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地方生まれの聖女様  作者: タタラ
9/63

「私」と秘密

アルドーさんは次の朝帰って行った、仲間がいて宿に放置してきたらしい。

「忘れてた、怒られる、帰りたくない…」

と言い残して。

次の月までは滞在してるらしいのでまた来るかもしれない、いろいろ話聞きたいし暇つぶしには持って来いだ。


翌日、噂をすれば...向こうからフラフラしながらアルドーさんがやって来た、今日は楽な服装で武装してない。

「ういっす、ファナちゃんは居るか~?」

なんだろ?


「こんにちは、アルドーさん」

にこりと微笑むと”うわー”って顔された、判ってんだよ、おっさんにはばれてるって。

でもこっちにも色々あるんだよ!

「一緒にお出かけしよ~ぜ?ルブルいいか?」

「そうだな、夕暮れまでには戻ってくれよ?」

「うむ、ちゃんと送り届けるよ」

お父さんがアッツサ許可した、珍しいが俺の意志は関係なさそう、まぁいいか。

聞いてみると案内してくれたお礼をしてくれるそうだ、おっさん流石だ。


どこ行こうかと考えてると広場に行くことになった。

出店とかも少しあるしご馳走してくれるらしいやったね。


広場に向かう途中何を食べようか考えてるとロントにばったり出会った、弟のリオンも一緒だおバカ兄弟遭遇率高いな。


当然一緒に行くこととなったがリオンは警戒してるようだ、こんなに人見知りだったか?

それも広場に着くまでだった、おっさんが豚肉串焼きとリンゴに似た果物を買って渡してくれたら兄弟そろってめちゃ嬉そう尻尾がフル回転してそうだぜ。


歩きながら食べるのも楽しい、おっさんは特に注意もしないし冒険者だから気にしてなさそうだ。

うむ旨い、しかし豚肉串焼きは指が汚れるぺろぺろ指を舐めてるとロントがこっち見てた。

残念だなもう食べたぞもう無いぞ?


芝生の上に座り込んでおっさんの冒険譚?を聞いてたリオンがあっさり落ちた。

目を輝かせ鼻息も荒い、男の子だもんな憧れるよな~。

あ、この果物うま。


「アルドーさん冒険者にはどうしたらなれるの?」

っとロントとリオンが質問してたが、それを聞いておっさんは少し困った顔をした。

「お前ら、冒険者なんて止めとけ、この街はいい街だお前ら幸せだぞ」

意外だった、もっと冒険者になる事を勧めて来るかと思った本気でなくても。


冒険者って鎧着て武器もって街の子供からすれば御伽噺から出てきたみたいに見えるんだろうな。

でも、その仕事は命懸けだし、どこでどう死のうが・・・・。

子供の知る事じゃないか、夢や憧れでいいじゃないか、俺はその話を聞きながら考えてた、アルドーさんもまた街を離れたら今度はいつ会えるかわからないし、これが最後になるかもしれない、ばか、それは無いか。


そんな旅から旅の生活が冒険者だ住所不定、職業不詳、腕っぷしが頼りの何でも屋、そう考えると酷いな冒険者・・・


おっさんの顔を見てるとこっちに気づいたのか

「ファナは冒険者になりたいか?」

と聞いてきた、ん~旅には出てみたいが、冒険者かぁ…

「冒険者に女の人っているの?」

ちょっとした疑問だったがおっさんは居るぞっとうんうん頷いた。

「俺の仲間も一人女だ、まぁ俺の嫁だがな」

へ~居るんだって嫁ぇ!


「女の人だと腕力とか男の人に敵わないんじゃない?」

「んなぁこと無いぞ?良く殴られてるしなありゃ痛いなんてモンじゃ無いぞ」

と頬を擦りながら笑い出した。

余程殴られてるらしい自重しろおっさん。

「だよなぁファナに殴られると星が見えるもんな!」

ピク・・・ロント静かにしてようか?


「さて腹も膨れたし、お前ら冒険者になるには体力だぜ!」

ってことで皆で遊ぶことになった、おっさんが俺達を捕まえる所謂鬼ごっこだ。


「オラオラ、捕まったらどうなるか!その体に教えてやるぜ!」

おいおっさん子供に言う台詞じゃないぞ!周りの大人も驚いた顔してんだろ!


でもまぁきゃっきゃ言いながら逃げ惑う俺達やばい超楽しい、笑顔で追いかけて来るおっさん意外に子供好きなのかな。


ロントとリオンは直ぐ捕まったが俺はまだ逃げていた、足の速さには自信がある!

「なんだファナ足速ぇなぁ追いつけねぇ・・・」

おっさんが降参した、ふふ参ったか!


バカ兄弟は罰ゲームにジャイアントスイングみたいにクルクル回されて楽しそうだった。


「俺はちょい休憩するからこれで遊んどけ」

っとおっさんがロントに何か渡してた、それブーメラン?じゃないか。

投げ方をロントに教えて自分は芝生に寝転がった。

ロントがドヤ顔で俺たちに教えてくれたので早速投げてみるロントに向かって!

