いできませんか?」


 ふむ。俺としては仲間が増えるのは嬉しいが、これからすることを考えるとすこし気が引けるよな。


「ちなみにその話はフェイにはしているんですか?」


「ええ。フェイもあなたと一緒なら旅が出来るだろうと言っていました」


 フェイには確認済みか。……どうも俺じゃ決めきれん。皆に聞いてみるか。


 俺は移動するのも何だったので念話で聞いてみることにした。


『あのさ、フェイを旅に連れて行ってくれって言われてるんだけど皆はどう思う?』


『いいんじゃないかしら?』


『おそらくその子も私達と同じでしょうし』


『そうそう』


『仲間が増えるの!?やったー!』


『あるじさまはどうなんですか?』


『俺はなんとも……』


 俺が少ししぶっていると女神が背中を押すような事を言った。


『悩むくらいならその子の気持ち優先でいいんじゃない?それ以外はあなたならどうとでもできるでしょ?』


『まぁある程度はそうだな』


『じゃあ仲間にしてあげれば?』


『分かった。そうする』


 最後は女神に背中を押される感じだったが、フェイを仲間にすることは決まった。


 今後どうなるか分からないが、新しい仲間が増えたことは嬉しい事だ。


「フェイを旅に連れていく事、了解しました」


「ありがとうございます」


 こうして、俺達の仲間にフェイが加わることとなった。

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