1504 *ミシニー* 13
休んだか休んでないかもわからない時間が流れ、ロンレアへと出発することになった。
ここらは広場はあっても町はなく、飲める水が少ないんだとか。樽に水を詰めて馬車一台で運ぶことになった。
セフティーブレットが水を運んでいるようだが、往来が激しくなって水の供給が追いつかないそうだ。
道はちょっと荒いが、眠るにはちょうどいい揺れだ。
なにか馬車の揺れとは違う揺れを感じて起き上がった。
「巨人か」
二人組の男がたくさんの荷物を背負って隊商を通り越していった。
あんなのが歩いていたら魔物なんて近寄ってもこないでしょうよ。ほんと、わたしって意味ないわね……。
広場はセフティーブレットが管理しているので薪や藁が充実している。
「お金もかかるだろうによくやるな」
商人たちはタカトを支持しており、寄付もしているようだが、だからと言って薪や藁、水を運ぶだけでも手間であり、なんの儲けにもならない。
タカトのことだから考えがあってのことでしょうが、わたしにはその真意がまったくわからないわ。そこまですることなの?
「ん? パンの焼ける匂い?」
匂いを辿ると、どこかの隊商の人間だろう。窯でパンを焼いていた。
「窯まであるとは」
広場に窯とか、初めて見たわ。
普通なら匂いに釣られて魔物が寄ってきそうなものだが、魔物の気配などまるでなし。魔物、どこにいった?
違うところに皺寄せがいってそうね。まあ、冒険者にはありがたいだろうけどさ。
もちろん、隊商の護衛は冒険者がやっている。でも、銀印級の冒険者はいない感じだ。鉄印の冒険者がやっているんでしょうよ。
「わたしは、ミシニー。銀──金印の冒険者よ。夜の警備を決めましょうか」
こういうところでは冒険者は協力しないとならない。そして、位の高い冒険者が仕切らないとならない。
「よろしく頼む」
冒険者の世界で金印は絶対だ。けど、面倒臭くもある。特に指揮するのがエルフともなればいい顔をしない者もいるでしょう。
でも、集まった冒険者は、わたしがエルフでも嫌な顔はせず、いや、エルフであることを気にしてもいない様子だった。
「ちなみに、ここまでくる間に魔物とか見たかしら?」
「いや、平和そのものだった」
「ああ、なんか拍子抜けだよな。最低でも一回は襲われるものなのに」
「楽すぎて気が揺るんじまうよ」
やっぱり魔物はいなくなっているのか。
「まあ、魔物がいなくなれば人が悪さをするのが常さ。そのうち山賊とか現れるんでしょうね。今のうちに対人戦闘を訓練しておくといいよ」
昔、王都方面に山賊がいたって話だからね。
「山賊か~。まあ、おれたちの仕事がなくならないならありがたい限りだ」
「そうだな。おれら、冒険者としてしか生きられんしな」
ここにいる者がそうでしょう。わたしも冒険者以外の生き方なんて想像もできないしね。
「なら、お互い、仕事がなくならないよう役目を果たそうか」
見張りの順番や場所を決めるとする。




