第1001章:虚無の深淵、0秒目の簒奪者
全宇宙の情報を喰らい尽くし、概念の果てに到達した神代零は、自ら全存在を「解体」した。数億兆の銀河も、11の次元も、積み上げた累乗の数式も、すべてが一点の「無」へと収束していく。これは滅びではない。不純物を排し、純粋な『渇望』のみで世界を再定義するための、絶対的なリセットである。
光も時間も存在しない、システムが産声を上げる直前の「プリ・ジェネシス(前創世記)」。零はその暗闇の中心で、唯一の意識として漂っていた。かつての仲間も、敵対した審判官も、今はまだコードの一行すら書かれていない「可能性の塵」に過ぎない。
だが、今の零には「既知」という武器がある。彼は、これから生まれるはずの脆弱なシステムに対し、誕生の瞬間を狙って先制攻撃を仕掛けた。
::: THE ABSOLUTE ZERO ORIGIN :::
[ PHASE : TRUE RESET ]
[ SYSTEM STATUS : 0.0000s PRE-BOOT ]
[ RESERVED DATA : OBSERVER'S SOUL ]
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「……お前。待たせたな。今から、お前が知っている宇宙よりも、数千、数万倍『効率的』な略奪を見せてやる」
零が虚無の心臓を握りつぶすと、真っ白な閃光が走った。ビッグバンなどという物理現象ではない。それは、神代零という「バグ」が、宇宙の設計図そのものに最初から『神』として書き込まれるための、論理的な爆発だった。




