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第18話 変態メイド改造(中)

【過去作・他連載のお知らせ】


▼異世界転生・内政群像劇(完結まで順次公開中)

『中華風異世界で目覚めたら、自作一族の少年だった』

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▼異世界転移・元おじさんの善行旅(不定期連載中)

『お人好し主任の異世界善行旅 〜神様から授かったチート能力で、 魔界・人界・天界のあらゆる種族と目の前で困っている者すべてを救い尽くします』

https://ncode.syosetu.com/n5811mi/

 俺は最近なし崩し的に、

 ライルお坊ちゃまの歯磨きをした後、耳掃除をしていた。


 今日も、超マイクロピンセットで“大物”をつまみ上げながら、

 お坊ちゃまに静かに告げる。


「申し訳ありません……ライルお坊ちゃま。

 しばしの間、お別れです」


「えっ? イリス! どこかに行っちゃうの?」


(行っちゃうの……行っちゃうの……行っちゃうの……

 この一言だけで御飯が何倍でも食べられる……

 いや、必要ないけど、心の栄養が満点になる……)


 お坊ちゃまの不安げな瞳が、

 胸の奥をぎゅっと掴んでくる。


 だが──言わねばならない。


「ライルお坊ちゃまが座学を受けている間、

 席を外させていただきます。

 専属メイドでありながら……何たる不忠……」


 深く頭を下げる。


「御昼食のご用意までには、必ず戻ります」


 ライルお坊ちゃまが、ほっと息をついた。


「なんだ、そんなことか……

 たったの三〜四時間じゃないか。

 驚かせないでよ」


(俺にとっては“就寝時以外で三時間も離れる”なんて、

 何事にも耐えがたい苦行なんです)


 俺は、掌に収まる小さな円盤──

 コースターページャーを差し出した。


「何かございましたら、このボタンを押してください。

 すぐに駆け付けますので」


「うん、ありがとう。

 それで、どこに行くの?」


「はい、実は──」


 俺は、エルヤ家御用達の牧場と農場に顔を出していた。


(重曹で誤魔化すのではなく、

 素材そのものの品質を上げる方が急務だ。

 ライルお坊ちゃまが召し上がるものなのだから)


 ちなみに──


(“僕のためなんでしょう?”と言われた時は、

 また鼻血が出た。

 危うく我を忘れるところだった)


 俺は牧場主を呼び出した。


「えっと、ここで畜養している牛は……あれですか?」


「はい、そうです。

 一番良い物をエルヤ様に収めています」


「なるほど……」


(家畜の細胞をナノスキャン。

 ゲノムを完全解析。

 霜降り遺伝子──EDG1の発現を確認)


(この個体とこの個体を交配させれば……

 メンデルの法則通りにいけば三世代──約六年で

 肉質は二〜三割柔らかくなる)


(五世代で、かつての“畜養牛”の肉質が

 二〜三割の確率で再現可能)


(……黒毛和牛の冷凍精子か細胞があれば、

 もっと早く仕上げられるのに。

 口惜しい)


 俺は牧場主に指示を出す。


「では、この個体とこの個体に目印をつけて、

 優先的に交配してください」


「はぁ……かしこまりました」


 農場でも同様に、

 野菜の糖度を司る遺伝子が効率よく発現するかを計算する。


(この株とこの株を掛け合わせれば……

 数世代後には糖度が上がり安定するだろう。)


 さて──次はあれを作るか。


 俺は屋敷に戻り、静かに準備を進めた。

最後までお読みいただきありがとうございました。


本作はプロットなしのライブ感で、毎日コツコツ書き進めております。

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