153 タケノコのこのこ 上
イタドーリの採集依頼が良く出る季節。
イタドーリをたっぷり毎日採っている。根っこもだけど上の新芽もね。
そう、アク抜きをして食べられるのを待っているイタドーリが小屋にたくさんあるけど、
採集依頼があるのでまだまだ採るのだ!
少し遠くまで採りに行って、ついでだからちょっと寄っていくかと分け入った山にそれはあった。
光る竹。
いやいや、まず、この世界にも竹あったんだ!?
という驚き。
さらになんていうか。ピッカピカに光る竹が生えているのはびっくりだ。
「ヒカリダケじゃ!」
とキララが教えてくれるけど、うん、見たらわかるわかりやすいお名前、素敵。
若い竹がよく光り、育ってしっかりすると光は鈍くなり、5年も経てば光らなくなるそうな。
これだけ明るいとランプに利用できそうだと思ってしまうけど、切ると光は消えるらしい。
そして、夜は光らないらしい。
そうなのか。
なぜ昼間だけ光るのか。
昼間だけってことは太陽の光を反射拡散しているのだろうか。
でも切ると消えるってどういうことだろう。
謎深い竹だ。
切ったらお姫様が入っていたりは、しないだろうね。
いやいやいっぱい光っているから全部の竹に入っていたら大変だけど。
あ、足元が光っている。
ということは。
よく見るとツンと地面を押し上げたタケノコの先っぽを発見。
「タケノコ!」
タケノコ大好き。これ食べられる?
「キララ、これ食べられる?」
欲望のままに聞いてみた。んーっと考え込むような顔をしたキララ。
「ダメじゃ! アクがすっごい。無理! 嫌! とのことじゃ。地面に頭を出すとヒカリタケは光る。光るとアクが出るのじゃ」
顔をしかめたキララに言われた。そんなにアクがあるの? 処理できないくらい?
そうっぽいね。メンマとして食べるなんてもってのほかなのだろうか。
光ったやつはダメって、そうするとこの地面に頭が出てるやつは全部ダメなのか。
「じゃあ、じゃあ! 地中のやつを掘れば?」
聞いてみる。
「掘って、地面に少しでも出てきたら光ってしまうのじゃ……」
むう。諦めきれず考える。
光る前、地面の中にいる状態で切る?
難易度高すぎでは?
無理かー
と諦めかけたその時。
「地面の中で竹の子どもを採ればいいの?」
ミミに聞かれた。
「で、できるの?」
「下からいく!」
下からかー。いけちゃうのかー。すごいねミミ。
言葉通り、下から行って地下茎で繋がったところを切断。地面から頭を出す前に繋がっているところを切られたタケノコは、その後、土を取り去っても光ることはなかった。
大成功である。
「ミミ、グッジョブ!」
親指を立ててミミの功績を称える。ふふんと胸を張ったミミがとても可愛い。頼りになる。好きだ。
小屋に戻って。
ヒカリタケのタケノコを茹でる。とても茹でる。
ぬかを入れたほうが良いのか。
聞いたことがあるアク抜き方法が頭をよぎった。
ぬかとか唐辛子とかで茹でて、一晩水につけておくとかなんとか。
大根を使うやつもあった気がする。
タケノコ、春になるともらっていたけど、基本的にみなさん処理してからくれるので自分で下処理をしたことがない。
ただ、「今日は食べないで明日食べてね」とか「もう今日食べられるよ」とは言われるので、なにやら処理時間があるっぽい。
タケノコ、シンプルに醤油で炒めて鰹節をかけるの美味しいよね。
でもやっぱりタケノコといえば煮物かな。
何にしても美味しいよね。
想像だけでよだれが出てくるのをこらえる。
茹でてー茹でてー 竹串がすっと刺さるまで茹でて下処理完了。
茹でたてのタケノコを切ってみる。
やらかい穂先と、包丁の刃に少し抵抗する根本。
切ったタケノコをつまんで口に入れると、春の味がした。
「うっまー!」
やわらかい穂先も美味しいけれど、歯ごたえのある根本が私は好きだ。とても美味い。
すごく美味しい。
タケノコってものによってはたまに口の中がイガイガピリピリすることがあるけど、これはそんなことはまったくない!
