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第4話 瑠璃と琥珀のオッドアイが、すべてを見透かしていた春

「……なにかしら?」


バッサリと切り捨てるような声音だった。

しかもその瞳は、明らかにこちらを“鬱陶しいもの”として見下ろしている。

その一言には、「用がないなら二度と話しかけないでね?」という冷え冷えとした拒絶の意思すら滲んでいた。


――いや、まだ出会って十秒も経ってないんだけど!?


さすがに心折れそうになりながらも、俺はなんとか平静を装って肩をすくめる。


「いや、別に用があったわけじゃない。隣の席の神田ゆういちだ。まあ、一応よろしくな」


(……って、めっちゃツンツンしてるじゃん!完全に近寄るなオーラ出てるし!)


(でも……あのスピーチのとき、ほんの一瞬だけ見せた微笑み、あれはマジで天使だったな……。あのギャップ、ズルすぎるだろ……!てか、オッドアイって実在するだな?アニメとかゲームの中だけの存在じゃなかったのかよ……リアルにいたら、そりゃ見ちゃうよな。いや、でも見すぎか?いや違う……こんなにも可愛いこの子が悪いんだ……!)


思考が迷子になるレベルで、彼女のルックスに全振りで動揺していた俺の心の中は、もう大渋滞。


そのときだった。


彼女が、ふいにポカンと口を開けた。

次の瞬間、すっ、と顔を横に向けながら小さく呟く。


「安城恵梨香よ。……ありがとう。目のことを褒めてくれるのは、少しだけ嬉しいわ」


「――え?」


思考が、スパッと停止した。


「……あれ? 俺、今声に出してたか?」


思わず口元に手を当てて顔を隠す。……ヤバい、絶対声には出してないはずなのに、なぜ?

まるで心が読まれたような不思議な感覚だ


そうこうしているうちに、担任の遠坂が再び教室に現れた。どうやら、クラス委員を決めるらしい。正直、そんな面倒な役は絶対にやりたくない。


(……まぁ、みんなそう思ってるはずだろ)


そう内心で思った瞬間――ひとり、手が挙がった。横の席の、安城が静かに立ち上がって言う。


「私がやります。」


ただそれだけの一言だったが、教室の空気が一気に決まりきった。


「……お、おう。じゃあ女子は安城。男子は……えーと……」


(物好きな子だな、おい、あまりの早さに先生もちょっとびっくりしてるじゃねぇか)


「……安城、こういうの好きなのか?」


「別に好きじゃないわ。ただ、私がなるって運命が――最初から決まってたのよ。だから、無駄な時間を省いただけ。」


淡々と答える彼女に、思わず眉をひそめる。


「……本当に、変なやつだな」


(これが……厨二病?ってやつなんだろうか?)


そう呟いた次の瞬間、安城が横目でこちらを一瞥し、まるで“予言”のように言い放った。


「学級委員、足を引っ張らないでね。出席番号が5番なのが、あなたの敗因よ。」


「は……?」


意味が分からず聞き返す間もなく、担任の声が教室に響く。


「男子のほうは決めるの毎回時間がかかるからなぁ……」

「そうだ…今日は4月1日。4+1で5番の神田ゆういち、お前がやれ!」


「な、なんだとぉ!?」


慌てて横を見ると――安城はすでに窓の外を見つめていた。


春の光に透ける金髪が、桜色に揺れていた。


淡々と、何かを知っている者の目で、桜を眺めている。まるで、すべてを最初からわかっていたかのように。


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