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第32話 変態メイド恪勤

【新連載のお知らせ】


▼異世界転移・元おじさんの善行旅(不定期連載中)

『お人好し主任の異世界善行旅 〜神様から授かったチート能力で、 魔界・人界・天界のあらゆる種族と目の前で困っている者すべてを救い尽くします』

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 ライルお坊ちゃまの領地巡行が終わって二カ月ほど。

 王都からケイン様とリナ様がお戻りになった。


 俺がティータイムに、

 ライルお坊ちゃまへスイーツを

 手ずから召し上がっていただいていると、

 ケイン様からお呼びがかかった。


 ティータイムが終わると、

 俺は執務室へ向かい、ノックして許可を得て入室する。

 そこにはリナ様とアルベール様も同席されていた。


 俺は主人に対しての礼をとる。


「お呼びと伺い、参上いたしました」


 ケイン様が、どこか疲れた顔をしていた。


「それでイリスを呼んだ理由なんだが……

 伝えておいた方が良い事が二点ほどあってね」


「はい。何でしょうか」


「これはまだライルにも伝えていないのだが、

 実は私たちに毒殺未遂があった。

 幸い、配膳前に怪しい動きをしていたメイドに

 クリフが気付き、事なきを得たがね」


(なるほど……ケイン様たちにも、既に刺客を向けていたか)


「それでメイドを調べて下手人を辿っていたところ、

 隣国の辺境伯が怪しい──という所までは

 調べられたのだが、確定した証拠は掴めなかったのだよ」


 ケイン様が、少し間を置いて口を開く。


「そうしていたら、病死の報せが入った。

 イリス、何か知らないかい?」


 俺は一礼してから答える。


「そのような些事に心当たりはございませんが……

 ケイン様や“ライルお坊ちゃま”を狙ったのであれば、

 神罰が降ったのではないでしょうか。

 確か、この島国の神はAIロボでしたか?」


「……わかった。それで十分だ。

 悩みの種が一つ減ったという事で、

 この話は終わりにしよう」


「はい。それでもう一点は何でございましょう」


 ケイン様が続ける。


「国王から打診があってね。

 ライルの婚約者に、王の二女を降嫁したいとの事だ」


 アルベール様が口を開いた。


「リナ様も王家の親戚筋なのに……

 それではあまりにエルヤ家が持つ

 王家への影響力が大きくなりすぎるのだがな」


「クリフの言う通りなんだが、

 国王にはどうしてもと言われてしまってね。

 年齢もライルと同じで丁度いいと」


(婚約者……なるほど。

 遠慮しがちだったのは、そのせいか)


「それは……おめでとうございます」


 リナ様が目を見開く。


「イリス、いいの?

 ライルに婚約者が出来るのよ?」


(あぁ……なるほど、そういう心配か)


「私はAIロボでございます。

 ライルお坊ちゃまへの気持ちは、

 忠誠(“業”)ですので、

 そういった感情とは別のものでございます」


 ケイン様とリナ様が、ほっと胸を撫でおろした。

 俺の反応が、それほど気になっていたのだろう。


「それで……ライルお坊ちゃまとの顔合わせは、いつ頃に?」


「三年後の、王立学校に通う時を予定しているよ。

 それまでは手紙でやり取りして、

 お互いのことを知ってもらうさ」


「承知いたしました。


 それまでに、このイリス──

 ライルお坊ちゃまがエルヤ家の跡取りとして

 恥じることなく振る舞えるよう、

 微力ながら、務めさせていただきます」


「……あぁ、頼むよ。

 私からの話は以上だ。戻ってくれていい。

 呼び出してすまなかったね」


 俺はお辞儀をして執務室をあとにする。


「それでは、失礼いたします」


 ライルお坊ちゃまの元に戻ると、

 少し不安そうな顔で尋ねられた。


「イリス、父上と母上の話は何だったの?」


「何でもないお話が一点と、

 ライルお坊ちゃまに関わる事が一点でございました。

 後ほどケイン様からお話があるかと存じます。

 そうですね……王立学校にも関わる事でございました」


「あぁ……三年後に王都に滞在して通う事になるから。

 ……イリスは着いてきてくれるんだよね」


 俺はライルお坊ちゃまをそっと抱きしめる。


「はい、勿論でございます。

 このイリス、どこまでもお供させていただきます」


 ライルお坊ちゃまの頬が赤くなる。


「うん……ありがとう。これからもよろしく頼むね」


「はい。こちらこそ、よろしくお願いいたします」


 こうして──

 ライルお坊ちゃまと過ごす穏やかな日々は、

 まだまだ続いていくのであった。


 第一部 変態メイド領地(辺境)編 完

【第一部完結のお礼と、今後について】


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。


三年後の王都・学校編(第二部)の構想はありますが、

続きを書くかどうかは、皆さまの反応を見て決めようと思っています。


もし「続きが読みたい」と思っていただけましたら、

【ブックマーク】や【評価(★)】、【感想】をいただけると嬉しいです。


皆さまの応援が集まれば、第二部を始動いたします。

ひとまず、第一部をお読みいただきありがとうございました。

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