ふるつわもの
敵の死体から使えそうな剣を奪い取る。自分が持ってみると短い。刃の部分は30センチくらいか。身長が60センチくらいの敵が持っている時には普通の剣に見えていたのに。
剣は若干錆びているがあるだけありがたい。何か持っているという安心感があるのだ。
「他でも戦になってますな。」
野口冬長が周りを見渡している。姿は見えないが剣のぶつかる音は微かに聞こえてくる。
どこでどんな戦いになっているか等さっぱりわからない。
「来る・・・。」
ガサガサと音がし出した。
「おや、若いの。無事かね。」
現れたのは杖をついた老人と平服姿の侍。
「ゲッ!!師匠!」
小野善鬼が顔色を変えて後ずさる。
「なんじゃ!!善鬼か!!儂を見てゲッとはなんだ!!」
雷のごとき声である。
「伊藤殿。話をさしてくれんかね。」
「おおっ!すまんな!!馬鹿弟子を見付けたんでな!!話せ、話せ!!」
老人は坦々としている。
「敵に襲われなかったんですか?大丈夫でしたか?」
その平然とした姿は不思議であったが、心配にはなる。
「なに、太平洋戦争と比べれば温い。散歩と変わらんよ。」
「なっ!!」
まさかの戦争経験者だとは。
「それより若いの。そのカードはどうしたね。他には誰かに会わんかったかね。」
「カードは戦場で死んだ人達の死体から貰いました。死んだ人達以外では、カードの奪い合いをしている人達なら見ましたけど。」
嘘をつく必要はないから正直に話す。
「そうか。儂らと同じか。」
老人は嘆息している。
「いきなり戦場に放り出されて、最悪で。正直、どうしていいのか。」
ポロッと愚直を溢してしまった。
「大事な人が危なくない。それが分かってるだけ幸せと思わんかね?護りたい人は安全な生活をしちょるんじゃから。」
重い言葉である。歳を取れば自分も言えるんだろうか。家族ができれば言えるんだろうか。
「伊藤殿。行こうか。」
老人は歩き出す。
「馬鹿弟子よ!!またな!!ガハハハ!!」
侍も歩き出した。
老人が袋を投げて寄越す。
「他のモンのじゃ。」
草木の中に2人は消えていく。
「若いの。死ぬなよ。」
そんな声が聞こえた気がした。
透のカード
野口冬長・・・豪傑型
小野善鬼・・・剣豪型
六角義治・・・ゲリラ型、弓特化型
洲賀才蔵・・・平凡型(弓にマイナス補正有り)
平古種吉・・・内政実務型