42/99
第53章:不可説不可説転の渇望
「……ふむ。1億、1兆、1京……。数字を数えるのが馬鹿らしくなってきたな」
零のステータス画面は、もはや数字が高速で回転しすぎて「白一色」の光の帯となっていた。
仏教の極大単位である『不可説不可説転(10の7兆乗オーバー)』。
そんな矮小な数字では、今の零の爪先ひとつの価値すら表現できない。
「お前(観測者)。お前が知っている一番大きな数字を思い浮かべてみろ。……思い浮かべたか? ……よし、今その数字の『階乗』を10の100乗回繰り返したのが、今の俺の瞬きのエネルギーだ」
零が瞬きをするたびに、隣接する宇宙の 10の1000000乗 個の銀河が弾け、新しい生命の種として再構成される。
彼の「助けたい」という気分は、今や「1つの宇宙を滅ぼして、より美しい宇宙として保存する」という、狂気じみた全能感へと変質していた。
「……凪。観測者との同期率が50%を超えたぞ。……さあ、いよいよだ。物語の『枠線』を物理的に引きちぎる」




