第102話 現状を確認するようです
とりあえず帝城へ入った俺達。目の前に広がる風景は、王城と違って全体的に荘厳な雰囲気で威圧感がある。
「客人だ。部屋を用意してくれ」
「かしこまりました」
帝王様は使用人を呼んで、部屋を用意するように言った。
「レオンはこっち!」
「お、おい!そんなに引っ張らなくても行くから!」
レオンは相変わらずフェルトに振り回されているようだな。
しかし、それを見た帝王様は血相を変えた。
「レオンだと!?何故あいつがここにいる!」
今まで一緒にいたのに気付かなかったんですか……。
「レオンはフェルトに、来ないと酷いことすると言われて連れてこられてるみたいです」
「……くっ!それではあいつを追い出せんではないか!ならば我が娘に手を出さないか監視をつけねば……」
さすがにそれはやり過ぎなのでは……?フェルトに監視がバレて嫌われても知りませんよ。
「フェルトへの監視は後で付けるとしてだ。お前には勇者の件で聞きたい事がある、私に付いてこい。お前の仲間はこいつが用意した部屋に案内してくれる」
メイドっぽい人が帝王様の後ろに立って、俺達にお辞儀をした。そして、皆はこのメイドさんに連れられて行く。
俺はここで皆と別れ、帝王様に連れられて謁見の間まで来た。
帝王様は玉座に座って、俺に勇者の事を話せと促してきた。
「ではお話をさせてもらいます。事の発端は……」
俺は自分が知っている勇者の事を全て包み隠さず話した。
魔王城に攻めてきたこと、勇者は唆されていたこと、そして現在は誰かに操られている状態であるということ。
帝王様は俺の話を、目を瞑って静かに聞いていた。
俺が全てを話し終わると、重い瞼を開けた。
「……む?すまん、寝ておったわ。話の内容を簡潔に教えてくれ」
帝王様は静かに聞いていたのでなく、ぐっすり寝ていただけだった。
この人自分から聞いておいて寝るとはどんな神経をしているのだ……。
「簡潔に言いますと、勇者を道具として使っている何者かがいて、そいつを止めないといつか大事になります」
「ふむ。その何者かには心当たりはあるのか?」
「分かりませんが、教皇が全ての鍵を握っている様に思われます」
「教皇というと聖国の重鎮ではないか。……まあよい。また何か分かったことがあったら私に報告しろ」
「はい」
これで話は終わり、帝王様が呼んだ使用人に俺は部屋へと案内された。
部屋は城の雰囲気と同じであったが、広く、快適そうだった。そして何よりふかふかのベッド。今日はぐっすり眠れそうだ。
隣の部屋では俺の仲間達がわいわい騒いでいるようだ。
「しかし暇だな。何もすることがない」
俺は独り言をつぶやく。
いつもなら皆が騒がしく退屈しないから余計に暇を感じる。
「あ、そういえば、今レベルどれくらいだ?武道会に出た事でレベル上がってると思うんだが」
俺はステータスと唱えた。
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Lv.85
HP:12500
MP:8000
【魔法】
炎魔法・火炎魔法・水魔法・土魔法・風魔法・闇魔法・光魔法・雷魔法・氷魔法・時空魔法・回復魔法・浄化魔法・復活魔法
【創作魔法】
嵐魔法
【スキル】
〖生活補助系スキル〗
言語理解・創造・マジックボックス・鑑定・念話・マップ・聞き耳・整体師・千里眼・触手・推理・対話・料理上手・遠隔操作・予知予測
〖戦闘補助系スキル〗
威圧・炎無効・自己再生・衝撃無効・完全感知・以心伝心・共有・状態異常耐性・魔力転化・硬化・超硬化・重量操作・衝撃波・魔法継承・スキル封印・思考加速・スキル削除・思考破棄・痛覚遮断・思考解読・衝撃吸収・並列思考・分身・スキル継承
〖身体強化系スキル〗
筋力強化・筋力強化大・筋力強化極・俊敏強化・俊敏強化大・俊敏強化極
〖攻撃強化系スキル〗
剣聖・剣術・物理威力増加・物理威力増加大・物理威力増加極・拳王・拳聖
【称号】
巻き込まれ体質
女神の寵愛を受けた者
ロリっ子に好かれる体質
竜殺し
守護者
武闘会優勝者
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まあ当然ながらレベル上がってるみたいだな。スキルに関しても用途はほとんど分かってるし、説明は見なくても大丈夫だろう。武闘会優勝者っていう称号もそのまんまだしな。
ただ一つ気になるものがあるのだ。称号を見てもらえると分かるが、ロリっ子を引き寄せる体質からロリっ子に好かれる体質になっている事だ。
何故進化しているのだ……。こんなのはいらんぞ……。
「……ンニャ?」
「ん?シロどうしたんだ?」
「ニャーオ」
「そうか、お前も強くなったか。なら確認してみるぞ」
「ニャン」
ステータス!
