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異世界に転生したので楽しく過ごすようです  作者: 十六夜 九十九
第5章 武道会そして陰謀
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第91話 ひと騒動のようです

 この話で通算100話になります!ここまで頑張ってこれたのも読者の皆様のおかげです!ありがとうございます!

 さて、今年も残すところ後二日程度です。体調管理をしっかりしていいお正月をお迎えください。

 少し時間がかかったが、ようやく宿へと向かい始めた俺達。


 いやー、皆はさっき起きた事なんて忘れてケロッとしてるんだよなーこれが。中々に衝撃的な出来事だった気がするんだけどな。


 ちなみに俺が一番気になってるのはレオンのフェルトが将来どうなるかだな。この二人相性はいいだろうがレオンがフェルトの尻に敷かれるだろうな。というか俺はそっち希望。


 俺と同じ痛みを味わう奴が増えれば俺はハッピーだからな。いわゆる人の不幸は蜜の味ってやつだ。


「あなた結構ひどい事考えるわね。正直引くわ」


「おいジュリ。人の思考を勝手に読んで勝手に引くんじゃない。だいたいお前達のせいでもあるんだぞ」


「なにが?もしかしてあなたが私達の尻に敷かれてること?それなら納得だわ」


「違うし、勝手に納得するな!」


 ジュリに言葉で勝てる気がしない……。だいたい思考読んでるやつに勝てるかっての!ひどいやつだよ全く。


 俺はその後も宿屋に向かいながら皆からなんやかんや言われ、ツッコミを入れていく。


 これがまた疲れるんだよ。ゼロは天然ボケしてくるし、ミルはアホだし、エルシャさんは止まらないし、と様々なツッコミを俺一人で入れる羽目に。俺、一人でだ!


「大事なことなので二回言いました」


「おいそこ、勝手に人の思考を読まない」


「ねえねえマスター。あそこ人がいっぱいいるよ?」


 もうそろそろ宿屋だと言うところでゼロが人だかりを見つけた。と言うか人だかりがある所は宿屋の目の前だった。


「主様。あれは一体なんなのでしょうか?」


「いや、俺に聞かれてもな……」


「楽しそう」


「ミル、お前の頭はお花畑だな」


「それほどでもー」


「褒めてねぇよ!」


 ったく。まあいいや。とりあえず、あの人だかりが何なのか知る必要があるな。


 人の顔を見る限りあんまりよろしくない状況だということは分かる。だからあんまり巻き込まれたくない。


 という事で聞き耳スキル発動。少し会話を盗み聞きするか。


「おいお前本当なんだろうな!」


「ああ!しっかりとこの耳で聞いた!」


「嘘だ!あのお方がそんな事をするはずがない!」


「そうだそうだ!あのお方は我々の神ともいうべき存在なんだぞ!」


「だが、実際には神ではないだろ!人間だ!間違いを起こすことだってある!」


「あ、あのお方に限ってそんなことは……」


「そうとは言いきれないだろ!」


「だ、黙れ!そもそも聞いたって言うのが嘘かもしれないだろ!あのお方が羨ましくて嘘をついたんだ!」


「そんな嘘言うかよ!俺だって信じたくなかったさ!」


「だいたいそんなことをどこで聞いたんだよ!」


「会場の裏でだよ!そこにあのお方がいたのをこの目でしかと見た!あれは絶対にロウリ・コーン様だった!」


 おや?俺の名が何故ここで?いや、実際には偽名なんだが……。


「じゃあそこでそのお方が言っていたというのだな!」


「い、いや、正確にはその周りにいた幼女達だ!しかし、あのお方は満更でもなく、即答しなかった!」


 おやおや?この流れはもしや?


「う、嘘だろ……!あのお方が即答しなかったって……!何故だ!何故なんだ!」


「まさかあのお方が幼女と子供を作る行為をしようなどと……!許せん!許せんぞおぉ!」


 おやおやおや?なんかそのまさかになってきている気が?


「今すぐに捕まえて処刑だ!幼女に手を出そうなどと考えた者はロリコン失格なのだ!あのお方……いや、ロウリ・コーンは今や悪の化身となり、幼女に文字通り魔の手を伸ばそうとしている!そんなのを俺は許せん!」


「そうだそうだ!」


「今一度、我々が立ち上がろうぞ!このロリコン連盟が悪を成敗するのだ!」


 うわぁ。なんという風評被害。思い込みも甚だしい。そもそも俺はロリコンじゃないし!


 それにだ!お前らいつの間にロリコン連盟なんて作っちゃってんの!思ったより人多くて俺引いてるぞ!


