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7.現実主義魔王の王国再編記

 私は今、玉座の間で跪いてる。

 玉座の前にはカーマ。

 後ろの壁に浮かぶ三つの人影を見上げて立ち、祈りをささげてる。

 人影は輪郭がボケボケで上半身だけ。それでも中央の影は背が低いのがわかる。

 これは創造神と交信する儀式。

 彼女は新しい元首誕生の報告を終え、神託を受けているところよ。

 あ、そろそろ終わりそうね。

「うむ。いと高きところに御座おわす御方も、マーラを新たなる元首・真の魔王と認め、マーラ2世を名乗ることをお許しくだされたのじゃ」

 張りつめていた空気が少しだけ緩み、玉座の間がざわつく。

 カーマは私に向き直り、厳かに告げる。

「さあ、マーラ2世よ。今この時より、この玉座はそなたのものじゃ。その名に恥じぬよう、励むがよい」

「はい。いと高きところに御座す御方よりこの地と民を預かる者として、我が名に恥じることなきよう励むと誓います」

 カーマは玉座に置かれた漆黒の冠を手に取り、祝福した。

 その瞬間、冠は少しだけ赤が混じった金色に変わる。

 これが魔族の元首の証。新たな元首が生まれたから、本来の姿に戻ったの。

 カーマは冠を私の頭にのせた。

 冠は吸い込まれるように消え、私と一体になる。

「うむ。歴代の元首様も、マーラ2世をお認めになられたのじゃ」

 カーマは満足そうに頷き、皆に告げる。

「戴冠の儀はつつがなく終了した。妾はこれで失礼するのじゃ」

 私は立ち上がり、退場するカーマを見送る。

 これで戴冠式は終了よ。

 彼女の姿が消えるのを待ち、私は歩を進めた。

 威厳を保つよう心掛け、ゆっくりと玉座に腰を下ろす。

 さて、これからしばらくの間、大変なのよね。

 あ、早速来たわ。

 男性にしては背が低めな好々爺、宰相のダーマよ。

「カーマ様、この度は元首になられましたこと、心よりお喜び申し上げます…」

 そう、何が大変かって、お祝いの挨拶よ。

 挨拶に来るのは全員がリーパの重鎮。

 しかも、私の何倍、下手すりゃ何十倍も年上な人ばかり。

 年功序列が刷り込まれてる日本人な私としては、軽くあしらうことなどできるはずもなく…。

 人数と時間を計算。

 うん、実際に何かするのは明日からね…。



 新婚二日目の夫婦の営みを終えた後、私たちは余韻に浸ってた。

 二人ともマッパじゃなく、昨日もメイドさんに着せてもらった隠す気が一ミリもない衣装を着けてる。

 これ、リーパの上流階級じゃ、そーゆーことをするときの正装だったの。

 サインも兼ねててYesなら布は後ろ、Noなら前なんだって。

「マーラよ」

「なに?」

「そなた、妃を増やす気はないか?」

「ブーーーッ!」

 私は思いっきり噴いた!

 そして反射的に上体を起こす。

「ちょっ、カーマ、いきなり何を…」

 彼女はゆっくり体を起こし。

「実はじゃな、先程神託を受けた折、側妃を三人めとらせるよう言われたのじゃ」

 あー、なるほど。そーゆーことですか。

「そうなんだ。でも、カーマと結婚したばかりだし」

「いや、それは関係ない。そなたが望み、その者が受け入れるなら、それが全てじゃ」

 それは…。うん、一理あるわね。カーマも嫌じゃないみたいだし。

「そっか。じゃあ、まず相手を探さなきゃ、だね」

「ほう、その気はあるのじゃな?」

「う、うん。カーマが嫌じゃないんなら、そーゆーのもいいのかなって」

「妾のことはよい。そなたは側妃を三人娶ることを望む。それで相違ないの?」

「う、うん。でも、僕の立場とかを考えると、誰でもってわけには」

「その心配は無用じゃ。相手はもう決まっておる」

「えっ!?」

 むう。自由恋愛で結婚できる立場じゃないのは理解してる。

 でも、いきなりお嫁さんを連れてこられる展開は…。

「そう驚かずともよい。相手は、そなたも知っておる者たちじゃ」

 …そんな人、いたっけ?

 私はマーラくんに聞いてみた。

<メイドの誰かだと思うんだけど…。ごめん、わかんない>

 いやいやマーラくん。

 メイドさんならご自由にお持ち帰り…は正確じゃないか。ご自由にお召し上がりくださいでしょ?

 わざわざ結婚する?

 そもそもメイドを妻にして公の場に出すのって、リーパの上流階級じゃあり得ないでしょ?

 あ、マーラくん、泣きそうになってる…。

 …ごめんなさい。少し言い方がきつかったわ。

 私はマーラくんを優しくハグ。

 彼が立ち直らないと、私、自然な会話ができないのよ…。

 ふう、もう大丈夫ね。

「考えたけどわかんないよ。一体誰なの?」

「シュリーとサティーとヴァーチじゃ。戴冠式の後で聞いたら、三名とも快く承諾してくれたぞ」

 …その発想はなかったわ。



 そして翌日。

 私とシュリーたちの婚約が発表された。

 式の日取りは未定。

 三人は今日から同居よ。

 …まさか、おねショタなハーレムの主になるとは…。


 この後、私はリーパの体制を再編し、竜王国ジャーラと交渉に入ることになるんだけど、その話はいつかまたってことで…。


 というわけで、第一部完。ひとまず完結です。

 未消化の設定は、別作品で生かせれば…ってところですね。

 お付き合いありがとうございました。


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