1474 *マベルク* 上
タカトたちが帰っていった。
クーズルース・ロクアがまた戻ってくるのは約三十日。短いようで長いな。ちゃんとおれはやれるんだろうか?
なんて不安はあるが、セフティーブレット最強のラダリオンはいるのだから問題はないだろう。やろうと思えば周囲百キロを灰にできるようなヤツだからな……。
「まっ、やることは同じだ」
ここに拠点たる要塞を築く。終われば道を造り、ゴブリン駆除の進撃ルートを確保する。日々なんてあっと言う間に過ぎるだろうさ。
「やるか」
リーダーとして椅子にふんぞりかえっているなんて性に合わない。そもそも建築はドワーフ任せ。オレが指揮することもないのだからラダリオンが薙ぎ倒した木々を集めにいくとする。
さすがにおれの胴以上の木は運べんので枝をマチェットやチェーンソーで払っていった。
そんなことを五日くらい続けていると、ラダリオンがやってきた。
「ミリエルが道を造るために新しい油圧ショベルを買ったから使えって」
新しい油圧ショベル?
「わかった。今出せるのか?」
「うん。もうエンジンはかけて出すだけ」
と言うので広い場所に移り、ラダリオンがホームに入ると、油圧ショベルに乗って出てきた。
油圧ショベルはタカトから習っているので、ラダリオンと交代。油圧ショベルを止めた。
……ラダリオンはホームの外に出すために乗っているだけでした……。
「うん? バケットが違うな?」
穴を掘るものじゃなくてつかむ、ヤツか? なんだ?
「これ、ミリエルから」
プランデットを受け取り、ミリエルが撮した映像から操作法を学んだ。
「グラップルカッターってんだ、これ」
タカトの世界にはなんでもあるものだ。まっ、五十パーシールを使っても五百万円もしたようだがな。
「稼いでも稼いでも暮らしは楽にならず、だな」
タカトの側にいると、稼ぐほど苦労が増えているように思え、豊かになってんのはタカトの周りにいるヤツらばかり。タカトの苦労が報われて欲しいものだ。
「あたしが稼ぐ」
「そうだな。頼むよ。おれはタカトの留守を守るしかできんからな」
帰ってくるまでおれが繋ぐ。それがおれの仕事だ。
「タカトがマベルクを気に入っているのがわかった」
「そうか? おれは二十番目くらいで構わないよ。大事にされるならな」
タカトは守る者が多すぎる。おれなんかついでで構わないさ。おれの代わりとなるヤツは多いんだからよ。
「大丈夫。なにかあればあたしが最前線に立つから。一匹たりとも通さない。セフティーブレットの仲間はあたしが守る」
「ああ、頼むよ。タカトの相棒さん」
ラダリオンの肩を叩いて油圧ショベル、グラップルカッターを動かした。




