1505 *ミシニー* 14
「魔物だ!」
その叫びにこれまでにない歓喜を覚えた。
アシッカからの旅は順調そのもの。護衛とはなにかと考える時間ばかりだった。
それがやっとのことで存在意義を示せる機会がやってきたのだ、歓喜するなというほうが間違っているわ。
他の冒険者もわたしと同じ気持ちなようで、我先に魔物に突っ込んでいっていた。
「モクダンか。久しぶりに見たよ」
人型の体に猪の顔を持つ魔物だ。もう二、三十年は見てないんじゃないかな? わたしの幼い頃は結構いたんだけどね。
やる気に満ちた冒険者により、わたしが到着した頃には半分は地面に倒れていた。鉄印には荷が重いはずなのに、なにか鬱憤を張らすためにいつもの倍の力が出ているようだ。
「皆! 平等にだよ! 一人占めはダメだからね!」
護衛の冒険者は三十人くらいいる。新要塞都市に近づくに連れて隊商も増えてきているのだ。難所の一つだからだ。
結局、わたしが指揮することになり、平等にモクダンを討伐させた。
倒れた数から四十匹はいたんだろう。よくある群れだ。頭はこいつか? あまり大きくないな。若い群れなんだろうか?
「魔石を取り出して。一人一つだ。残りはわたしが買わせてもらうよ」
新要塞都市に冒険者ギルドはあるらしいが、買取りができる規模とは思えない。魔石を山分けにして残りはわたしが買取り、それを山分けさせる。たまにやることなので、冒険者たちも揉めることなく納得してくれた。
「モクダンは纏めて焼くから」
食えるようだが、捌いている時間もないので焼却とする。
これにも文句は上がらず、協力してモクダンを山積みにし、わたしの魔法で燃やした。消し炭になるくらいにだ。
三十分もしないで魔物討伐から処理を終わらせる。驚異的な早さだろう。
「ちょっと小さいが、これなら半年は生きられそうだ」
「こういうことがないと護衛はやってられんよな」
鉄印の冒険者ならモクダンの魔石は美味しいでしょう。紫の魔石はなかなか入手できないもの。銀貨五枚から七枚で買取りしてもらえるはずだ。今はどうかわからないけど。
三十分くらいで鎮火してくれ、土をかけたら出発する。
「しかし、進みが遅いわね」
「新要塞都市にたくさんの隊商がいて混雑しているそうですよ」
様子を見にいった者がそう教えてくれた。
これだと暗くなっても入れないような気がするな。と思っていたら旧要塞があった場所に誘導されてしまった。
「まあ、仕方がありませんな。水と薪はあるそうなので」
隊商の連中もさっさと諦め、野営する準備を始めた。
陽も落ちると、トレーラーをつけたマンダルーガーが馬のエサを運んできてくれた。新要塞都市はそんなこともやっているんだね~。
「よし。見張りの順番と場所を決めようか。あと、買取りした魔石の代金を払うね。なんならカロリーバーでも構わないよ」
わたしはもう食べたくないが、食べたことない者には美味しいものだ。保存も効くので冒険者には人気の品だ。
「カロリーバーで頼む」
「おれも!」
カロリーバーはたくさんあるのでオマケしてあげた。言えばたくさんもらえるんでね。