アクはまったくない! 甘みがあって美味しい!
素敵!
私がにやけながら食べているので、我慢できなくなったのだろう。
キララも手を伸ばしてタケノコを頬張る。
「これは! うんまいのう!」
うんうん。美味しい。キララの笑顔に笑顔で応える。
ミミもガジガジかじっている。どうやら白いところがお気に入りのようだ。確かチロシンだっけか。
「これ、いいね!」
そうだね。アミノ酸だからね。
そのままでも美味しいこのタケノコをどうしてくれよう。
考えていたら、私の左手首に張り付いていたプラムが、プルンと揺れて大きくなった。
「お、起きた?」
ぷるぷると震えて肯定の返事。
プラムはどうやらまだ幼いせいか、寝ている? 時が多い。寝ている時も私から離れるのが嫌なようで、どこかにくっついていたいようだ。
ただ、どこにくっついていてもらうかはちょっと悩ましく。
服の中はちょっとねぇ。
試行錯誤して、腕時計のように左手首の袖で隠れるところにいてもらうこととなった。寝ている時は小さく固くなって動かないので、プリン色の石の可愛い腕飾りを着けている感じとなっている。
起きるとぷるぷるとした魅惑のボディに戻るのでわかりやすい。
そのぷるんとしたプラムをじっと見る。ぷるぷる揺れるその様子を見ていると、食べたいものがふわんと脳裏に浮かんだ。
「うん、イタドーリとコンニャクといっしょに炊こう」
コンニャクとタケノコ、相性が良いから。イタドーリもたっぷりあるからいっしょに。
さすがに異世界にコンニャクはないので千円リピートで買わねばならない。
コンニャク、C◯◯Pのやつが美味くていつもそれを買っていた。
250g88円の履歴を見つけて2個買った。
アク抜き不要と書いてあるけど、少しゆでた方がやっぱり臭みは取れる。
袋から出したコンニャクから、むわっとあたりにコンニャク独特の生臭い匂いが漂う。中に入っている水がかかった手も匂いにまみれた。
「のう、それは、なんじゃ……」
どんびきのキララ。まあ確かに、食べ物としてのビジュアル力は弱い、ね。コンニャク。色がなんていうか、こう。
「これは、コンニャク!」
「こんにゃく?」
ミミがコテンと首をかしげる。
ううむ。コンニャクを説明しろと言われると困るね。
「めちゃくちゃ毒のある芋を三年以上育てて、ものすごく手間ひまかけて食べられるようにしたけれど、栄養はほぼない食べ物」
だったと思うんだけど。
たまにコンニャクを芋から自作する人がいるらしいけど、一軒家の人が作っているのをテレビで見たけど、面倒過ぎる手間暇に見ているだけうへぇってなった。
できたては美味しいのだろうけれど、だろうけど、ねぇ。なぜあんな手間をかけて食べれるようにしたのか、最初に作成方法を確立した人、意味わからない。
「見た目はこんなだけど、食感が面白くて美味しいよ」
もきゅもきゅするよ。
「これ、食べれるの?」
つんつんと、ミミに突かれてコンニャクが揺れる。
その揺れに合わせるようにプラムも揺れる。
いや、待って! ここでまた異種格闘技が繰り広げられるのはかなりまずい。そう思ったがプラムの意識が向いているのはコンニャクそのものではなかったようだ。
コンニャクの袋を前にプラムがぷるんぷるんとおねだりのダンスをはじめた。
「何回も聞くけど、お腹壊さない?」
ぷるん!
「なら、いいよ」
コンニャクの袋がプラムに取り込まれ、消える。
そう、プラムの大好物はこういう包装というか、ぶっちゃけ、異世界のゴミがどうにもこうにも好きらしい。他のものも食べるけど、特に執着するのはプラゴミのようだ。
助かる。とても助かるのだけど、ゴミを食べさせるの、心情的に虐待をしているような気持ちになり、とても複雑。
でも、ぷるんぷるんと喜んでいるプラムはとても可愛い。可愛いからまあいっか。




