1506 *ミシニー* 15
タカトがモリスの民のために築いた要塞なだけに、魔物の襲撃はなく、爽やかな朝がやってきた。
ここにも窯が用意されており、早く起きた者がパンを焼いている匂いが流れている。これだけでも隊商の者は幸せだろうよ。
薪も竃も設置され、ロンレアまで約二日。道もいいってことでスープを作っている隊商もいた。
生憎、クレンジルク商会はそこまで裕福でないので、昨日の残りを腹に入れたら出発となった。
わたしはパンを噛りながら荷台の隅で休ませてもらった。
少し前に海の向こうから攻めてきた国があるらしいが、魔王軍を倒せるセフティーブレットが一国の軍に負けるわけもない。死傷者を出すことなく完封したことだろうよ。
「さらに道が広くなったな」
御者の声が流れてきた。
確かにアシッカから新要塞都市までの道幅も広かったが、新要塞都市からロンレアまでの道幅はさらに広くなり、余裕で馬車が交差できるほどだ。下手したら四台並んでも進めそうだ。
「ここも巨人が多いな」
「かなりの数の巨人がコラウスから離れたって話だ」
逆に、よくコラウスに閉じ籠れていたよなって話だ。あの巨体で食料も少なく、移動も制限される。不満が爆発しなかったことが奇跡だろうよ。
新要塞都市とロンレアの中間にある広場なは明るいうちに到着。ここは川の近くであり、宿場町の様子を見せていた。
「人はどこでも商売を始めるものなのね」
どこからか流れてきたのがわかる者たちが屋台をやっている。いったいどこから調達しているのやら。それだけ流通が盛んってことなのかしら?
「町になるのもそう遠くなさそうね」
畑を耕す者もいるようで、かなりの広さが畑となっており、山羊まで飼っている者までいるようだ。発展が凄まじいわね……。
「女性まで住んでいるのね」
ロンレアの者でないのなら流れてきたということ。復興している最中のロンレアに移るなんて珍しいことだ。モリスの民かしら?
「セフティーブレットの輸送部かしら?」
パイオニアが三台列なって広場に入ってきた。
トレーラーに荷物を積んでおり、一台分を降ろし始めた。
「お疲れ様」
「あ、ミシニーさん。こっちにきてたんですね」
名前は知らないが、顔は何度か見たことがある。冒険者ギルドから移った者だ。
「ええ。輸送部はここにも運んでいるのね」
「人が増えたもので支部を置くことになったんですよ。ルースカルガンだけじゃ追いつかなくなって輸送部も大忙しです。誰かセフティーブレットに入りたいって者がいたら勧誘してください。ミシニーさんなら見る目もあるでしょうからね」
「あはは。見る目があるかどうかは自信ないけど、入りたい者がいたら勧誘しておくよ」
人気がありそうなセフティーブレットでも拡大しすぎて異動が多い。地元を離れるのが嫌って者が多いからそんなに入りたがる者はいないのよね。故に冒険者を引退した年齢の者が多くなるそうだ。
「ロンレアの情報はある?」
「発信器を打ち込んであるのでプランデットで情報を得れますよ」
あ、そうだった。プランデットで情報共有しろって言われてたんだっけ。
「ありがとう。そうするわ」
「なにかあれば支部か城を訪れてください。城にはミリエル様がいるんで」
そんなことも言ってたっけ。なら、城にいってみるか。
「では、お気をつけて」
荷物を降ろした輸送部は、新要塞都市方面に向かっていった。




