転移
この世界というのはクソゲーだ。
やり直しも効かないしレベルも上がらない。
唯一強くなるにはゲーム開始時の親の力と自分の学力だけ。
どんなに人間性の優れたプレイヤーでもこのゲームでは雑魚だ。
そしていつも強く、レベルが上のやつに限って腐っている。
これが今の世界だ。
現在、絶賛不登校中の俺は昼の11時からコントローラー握りしめ戦闘中だ。
最後に学校に行ったのは1年前だ。
中学までは陰キャだったが真面目で成績もそれなりに良かった。
しかし高校に入り、俺はクラスで存在しないものとして扱われた。
理由は極めて単純だ。
デブで顔面偏差値は最底辺だからだ。
中学で陰キャ同士休み時間遊んでいたやつとは全員違う学校。
つまり友達0人スタートの高校生活。
「誰だよ、教室に豚を入れたのww」
「おい、おまえ臭ぇんだよ」
トイレで詰められることは日常茶飯時。
一番酷かったのは同じクラスの美女の制服を無理やり着せさせられたことだ。
極めつけは豚よりもブスと高校の陽キャ集団にいじられ続け、俺は学校から逃げた。
そして現在高校2年の夏。
「ちっ、こいつチート使いかよ」
カタカタという音とTVから出る音が静かな部屋中に響く。
2年前に親や兄弟はこの家から出ていった。
つまりこの家は俺一人、家賃はすべて親が出している。
住ましてやるから関わるなということだ。
不登校になって数カ月は家に来ていた担任も来なくなった。
だが今日は2ヶ月ぶりに外に出る。
今日から発売の新作ゲーム機を買いに行くのだ。
すでに予約済みで後は俺の新しい相棒を受け取るだけだ。
「そろそろ行くか」
俺は時計を見つめた。
俺はいつもの服に着替えリュックサックを背負い家を出た。
「ねえ、あの子ってたしか、、、」
「ええ、島崎さんちの息子の」
「あの引きこもりの子ね」
「アハハハww」
暇そうな近所のママ友集団が俺を見てひそひそ話していたが、どうせろくでもないことだ。
受け取りの家電量販店は歩いて10分ほどだ。
都心の悪いところは人が多いことだが、店が多いのは嬉しい。
ようやく店に着き、いつも自動ドアを通った。
平日の昼間だからか、人が少ない。
時間はたっぷりあるし他のコーナーも寄ろう。
当然いつも行くのはゲームコーナーである。
俺は品定めをするようにゲームソフトを眺めた。
「これはクソゲーか」
見るからにクソゲーなソフトを棚に戻した。
そして前から気になっていたソフトを手に取りレジに向かった。
予約していたゲームと今日見つけたソフトを買えて大満足だ。
「ありがとうございましたー」
店員とテンプレ挨拶も済ませ、俺は足早に家に帰った。
これだけあれば1ヶ月は飽きずに遊べる。
俺が店から出ると、後ろから悲鳴が聞こえた。
「ん?」
強盗犯らしき男は一直線に俺に向かってきていた。
しかし俺の前には女子大生が一人居た。
まずい。
俺は迷うこと無く女子大生庇った。
「うっ!!!」
俺は倒れた。
腹にナイフが刺さっていた。
俺の約16年の人生はもう終わりみたいだ。
眼の前が徐々に暗くなっていく。
近くには救急車を呼んでいるやつもいる。
だがおそらく間に合わない。
俺が死んだら誰が悲しむのだろうか。
親、友人、学校のやつ、ネッ友。
誰もいない。
これが俺という男の短い人生だ。
最後に言い残すとすれば来世は記憶を持ったまま異世界転生でもしたい、それだけだ。
そこで回線が切れたように意識が消えた
気がつくと俺は真っ黒の空間に一人で立っていた。
すると目の前に急に文字が現れた。
「リザルト スコア9999999 評価SSS 報酬 異世界転移」
「ゲームの結果画面か?」
そう思った矢先、画面が変わった
「異世界転移しますか? Yes or No」
俺は迷うこと無くYesを押した。
「まさかな、、」
本当に異世界転移ができるのだろうか。
だが転生ではない”転移”という言葉が引っかかる。
もう押してしまったから変更はできない。
転移ということは転生とは違って今の身体がそのまま異世界に送られるのだろう初手一手、衣失う
「スキンを変更しますか? Yes or No」
まさかスキンまで変更できるのか?
ということは今の豚みたいな体とおさらばができるのだろう。
これもYesだな。
「追加報酬 神滅終剣・ゼロ=オメガ」
なんと強そうな名前なんだろう。
厨二心をくすぐる最強の名前だ。
しかし本当に異世界転移ができるのだろうか。
おそらく昨日読んだ異世界転生系の小説の影響でこれは走馬灯に違いない。
「これより異世界転移を行います」
俺の理解より先に勝手に異世界転移が始まった。
これが走馬灯ではないことに賭けよう。
「ん?」
目が覚めると大草原の上で寝ていた。
草のベットの上に寝そべっている。
俗に言う天国というやつなのだろうか。
ここが異世界であることに期待したい。
前世を無駄にした分、今は無双したい。
俺はとりあえず起きた。
そのときサイズが違う服を着たときのような感覚に陥った。
原因はすぐわかった。
俺の身長や体型が大きく変わっていた。
高身長で筋肉質だ。
「なにこれ?」
おそらくスキン変更がされた影響で前世と真逆になっているのだろうか。
俺は今ここが異世界なのか半信半疑ではある。
だがここが異世界であることにとても期待している。
すると隣に剣を見つけた。
これは神滅終剣・ゼロ=オメガとやらなのだろうか。
一応これは貰っておこう。
武器が一丁前なのに反して俺は今、全裸だ。
ここで誰かに遭遇したらただの変体だと思われてしまう。
なにか着れるものが探そう。
とりあえず近くを散策することにした。
俺一人だけの雑草だらけの大草原は驚くほどに何もない。
そして全裸で片手には立派な剣を持っている変質者だ。
そのとき俺は茂みに気配を感じた
案の定、茂みから小さな何かが飛び出してきた。
小さななにかの正体はゴブリンとしか言いようがない小さな人形モンスターだった。
「本当に異世界に来たのか、、、、」
「グギャオォォ!!」
ゴブリンは俺に襲いかかってきた。
「グシャ!」
思い切り魔剣をゴブリンに上に突き刺し、ゴブリンを一撃で仕留めた。
俺はつい、笑みがこぼれてしまった。
「ついに来たぞーーーー!」
俺は異世界に来たということを実感し叫んだ。
ここからが俺の第二の人生の覇道だ。
記念すべき第1話を御覧いただきありがとうございます!
さて、突然ですが世界を失うというタイトルですが、これにはたくさんの意味を込めています。
今後の話でタイトルの意味が分かっていただくと、より一層おもしろくなると思います。
なので是非今後に期待してください!




