42.閑話(一応、三人称)
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『一方その頃、アレックスの祖国(隣国)では――』な実父視点?
三千前半だよ〜
アレックスがハルバード辺境伯領で『のんびりお子様ライフ』を堪能している頃――
「まだ見つからないのか……」
室内には陰鬱な空気が漂っていた。
原因は、この部屋の主『アレハンドロ・レインバレル』――『レインバレル国』の若き王で、アレックスの実父にある。
アレハンドロの最愛『ローズマリー』の忘れ形見で、自身の第一子であるアレックスの行方が、半年以上も経つというのに判明しないからだ。
――それ以前に。いつ、行方が分からなくなったのかさえも、分からない。
アレハンドロは、ローズマリーが死んでからは、王宮内に移動しているものだと思っていた。
妾の子であろうと、数百年ぶりの『王家の色』である『金眼』の王子だ。王宮内に部屋を用意するようにも言った。
同じ王宮にいれば、見かけることもあるだろう、と。
成長する姿を最愛に代わって見守ろう、と。
――いずれ、赤い髪に対するわだかまりが無くなれば……声をかけよう、と……
それなのに――
アレハンドロ自身も、気づかなかった自分も悪い、と反省している。
それでも――
何故、もっと早く気づけなかったのか……
◆
アレックスには生まれた時から、他国から婚約の打診が引っ切り無しだ。それも王族や高位貴族から。「是非、婿に!」と。
アレハンドロ自身、アレックスを外に出すつもりはない。
髪色がどうであれ、アレックスは最愛の忘れ形見だ。近くに居てもらいたい――そう、思っていた。だから断っているのに、次から次へと……!
最近じゃあ、「嫁入りさせてほしい」に変わってきていた。
たしかに『王族の色』である『金眼』ではあるが、妾が産んだ王子なのに……と、アレハンドロや家臣たちも不思議に思っている。
同じ『金眼』である側妃が産んだ第一、第二王女たちへの打診はわかるが。
だが、面白く思わない者もいた。王妃だ。
王妃の子なのに、なぜ、他国から婚約の話がこないのか……――妾の子にはくるのに……! と。
王妃が荒れている。結婚して七年――やっと生まれた第一子で、正当な後継ぎだ。
それなら、と。アレックスと第一、第二王女たちに婚約を打診してきた国へ「交流会をしよう」と、親書を認めていた。
アレックスと第二王子は二つしか離れていない。アレックスへの婿入り、嫁入り相手との年齢差は、第二王子とも合う。
実際、会ってみたら第二王子の方を気に入るかもしれない、と王妃を宥め……。
そして、ふと。そう言えば……アレックスはどうしているか……と。
執務室で親書を認めている時に思い出した。
「アレックスはどうしている?」
アレックスの部屋の手配を任せた侍従に訊ねると、侍従が「アレックス……?」と首を傾げた。
「私の子だ、第一王子のアレックス。あれは今、何をしている?」
そうアレハンドロが訊けば、侍従が挙動不審になった。
何故、すぐ答えられない……?
胸騒ぎを覚えたアレハンドロが、椅子を倒さんばかりの勢いで立ち上がり、出入り口へ向かう。
「陛下! 陛下、どちらへ!」
「アレックスの元に決まってるだろ! そこを、どけッ!」
「陛下!」
侍従と近衛騎士に行く手を阻まれ、イライラするアレハンドロの目の前で扉が開く。
「……何事ですか」
扉を開けたのは、王妃の伯父で、この国の宰相である。
「……お前は知っていたのか? アレックスの居場所を」
「アレックス――殿下、ですか?」
「あぁ、そうだ。二年前、王宮に部屋を用意するように言った――なのに、そこの侍従はアレックスのことを知らないようだ」
アレハンドロは侍従を一瞥し、宰相を睨む。
「……居りませんよ、王宮には」
宰相の言葉に、アレハンドロは怪訝な顔をする。
「なに……?」
「……アレックス殿下は王宮には居りませんと、申しました。
もし――もし殿下が、陛下が王女殿下たちと会話をしているところを目撃し、逆上されては……。王女殿下たちが可哀想ですからな」
「ぐっ……アレックスが、そんなことをするわけがないだろう!!」
「……本当に、そう、言い切れますか?
