表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王様と16人のヨメ物語  作者: 九重七六八
胎動モード
64/139

カミラちゃんの悪巧み その4

バーンと体育倉庫の扉が開いた。日の光をバックにしたシルエット。そのシルエットは手にしたものをこちらにぶちまけた!

ざばーっ…と冷たい感覚に俺は我に返った。全身ずぶ濡れでしかも上半身裸。リィが仁王立ちでバケツを下げている。


「魔王様…いや、夏!お前は女と見ると見境なく、こんな少女まで手を出すとは」


「えっ?少女?」


傍らを見ると裸で倒れているカミラちゃんが…


(うそ!まさか、俺、やっちゃたのか?うそだろ?犯罪者だ~)


カミラちゃんは魔界人で見た目はともかく、自分よりもずっと年上であるとはいえ、やはり浮かぶのは


「犯罪者」の3文字である。


「ファナといい、カミラといい、お前は敵の女をモノにするのがお得意と見える」


「いや、これはその、カミラに襲われていたのは自分の方で、えっ?敵?」


「カミラはドミトル伯の妹だ」


「えっ?ドミトル伯の?」


「カミラ・ラ・ツエッペリよ…」


カミラちゃんの自己紹介の回想シーンが巻き戻される。


「ええええええ…」


背中に冷たいものが走った。


「あん…もうカミラダメ…魔王様にもうメロメロなの…」


寝言を言うカミラちゃんを見て、俺はあのキモイケメンのドミトル伯爵に


「お兄さん、カミラちゃんを俺にください!」


と言っている自分の姿を想像した。いや、それよりも立松寺になんて言おう。いや、それよりも目の前のリィだ。立松寺に嫉妬深いのどうの…と言っている割には、このダイナマイトボディのお姉さんも結構な焼きもち屋さんだ。ファナとの一件がばれた時も、最初は殺させかねない勢いだった。こっちは主人たる魔王様であるのに。といっても、リィに対抗できない一般男子程度の力しかない俺。本当に魔王様なのか?


カミラちゃんの首筋に14の文字が…魔王にキスされないと覚醒しない側室の証である。


「序列14位とは、魔界の貴族令嬢の割には低いな。だが、キス以上をしたとなると、その力は侮れない。お前、ちゃんと責任取れるんだろうな」


「俺も男だ。食っちゃった以上は責任を取る!」


「ほう…さすが魔王様だ。それでは華子ちゃんを呼び出すとするか…」


リィが携帯電話を取り出す。


(お前、魔界の悪魔のくせにケータイ持っているのかよ!)


「ちょ…ちょっと待て!リィ、それはちょっと待て」


俺の心臓がバクバク言っている。リィはともかく、彼女の立松寺に見つかったらヤバい…


「何を言う。これで魔王様は戦力増強、ついでに夜の生活も増強ではないか」


(こいつ、完全に俺をいじめているな)


「いや、立松寺には俺から話すから、呼び出すのはやめてくれ!」


「ふふん…じゃあ、止めてやってもよいが、そのなんだ。カミラにしたことを今晩、私にしてくれるなら、その、あの、許してやっても…よ、よいぞ。べ、別にさみしいとかそんなんじゃないからな。お前は最近、私のところに来てくれないから、たまには来てもいいというぐらいで」


(えっ、ここでデレかよ…)


急に顔を赤らめ、モジモジする悪魔のお姉さん。とにかく、立松寺に知られるという最大のピンチは逃れそうだ。


「わ、分かった。今晩、リィのマンションに行くから」


「本当だろうな。約束破ったら、魔槍で一突きだからな」


洒落にもならないセリフ。リィのフィン・マークルで一突きされたら、間違いなく滅殺されてしまう。


「ああ。約束するとも。だから、立松寺にはしばらく内緒で…」


「じゃあ、約束の証だ。私にキスしなさい」


「えっ、今、ここで?」


「わ、私のこと愛しく思っているなら、で、できるはずだ。キスしなさい…というか、キス、してくださいというか」


まともに俺の顔を見ないで話すリィ。こういうところがたまらなくいいのだ。

俺はリィの腰をぐっと引き寄せるとそっと唇を重ねた。

甘い香りが広がる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