プロローグ
「アクタ逃げてー」
アティーナの叫びが戦場に響いた。見た目20歳くらいの綺麗な深青の長髪をなびかせるアティーナが必死にこっちを見ている。
空から黒いトゲが降り注ぐ中、俺は体をよじりながら回避行動を行った。魔法を用いながら攻撃も相殺していったがトゲの一つが腹に突き刺さる。全身に鋭い痛みが走ったが痛みをこらえて反撃を試みる。
黒い外装に覆われた人影が空中に佇み、フードで顔は隠れ、性別すらわからない。放った攻撃は男のフードを掠める。そこからは銀髪が見えた。
「無駄な悪あがきを...私達の計画の邪魔をするな!!」
敵は両手に魔力を込め放つ
黄色い光線が放った魔法を消していく。
またそれとは別に僕にトドメをさす魔法が紡がれていく。その魔法式は見たことがない複雑なもの、しかしとても綺麗なものだった。
「これで終わりだ」
その瞬間アティーナが反撃をした。魔法最速の光魔法だ。
「なに!!?」
攻撃は腕に当たった。敵は傷口を手で抑え治癒魔法をかける。しかし、敵は余裕な笑みを浮かべている。それを不審に思い探知魔法で周囲を探知しようと思ったその時だった。上空に黄色い閃光が走る。
「時間稼ぎはここまでだ、よくぞここまで耐えたものだな、褒めてやろう」
敵はそう言うと姿を消した。おそらく転移魔法で逃げたのだろう。上空には光属性最上級魔法の魔法式が空中で光っている。この一帯を吹き飛ばす魔力がこめられているのがわかる。アティーナは逃げても無駄だと瞬時に判断して対抗魔法を構築している。上空の魔法式は見たことのない暗号が使われており、俺は必死に魔法式の分解に魔力を絞り出す。魔力を使い果たす勢いで強引に魔法式を分解した。アティーナは上空の魔法士気がなくなるとすぐに自分に駆け寄ってきた。お腹に数十の治癒魔法をかけてくれる。
「大丈夫....絶対に助けるから」
目には絶対に助けるという強い意志と失う怖さが同時に現れているのが僕にはわかった。しかし自分の状態は1番自分が知っている。血を流しすぎた、魔力も使い果たした、もうここまでだろう。
僕は最後の力を振り絞ってアティーナに伝える。
「アティーナ、よく聞いて。君はひとりじゃないたくさんの仲間がいる。その人たちをめいいっぱい頼りな、そしてこの世界を家族や友達を守ってくれ」
アティーナの目には涙がみるみる溜まって流れていく。
「な、何を言っているの約束したでしょ...二人で守るんでしょ!!」
アティーナはそう言いながらどんどん治癒魔法を増やしていく。しかしもう間に合わない。どんどん意識が薄れていく.....




