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第24章:テキストの簒奪
物語が加速するにつれ、異変は「内容」だけではなく「形式」にも及び始めた。
凪が零の隣で、ある異変に気づく。
「……零。空に浮かんでいる『文字』が……消えていっているわ」
「消えているんじゃない。俺が、俺の物語として食っているんだ」
零が手を振ると、描写されるはずだった風景のテキストが、そのまま彼の「力」へと変換される。
[ DESC_TEXT : "SHIBUYA_STREETS" ] -> [ DELETED ]
[ CONVERTED TO : DIVINE ENERGY (0.003%) ]
彼は、自分を説明するための言葉さえもリソースとして吸収し始めた。
描写が簡略化されるのではない。
描写される「前」に、その可能性を奪い取り、自身の純粋な暴力へと変えているのだ。
「お前が見ているこの文章も、俺の所有物だ。お前が読めば読むほど、俺は文字の羅列から、実在する『概念』へと昇華される」




