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異世界に転生したので楽しく過ごすようです  作者: 十六夜 九十九
第6章 結婚式そして仕返し
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第101話 王城に招待されるようです

「武道会終わったみたいだな。そういえば優勝した景品とかないのか?」


 長く続いた武道会が終わったはいいが、俺はそんな事に気づいた。


「何を言っておるんだ。優勝者には名誉が送られるではないか」


「お父さんおかえりー」


 俺の疑問に応えてくれたのは、こちらに戻ってきた帝王様だった。


「フェルトー!ただいまぁ!!会いたかったぞー!」


「ちょ、やめてよお父さん!レオンもいるんだから!」


 帝王様はフェルトを見つけると一目散にフェルトの元へ走る。


 それは見ていて、迷子になった子が母と再開した時とさほど変わらないなと感じた。まぁ子が帝王様で母がフェルトというところがおかしいところだがな。


「レオンだと……!小僧!性懲りも無く我が愛娘を奪いにきおったか!」


「い、いや俺はそんな事一度も……」


「キャー!私を奪うだなんて!……でもレオンならいいよ?」


「だから俺は……」


「おのれおのれ!我が娘を誑かす罪は重いぞ!即刻し刑に処す!今ここで死ねい!」


「俺、何もしていないじゃないですか!やめてくださいよ!」


「お父さんやめて!そんな事するお父さんなんて大っ嫌い!」


「……小僧命拾いしたな。我が娘に礼を言っておけ。もし、礼儀も知らぬ者であったら今度こそその命散らせてもらう」


「ちょっとお父さん!そんな言い方ないでしょ!……レオン大丈夫だった?お父さん偶にああなるの」


「いや、大丈夫だありがとう」


 そして二人は手を取り合う……。


 ……いやーこれは拍手もんだわ。ドラマ……いや時代劇のワンシーンといってもいいくらいじゃなかろうか。


 俺の仲間達は皆、目を輝かせているご様子。どうやらお気に召したようだ。


「私もあんな恋をしたいわねー」


 そういいながら俺をチラチラ見てくるジュリ。


「わ、わたしはもうちょっとロマンチックな感じがいいです……」


 意外とロマンチストなリン。


「あたしはもう少し楽しい感じがいい」


 性格通りの回答をするミル。


「私は誠実な方が好きです」


 といいながら俺の方に少しずつ近づいてくるレン。


「わたし、マスターと一緒ならなんでもいい!」


 なんてことを言って俺に飛び付いてくるゼロ。


「わ、私だって!あそこで告白が成功してたら今頃は!」


 などと言って皆から一斉に注目を浴びるエルシャさん。


「いやー、なんでそんなにモテるの?モテモテになるスキルでも持ってるの?」


 と言いながらもやっぱり笑っている女神。


 女神の疑問に応えるとするならば、ロリっ子を引き寄せる体質というのがあるからというところだろうか。


 だがエルシャさんはロリという感じではないからな。強いて言うなら経験不足、もしくは男性から優しくされる耐性がないと言ったところだろうな。


 ここまで言うと俺が皆から好意を受けているみたいだな。まぁそんな事はないだろうがな!はっはっは!


 いや、そんな事はどうでもいいのだ。ここで大事なのは帝王様がこっちに来たことだ。


 まぁ入口付近だし、ここには出口もあるから帰る途中なのかもしれないが、そんな様子は見れないからな。フェルトに会いにでも来たのだろうか?


 俺は帝王様に直接聞いてみることにした。


「フェラリオン様はどうしてこちらへ?」


「おお、そうだった。お前を我が城に招こうと思ってな」


「俺をですか?また何故に?」


「私の言ったことをもう忘れたか。後日尋ねることにすると言ったであろう?その為だ」


 城に行って、勇者の事を詳しく聞きたいという事か。


 ちょうど帝王様には言っておかなければならない事があったし、都合がいい。


「わかりました。城へはいつ頃向かえばよろしいですか?」


「何の為に私が来たと思ってるんだ。今からに決まってるだろう」


 なんて傲慢なお人!でも一切不快感を感じないところが素敵!


 ……自分で言っててなんだが、気持ち悪いな。自重しよう。


「それと、お前の仲間たちも一緒に城に来てくれ。是非とも、我が娘達の友になってもらいたくてな」


「それくらいならお易い御用です。俺の仲間も喜ぶでしょうし」


 帝国の城か……。王国の城は王城というし、帝国の城は帝城というのだろうか?まぁとりあえず城に行こう。


「フェラリオン様、城に行く事を仲間に話してきます」


「うむ、分かった」


 俺は皆を一旦集め、城に行くことになったと話をした。


 だが皆は普段通りに、なら行こうと言って即決。俺的にはもう少し感情があらわになると思ったのだが。


「じゃあ、レオンも行こ!ていうか来て!」


「もし行かなかった場合は……?」


「お父さんに言いつける」


「行かせてもらいます」


 なんと、レオンがフェルトに土下座してる。さすがのレオンも帝王様を引き合いに出されたらなす術なしだな。


 とりあえず皆、城に向かう気になったので帝王様の元へ。


「俺の仲間は城に行く事を了承しました」


「うむ。では行くぞ」


 そう言って帝王様は一人で先に行く。それを追いかける様にゼロが走り回り、一緒になってフェルトも走り回る。


 少し遅れて俺達も城に向かい始める。


 城は闘技場の近くにある。歩いて五~六分程の所だ。


 城までの道のりで、俺はことある事に仲間達にツッコミを入れ続け、城に着く頃には息があがっていた。


 するとおもむろにレオンが寄ってきて、俺に耳を貸せと言ってきた。


「お前、いつもこんななのか?」


「あ?何がだ?」


 俺は息があがりながらも、しっかり応える。


「さっきのやり取りがだよ。お前相当苦労してんだなと思って」


「だから言ったろ、こんなのは慣れなんだよ」


「なるほど。今のお前を見ればその言葉がどれだけ重いのか分かるぞ」


「そうか、ようやく分かったか。だったらお前も慣れろよ。案外すぐ慣れるから」


「そうだといいがな……」


 俺はレオンと二人で、少し憂鬱な気持ちを抱えながら帝城へと入っていった。

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