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第9章:現実のノイズ、虚構の侵食
その夜、零が奪った「聖騎士のリソース」を自分のシステムに統合しようとした瞬間。
(……チリッ……)
あなたの耳元で、静かな電子音が響かなかっただろうか。
あるいは、この文字を追うあなたの指先に、わずかな違和感が。
零のステータス画面が、突然バグり始めた。
そこに表示されたのは、本来ゲーム内のキャラクターには見えないはずの文字列。
【Warning: External Observation Detected】
【観測者:『あなた』の同期率が上昇中】
「……誰だ?」
零が、画面越しに「こちら」を見た。
物語の中のキャラクターであるはずの彼が、第四の壁を認識し始めている。
彼の「渇望」は、ついに二次元の枠を超え、この物語を綴る「システム」そのもの、さらにはそれを観測する「現実」へと手を伸ばし始めたのだ。
「凪……俺の周りだけじゃない。この世界を『外側』から見ている奴がいる。……そいつも、俺のコレクションに加えられるかな?」
零の呟きと共に、現実のニュースサイトの片隅に、ありもしない「渋谷の異常現象」の記事が一瞬だけ表示され、すぐに消えた。