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マウスネコ
Lv.30
HP:4000
MP:1000
【魔法】
結界魔法・守護魔法・回復魔法
【スキル】
〖生活補助系スキル〗
魅惑・聞き耳・夜目
〖戦闘補助系スキル〗
感知・無音・毒牙
〖身体強化系スキル〗
俊敏強化・俊敏強化大
【称号】
伝説の魔物の子
従魔【シロ】
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シロも結構レベルが高くなってきてる。まあシロは予選でバレるまで無双してたからな。こういう事もあるか。
武道会に少し出ただけのシロがここまで強くなったのだ。他の皆も強くなっているだろう。
すると隣の部屋のドアが開く音がした。そして、ドタバタと忙しない足音が俺の部屋の前で止まる。
まさかと思ったもの束の間、俺の部屋のドアが勢いよく開けられる。
「エルシャの告白を断るとは何事であるか!」
「ちょっとジュリエット様!それは言わない約束ですよ!」
「なによ。エルシャだって私の事をジュリって呼ぶ約束でしょ」
「いやさすがに女王様に向かって愛称で呼ぶのは……」
「あなたの事が好きで……」
「あー!あー!分かりました!呼びます呼びますから!それは言わないでぇ!」
こいつらは何をしに来たんだ。コントなら帰ってくれ。
「マスター!」
ゼロが俺の元に走ってきて飛び付く。俺も慣れたもので、しっかりと受け止める。
「むふー!」
ゼロはほっぺをスリスリしてくる。
なんか娘が出来たらこんな感じがいいなって思う今日この頃。
「変な顔してる」
「主様はそういうのがよろしいのですか?」
「ゼロちゃんうらやましいなあ……」
ミルやレンからはジト目で見られ、リンはゼロを羨ましそうに眺めている。
「いやな、俺に娘が出来たらこんな感じがいいなと思っただけだぞ?別に変な事を考えてたわけじゃないからな」
「えーそれほんとー?俺、ゼロとの子供が欲しいんだ、とか思ったんじゃ……」
「馬鹿言え!そんなこと考えるわけないだろ!」
全くこの女神は何を言い出すかと思えば……!
「それで?皆は何しにここに来たんだ?」
俺は今の話を逸らすためにそんな事を聞く。
「最初に言ったじゃない。どうしてエルシャの告白を断ったのかって」
「でもさっきエルシャさんがそれは言わない約束とか言ってたのが聞こえたんだが?」
「そんなの知らないわ。さあ早く教えなさい」
「ちょっとジュリ様!知らないってなんですか!」
「様もいらないのだけど、まぁそれくらいなら許してあげるわ。でもそれとこれとは別」
「えー!そんな事言わないでくださいよぉ!」
……もう勝手にやっといてください。その間に俺は皆のステータス確認しておくんで。
じゃ、一斉にステータス!
