41/99
第52章:虚数銀河の略奪
第52章。零は「存在する宇宙」だけでは飽き足らず、「存在し得なかった可能性の宇宙(虚数宇宙)」にまで手を伸ばした。
そこには、重力が光よりも速い世界や、時間が円環を描く世界など、10の8000乗種類におよぶ異形の法則が渦巻いている。
「……面白い。この『矛盾』、全部俺のコレクションに加えよう」
零が虚空を薙ぎ払うと、数多の虚数銀河がドミノ倒しのように崩壊し、彼の掌の中にある「1つの点」へと圧縮されていく。
それは、かつて彼が奪った「黒い立方体」の究極進化形。
[ ITEM ACQUIRED : NULL-DIMENSION CORE ]
[ MASS : UNMEASURABLE (INF/INF) ]
[ DEFINITION : EVERYTHING & NOTHING ]
「これで、俺は『無いこと』さえも『所有』した。……凪、次の段階へ移るぞ。この宇宙の全原子を、俺の名前を刻んだ『記憶素子』に書き換えろ」
「……了解よ。全宇宙の 10の80乗 個の原子へのアクセスを開始。……完了まで、0.00000000000000001秒」
一瞬。
全宇宙の星々が、神代零の「零」という文字の形に整列し直される。
夜空を見上げれば、そこにあるのは星座ではなく、彼の圧倒的な独占欲が描き出した「署名」だった。