『自分には話しかけてくれないのに』『自分と同じ目の色の子とは話すのに――なんで……?』と思わないとでも?」
「……ッ」
しらっと、素知らぬ顔で宣う宰相に、アレハンドロは言い返せなかった。
その通りだ、と思ったからだ。だが
「だが、あの子は優しい子だ……! 無闇矢鱈に手をあげる子じゃない!」
乳母の言うことを聞いて、静かにしていられる子だ。母親を気遣える子だ――暴力など……!
握った手を震わすアレハンドロは「――アレックスに会いに行く」と、宰相を扉の前から引かせ、部屋を出た。
*
*
「…………な、んだ……これは」
アレハンドロは宰相と近衛騎士、侍従を連れ、ローズマリーに与えていた、アレックスが居るであろう離宮へときた――のだが。
閉ざされた、警備をする騎士の立たない門。
手入れのされていない、雑草だらけ庭。
――人の気配がしない離宮だった。
「……さすがに、私も……ここまで、とは……」
宰相も顔を青褪めさせるほどの有様。他の者も絶句している。
ここに……本当に、幼子がいるのか……? と。
「――人事と財務の者を呼べ! 騎士団長と近衛騎士隊の隊長もだ!」
そう侍従に命令したアレハンドロは、門を潜り離宮へ向かう。
いつから居ないのか、離宮の中は埃だらけだった。何日――いや、何ヶ月、放置されていたのか。
時たま、動物の物と思われる足跡があるだけ。
アレックスが居たという形跡が見当たらなかった――
*
*
そして判明した、使用人、騎士の職務放棄。離宮の維持管理費、食糧費、王子費の横領――
アレハンドロがアレックスを蔑ろにしていた弊害で起きた職務放棄と横領だった。
乳母の解雇。
王宮の使用人ではない男爵家の使用人に、主が亡くなってからも給料を払い続けるのは……と、辞めさせた。
――その後のアレックスがどうなるか、など考えずに……。
離宮での仕事を放棄した使用人たちと騎士、横領していた者は尋問の末、厳罰に処した。
解雇はもちろんのこと、王族に不敬を働いたのだから、一族郎党で処分となった。
「あんな不義の子……!」「妾の子が……!」と宣った輩もいたが、「……物理的に首が飛ばなくて――よかったな?」と地を這うような声のアレハンドロに黙り、巻き込まれた一族の者たちは、やらかした者を冷めた目で一瞥し、粛々と処分を受け入れた。
処刑されなかっただけマシだ、と。
かなりの数の人間が王宮からいなくなった。新たに使用人や役人を雇わなければならなくなった。
それと並走して、アレックスの捜索をすることに――遅すぎるが。
――そして冒頭に戻る。
「まだ見つからないのか……」
「……何処とも分かりませんからね」
目の下に隈ができた宰相が、疲れた声で応えた。
(……こんなことになるなら、部屋を用意すればよかった)
後悔、先に立たず。
あれだけ無視していたのだから、気にも留めていないと、宰相は思っていた。
ローズマリーが産んだとはいえ、子供には興味がないのだと思っていた。それがまさか、気にかけていたとは……露とも思わないだろう。
使用人も――王子相手に、仕事を放棄するとは思っていなかった。
妾の子であろうと、王の血が流れているのに――――その王が率先して蔑ろにしていたが。
アレックスの行方が分からないことが判明してからの宰相は、仕事が増え、寝不足も増えた。慢性的な頭痛も。
よく顳顬を揉むようになった。
「報告も芳しくありません。
もう冬です――諦められては……?」
(幼子が寒空の下で、いつまで生きられるか……)
そして、いつまでも陰鬱にいてもらいたくない、というのが宰相の本音だ。
ローズマリーが亡くなった時も酷かった。
ガン! という音に、宰相の意識がそちらへと向く。握った拳を震わすアレハンドロが視界に映った。
「……するな……」
「陛下……?」
「勝手に殺すな! 認めない! ――――諦めないぞ……!」
アレハンドロが、ガン! と、机を叩いた。
◆◆
一方、その頃のアレックスは――
「はぁ~……タイガー……もふもふぅ〜……」
辺境伯邸内の、暖炉のある部屋で『従魔』のサーベルタイガーの幼獣『大河』のお腹に顔を埋め、モッフモフになっている冬毛を堪能していた……。
◆◆
二日で書けた……(´⊙ω⊙`)ワォ
なのに何してたかって?AIモードに二次創作書いてもらって遊んでました(笑)
使用人とかの処分の仕方が分からない。
もう少しキツイ方がいいのかなぁ……(ΟへΟ;)
あと、なんか地の文の書き方、変わった気が……