「あ、あるじさま?どうされたんですか……?」


 リンが俺を心配そうに見つめてくれる。なんともありがたい事だ。


「いや、なんか俺を処刑するとかなんとか」


「あ、あるじさまを!?ど、どうしてそんなことを……?」


「どうやら子作りどうこうの話が最初の方だけ誰かに聞かれてたみたいだな」


「ど、どうするんですかぁ……」


「本当どうすっかなあ……」


 何故こんなことに……。俺何もしてないのに俺の周りが活発に動きすぎ。そのせいでこの一時間もしない内になんか色々起きるんだよ。


 すると女神が思いつきで口を開いた。


「言い訳してきたら?」


「お前言い訳とは人聞きの悪い。釈明、もしくは弁明だ。俺は何も悪くねえ」


「確かに君は私たちの問いから逃げて、挙句の果てには他の女性に迫った位だな」


「ちょ、エルシャさん!何言ってるんですか!」


「……ふん!」


 えぇ……。俺の周り敵だけなんだけど……。


 するとおもむろにジュリがその集団に近づき始めた。


「お、おいジュリ。何する気だ?」


「私にいい考えがあるわ。任せておきなさい」


 おぉ。それは頼もしい。ちょっとはジュリに頼ってみるか。


 ジュリは俺達とロリコン連盟のちょうど真ん中程に立ち、深呼吸をする。


 そして、遂にジュリの考えとやらが披露される。


「えーロリコン連盟のみなさーん!ここにロウリ・コーンがいますよー!」


 ちょ、おま!馬鹿じゃねぇの!そんな事したら俺が……!


「なんだと!?」


「本当だ!ロウリ・コーンがいるぞ!」


「おい見てみろ!あの男両脇に幼女を何人も連れて、あまつさえ美人を二人を侍らせてるぞ!」


「なんと……!ロリコンにあるまじき行為……!」


「あの男は即刻死刑にすべきだと思うが皆はどうだ!」


「「「死刑!死刑!死刑!」」」


「俺達の心は一つだ!あいつをやっちまえ!」


「「「うおぉぉぉお!!」」」


 おいおい!こっちに向かって大軍が押し寄せてきてるぞ!


 ジュリはその大軍より一早く戻ってきた。


 そしてこう言い放った。


「ゼロ!この人だけ残して転移するわよ!どこか安全な場所にお願い!」


「分かったの!」


 そして、俺だけ残して消えていく皆。転移までが早すぎだろ!前から示し合わせてたみたいに……まさかお前達俺だけハブって念話したろ!


「ロウリ・コーン!貴様だけは許さん!」


「大人しく俺達に殺されろ!幼女は俺達が守る!」


「あんたにあんな裏の顔があったなんてな、失望した!」


「あんたを殺して俺も死ぬ!」


「ちょっと待て!一人だけ違うやつがいるぞ!そいつはいいのか!」


「ロリコンとヤンデレは同時に成り立つ!よって問題は無い!」


 えぇ。愛が重すぎだろぉ……。俺にその愛を向けないでくれ……。


 俺は必死で頭のおかしい軍団から逃げ惑う。


「さあ、覚悟しろ!お前は、大罪を犯したんだ!」


「俺は何もしてねぇよ!だいたい何の罪なんだよ!」


「ロリ聖書、ロリコンの掟、第一章、第一節、第三項。幼女に頼まれても生殖行為をしてはならない!お前はこれを破ったのだ!これは大罪と言っても過言ではない!」


 なんだよロリ聖書って!誰がそんなの作ったんだ!作ったやつ出てこい!ぶん殴ってやる!


 だが、よく考えれば幼女と生殖行為したらそれはれっきとした犯罪だからな。もしやその聖書、割とちゃんとしているのでは?


 ……いかんいかん!考えがロリコンよりになるところだった!たまたまこれがまともだっただけかもしれんのだ!


「おい聞け!俺は何もしてない!俺はあの時ただ狼狽えていただけだ!決して手は出してない!」


「信じられるか!どうせお前はその巧みな言葉で数々の幼女に手を伸ばしてきたのだろ!全くけしからん奴だ!」


「なんてひどい言いがかりをつけてくるんだこのロリコンは!」


 俺はロリコン連盟から逃げながら悪態をつく。


 俺が走った後の通路に何事かと大勢の人が出てくる。


 そして、何人かの住民が一緒になって俺を追いかけてくる。


 ホワィ?なぜ?俺が住民に追いかけられる理由がないんですけど!


 そして、住民を取り囲んだロリコン住民同盟は三手に分かれる。


 そしてさらに住民をかき集め、巨大な波のようにして俺に迫って来る。


 何これ怖い!怖すぎる!未だかつて無いほどに恐怖を感じてるんだけど!俺どうなるの!ねぇ!


 俺の問いかけには誰も答えることはなく、ただ逃げ回ることしか出来なかった。


 ようやく終わったのはロリコン住民同盟が疲れ果てて追ってこなくなった朝方だった。


 俺、決勝戦あるのにどうしてこんなことに……。


 だが、またしても俺の問いに答えてくれるものはいなかった。

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