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ゼロ
Lv.40
HP:4500
MP:7000
【魔法】
炎魔法・火炎魔法・水魔法・氷魔法・土魔法・樹木魔法・風魔法・暴風魔法・闇魔法・光魔法・結界魔法・封印魔法・浄化魔法・生活魔法・雷魔法・時空魔法・回復魔法・蘇生魔法
【スキル】
〖生活補助系スキル〗
念話
〖戦闘補助系スキル〗
魔物化・硬化・粘性・擬態・変形・奪取・強奪・魔力転化・物理無効・魔法耐性・無詠唱・状態異常耐性・感知
〖身体強化系スキル〗
魔力増加・魔力増加大
〖攻撃強化系スキル〗
剣術・剣技・魔法威力増加
【称号】
スライムの枠を超えたスライム
魔物化【古のスライム】
乙女
覚醒者
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レン
Lv.45
HP:4000
MP:8000
【魔法】
全魔法
【スキル】
〖生活補助系スキル〗
言語理解・鑑定・念話・マップ
〖戦闘補助系スキル〗
魔物化・硬化・軟化・魔力転化・飛行・状態異常無効・自己再生
〖身体強化系スキル〗
魔力増加・魔力増加大
〖攻撃強化系スキル〗
剣術・剣技・魔法威力増加
【称号】
武器の枠を超えた武器
魔物化【インテリジェンスウェポン希少種】
魔法を統べるもの
乙女
覚醒者
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ミル・ラ・ハルストル
Lv.65
HP:6000
MP:13000
【魔法】
炎魔法・火炎魔法・水魔法・氷魔法・土魔法・樹木魔法・風魔法・暴風魔法・闇魔法・深淵魔法・奈落魔法・光魔法・結界魔法・封印魔法・支援魔法・生活魔法・雷魔法・回復魔法・蘇生魔法
【スキル】
〖生活補助系スキル〗
念話・千里眼
〖戦闘補助系スキル〗
魔力転化・無詠唱・状態異常耐性・索敵・隠密・暗器使い・ドレイン・予知予測
〖身体強化系スキル〗
魔力増加・魔力増加大・魔力増加極
〖攻撃強化系スキル〗
剣術・剣技・魔法威力増加・魔法威力増加大
【称号】
魔力に愛されしもの
魔王の娘
乙女
覚醒者
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ジュリエット・ファン・グランザム
Lv.55
HP:7000
MP:10000
【魔法】
炎魔法・火炎魔法・水魔法・氷魔法・土魔法・樹木魔法・風魔法・暴風魔法・光魔法・聖光魔法・極光魔法・支援魔法・結界魔法・守護魔法・封印魔法・浄化魔法・生活魔法・召喚魔法・精霊魔法・回復魔法・蘇生魔法
【スキル】
〖生活補助系スキル〗
言語理解・鑑定・念話・看破・対話・未来予知・交渉術・料理上手・家事上手・礼儀作法
〖戦闘補助系スキル〗
思考解読・祝福・無詠唱・罠感知
〖身体強化系スキル〗
魔力増加・魔力増加大・魔力増加極
〖攻撃強化系スキル〗
剣術・剣技・魔法威力増加・支援効果増加・支援効果増加大
【称号】
支援魔法の使い手
精霊に愛されしもの
国王の娘
乙女
覚醒者
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リン
Lv.45
HP:6000
MP:7000
【魔法】
全魔法
【スキル】
〖生活補助系スキル〗
言語理解・念話・千里眼
〖戦闘補助系スキル〗
魔物化・硬化・軟化・魔力転化・飛行・感知・状態異常無効・自己再生
〖身体強化系スキル〗
魔力増加・魔力増加大
〖攻撃強化系スキル〗
槍術・槍技・魔法威力増加
【称号】
武器の枠を超えた武器
魔法を統べるもの
乙女
覚醒者
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皆もしっかり強くなってるな。ゼロとリンには覚醒者の称号が増えてるし。俺には一切出る気配がないんだがな。
まあそれだけ皆が頑張っている証拠だろう。
だが、これでもまだ足りない。勇者達はレベルが200は超えていた。さすがにそこまでいかなくてもそれに近い強さは必要になる。
それでなんだが、レベルを上げるなら何処がいいんだろうか?
俺、勇者達がレベルを上げたところなんて聞いてないんだけど。もしかしたら誰か聞いてるかも。
「なぁ、誰か勇者がどこでレベルを上げたか知ってるか?」
「それならダンジョンって言ってたわよ」
ジュリが答えてくれたが、その後すぐにエルシャさんをからかいに戻った。
「ダンジョンか。今度情報を探ってみるか」
明日からの具体的な予定はダンジョンの情報を集める事で決定した。
俺はこれを決めた時に、武道会終わったばっかだけど明日から頑張っていこうと思った。