90. 2週目
蛍は、ロボット達の様子を見て、ああ、やっぱりやりすぎだった……と魔法を放ってしまったことを後悔した。
だが、少しすると、ロボット達はまるで何事もなかったかのようにゆっくりと起き上がると、活動を再開した。
「ガシャガシャガシャ」
それからロボット達は、蛍に対し勝ち誇ったように高笑いした。
ロボット達は、蛍のキロライトを全身に浴びて感電してしまったはずが、なぜかほとんどダメージを受けていない様子だった。
すると、蛍との戦闘に唯一参加していなかった現場ロボットの班長が、3体の現場ロボット達の前に進み出た。
「ガシャガシャガシャ。俺達がお前との戦闘に備えて何もしてこないとでも思ったか? 前にここに来た14班の奴が、お前の雷の魔法にやられたと聞いていたから、俺達は今回全員体中に耐電コーティングをばっちりと施工済だ。それに俺達28班は、14班の土木工事班の奴とは違って電気工事が専門だ。お前の雷魔法なんて怖くもなんともないぜ。」
現場ロボット班長は、ガシャガシャ得意げに笑った。
「えっ?」
蛍は班長の発言を聞いて、驚いた表情をした。
「ふん、今さら謝っても許してやらんぞ。俺は仲間にケンカを売ってきた奴を決して許さない。それが俺だ。」
蛍の驚いた顔を見ると、班長はますます得意になった。
それと先にケンカをふっかけてきたのは、ロボット達の方だったはずだが……
(……よかった。)
蛍は、内心ロボット達が全員無事だったのでホッとした。
蛍と現場ロボット達の戦闘を、すぐにジャイアに逃げ帰れるよう、光のすぐ側で観察していたクスは、28班の現場ロボット達が魔法子猫の魔法を受けても、意外と平気だったのを見て、
(あれ? ……これはもしかするとワンチャンあるかも?)
などとは露とも思わなかった。
相手はあの伝説の五色の魔法子猫――もし5人が揃えば、惑星の一つを救ってくれるといわれる破格の実力者である。
クスは、自分に対してだけでなく、五色の魔法子猫達に対しても、舐めきった態度を取り続けている28班の連中を見つめながら、苦々しい顔を浮かべていた。
――これだから都市開発部門のロボットの連中はキライなのだ。奴らは単細胞で、与えられた業務よりも、常に自分のつまらないプライドなんかを優先させやがる。しかも、それがかっこいいことなんだと誤解している。都市開発部門のトップからしてそうなのだから、末端のロボットどももトップの姿勢を見習うことになってしまうのだ。あの連中、今日研究所に来た時も、労いの声を掛けてやったのに、誰一人返事すらしなかった。いわゆる無視というやつだ。むしろ、明らかに私を見下しているように見えた。それが私一人に対してなら、まだ我慢してやってもいいのだが、我が「猫型ロボット実現室」の職員達に対しても同様なのだから、もう我慢ならん。今日この連中を連れて行くと決まった時、果たしてこいつらは私の命令に従ってくれるのだろうかと疑問に思っていたが……やはり考えうる限りで最悪の結末になってしまった。
では、ここでこの現場ロボット28班が一体どこから来たのか……その説明をしておこう。
実はこの14班とか28班というのは、ジャイアの建設現場で働くロボット達に与えられた班番号のことで、そして彼らの現場というのが、現在大規模拡張工事が絶賛進行中の「光の塔物質転送技術総合研究所」の第124期開発プロジェクトなのだった。そして今回、地球にいるミカを捕獲するにあたって、戦争がなく純粋に戦闘を行うロボットが存在しない今のジャイアにとって、とりあえず身近にいる力だけはあるロボットでも派遣しておこうかということになって、研究所内で土木工事や電気工事に従事していた都市開発部門の14班とか28班の現場ロボット達が、一時的な戦力として前回より駆り出されていたのである。
そして、都市開発部門の28班の現場ロボット達としては、自分達が常に格下だと見下している猫型ロボット実現室の連中の指揮下で働くということが、大変面白くなかったので、クスに対しても決して協力的ではなかったのである。
ご読了ありがとうございました。続きが気になった方は、
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