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ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!  作者: タカハシあん
第12章

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526 殺すなら殺される覚悟を持て

 まず、雷牙をカインゼルさんに紹介した。


 オレの中ではセフティーブレットの精神的支柱な人。この人がいてくれるお陰で纏まっていられるのだ。まずこの人に紹介するのが筋だろいよ。


「そうか。この子も女神に選ばれたのか」


 選んだのはオレであり、決めたのは雷牙だが、まあ、そこは些細なこと。軽く流しておきましょう、だ。


「雷牙。この人はカインゼルさんだ。オレと離れた場合はカインゼルさんの指示に従え。そして、生き残るために動け」


「タカト、どこかいくの?」


「どこにもいかないよ。ただ、もしものときの教えだ。雷牙にはこれからたくさん教えることがある。その一番大切なことを真っ先に教えただけさ」


「ライガ。お前、何歳かわかるか?」


「わかんない。ロダの次に産まれたとは聞いた」


 うん。わからんと、マーダのところに向かい、雷牙はオレたちの家族にしたことを伝えた。


「……そうか。頼む……」


 落ち子(忌み子的な感じ)だが、マーダはそう忌み嫌っている感じはしなかった。どこか心配していた顔をしていた。


「雷牙は何歳かわかるか?」


「確か、十一か十二だ」


「? ビシャと同じ歳か?」


「人間の歳で言えばビシャ十五、いや、十六歳だ。ニャーダ族は三年生きてから歳を数えるのだ」


 はぁ? 十六歳? ってことはメビは十四歳ってことか? 道理で歳にしては大人びた姿をしているわけだよ! 十六歳なら当然……でもないか。肉体は十八歳と十六歳だしな……。


「……い、今わかる衝撃的真実だな……」


「この子は落ち子として十二年生きた、稀有な存在だ」


「ん? 本当なら死んでいても不思議ではないと?」


「ああ。落ち子は悪獣の血が混ざったとして五年も生きられないのだが、この子は十年以上生きた。おそらく小さい体に産まれたことで生き延びたんだろうという噂だ」


 確かに十二歳でこの身長は異常だ。そうとらえられても仕方がないか。


「雷牙、体が痛いとかどこかが変だとかあるか?」


 しゃがんで雷牙の目を見ながら尋ねた。


「な、ない。ちょっと毛がすーすーするくらい」


 毛がすーすー? いきなり毛を洗ったのが悪かったか? 風邪を引いちゃうか?


「寒いならホームに入っててもいいぞ。ミサロに言って温かい食べ物をもらえ」


「だ、大丈夫! おれ、体丈夫だから!」


「そうか? 無理するなよ。体調が悪いときはすぐに言うんだからな」


「タカトさん、また母親モードになって」


 ちょっとミリエルさん。そこは父親って言ってよ! 


「ま、まあ、それはそれとして、だ。マーダ。お前らを捕まえたヤツの処分は任せる。殺すなり解放するなり好きにしていいぞ。マーダが罪に問われることはないから安心しろ。穴を掘るのも問題ないから」


 一応、PC01はホームに入れてある。カインゼルさんなら喜んで穴を掘ってくれるだろうよ。


「……いいのか? 同胞だろう?」


「人間の形をした汚物だ。同胞ではない」


 生きるためにしたことだろう。なら、マーダたちが生きるために殺すのも容認しろ。自分は他者を殺すのはよくて、他者が自分を殺すのはよくない。そんなクソったれなルール、絶対に通らない。


 殺すなら殺される覚悟も持て、だ。少なくともオレはこの世界で強制されたぞ。


「汚物を狩る趣味はニャーダ族にない。せめて逃げ惑うゴブリンくらいにしてもらえないか?」


「ミリエル。頼めるか?」


 さすがに回復薬が足りない。ミリエルにお願いするとしよう。


「わかりました。逃げられる程度でいいんですか?」


「ミリエルなら元気なゴブリンにもできるぞ」


 うちのミリエルは聖女級だからな。永遠に眠らすのも瀕死の者でも回復させることができるんだぜ!


「……そ、そうか。なら、元気なゴブリンにしてくれ。勘を取り戻したい」


 充分勘を取り戻した動きをしてたが、獣人姉妹や雷牙の動きを見たらまだ半分にも届いてないのかもしれんな……。


 皆で村の者たちへ向かうと、予想どおり、子供たちは逃がしていたようだ。


「ミリエル」


「はい」


 ミリエルだけ村の者らの近くに向かわせ、オレらは五十メートルくらい下がった。眠りの魔法同様、回復魔法も広範囲になっちゃうんだよ。


 集中したミリエルからなにか光が放たれ、足を撃った者らが回復していった。うん。もう聖女ってよりチートじゃね?


「お前らに機会を与えてやる。逃げろ。暗くなるまで誰もこの村からは出ないと約束する」


 グロックを抜き、空に向かって撃ってやった。


「逃げろ逃げろ! お前らの命はお前らの努力にかかっているぞ!」


 まるで悪役のセリフだが、こいつらからしたらオレは悪であり、憎い存在だろう。なら、その恨みを糧にして逃げるがいいさ。オレからのせめてもの情けだ。


 助かるために村の者は一目散に逃げ出した。


「マーダ。悪いな。勝手に決めてしまって」


「構わない。ヤツらにおれらの恨みをたっぷり教えられるからな」


「仲間を呼びたいなら連れてきてやるぞ」


 暗くなるまで時間はある。連れてくるには充分だろうさ。


「いや、女たちにやらせる。あいつらには子供を殺されたからな。悪いが、武器を貸してくれるか?」


 ホームからククリナイフやマチェットを持ってきてやった。


 いつの間にか集まっていたニャーダ族の女たち。オレに怒りを向けているわけじゃないのに股間が冷たくなってくるよ……。


「お前たち。殺すのは元気なゴブリンだけだ。人間を殺すことは許さん。いいな?」


 刃物を握った女たちが頷く。


 ………………。


 …………。


 ……。


 うん。今日のことは酒を飲んで忘れよう。

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