「うぉ、あぶねぇ」


クルクル回りながら飛んでいく投擲武器?に二人は大興奮だった、しっかしよく飛ぶ、流石冒険者の武器?

キャッチボールの様に3人で投げ回す。


そうしてるとリオンの気合を込めて投げたブーメランがとんでもない方向に飛んで行き木の枝に引っかかった。

「結構高いところに引っかかったね」

「ご、ごめん・・・ごめんなさい」

「兄ちゃんに任せとけ!」


おっさんはお昼寝中で起こすのも悪いし俺達で回収することにした。

だが、ロントお前…木登り苦手か?へっぴり腰でなかなか登っていかない。

「お前、、交代交代、降りろよもぉー」

「ぐっ、高いの苦手なんだよ・・・」


ん~確かにそこそこ高い場所に引っかかってる、まぁ俺なら大丈夫かな。

俺は木の幹を抱きしめるように登って行く、枝に手が届くと後は楽勝だスルスル登って行けた。

やっとブーメランを掴み、下に落とそうとした時、二人の顔が見えた、ロントは真っ赤だし、リオンは笑ってるようだった、なんだ?っと思ってると。


リオンが「ファナお姉ちゃんパンツ見えてる!」と叫びやがった。

自分の服装を思い出す、そりゃ見えるかスカートだし、枝から枝に足広げてたし…

どうも女の子らしさが足りない反省だなこれは、しかし、ロント早く言えよ・・・黙って見てやがったな・・・エロガキめ!


まぁ男の子だし11歳そろそろ異性が気になるお年頃だ、少しエロい方にもな!

今回は俺も悪いし、少し怒るくらいで許してやるよ、うん。

少し高い所から飛び降りて服の汚れを払い落としスカートを直す。

ロントの顔はまだ赤い、口をパクパクさせて何か言いたそうだが、さーて、お仕置きだ。



パシン!


俺はロントの頬を叩いてた、ロントの赤い頬に白い手形が出来た。

あれ何で俺ロント叩いたんだ?あれ・・・何で泣いてんだ?

ボロボロと涙が出て止まらない、口をへの字にして震えていた。

固まってる2人を(バカ兄弟)そのままに俺は駆け出した。


走って家に向かう途中ロントが途中まで追いかけて来て何か言ってたようだが聞こえない、聞きたくなかった。

家に着くとそのまま自分の部屋に駆けこんだ、お父さんとお母さんがどうしたのかと聞いてきたが何でもないと返すしか出来なかった、泣声を聞かれたくなかったんだ。


自分の起こした行動がとても恥ずかしかった、それと同時に罪悪感が湧いてきた。

「うぅ・・俺何してんだ・・俺も悪いのに・・・」

ぐずぐずと訳の解らない気持ちに困惑する自分が居た。


そうしてるとお店の方でアルドーさんの声が聞こえた、俺が急に帰ったので慌てて来たようだ。

両親に謝ってる声が聞こえて来た、さらに罪悪感が湧く、最低だ俺・・・


そうしてるとドアがノックされた、

「お友達が来てるわよ、お部屋に通すわね」

「え、ちょっとまって・・」


涙を拭いてるとドアが開きそこにロントが俯いて立ってた。

ロントが部屋に入るとお母さんは部屋から出て行く、その顔がなんか嬉しそうだった。


お腹の辺りで両手の指を絡ませもじもじしてしまう。

長く短い沈黙に如何すればいいか判らなくなった、謝るべきか、帰ってもらうか。

「さっきはごめん、ほんとごめん」

ロントが少し小さな声で頭を下げて来た、驚くと同時に恥ずかしかったが、

「こっちこそごめん、痛かった?」

頬を指先で掻きながら”うん”と頷いた、ごめんよ!


「見ちゃっのはホントごめん、俺が悪かったよ、早く言えば良かったんだけど・・・その・・・」

「もういいよ、こっちの不注意だったしパンツ見られたのは気にしてないし・・・」


バタリっと扉の向こうで何か倒れる音がした、何かと覗くとお父さんが涙流して倒れてた、聞いてたな…

その物音でお母さんとアルドーさんが来てお父さんを見て引いてた、

「アルドーさん心配かけてごめんなさい」

「いいっていいって仲直りしとけよ~」

って笑って父さんを引きずって行った。


扉を閉めロントを見ると今にも笑い出しそうな顔になってた、

「お前の親父さんホント面白いな!」

ぐあ、恥ずかしいとこ見られた、俺は両手で顔を押えて

「俺ばっかり恥ずかしい思いしてないか?」

とロントを睨むと慌てて何か出してきた、

「これ、お詫びに、、ベリー美味しいぞ」

食べ物で俺の機嫌を取ろうとか、そんなに俺は甘くないぞ?

一つ摘まんで口に入れる、やべぇ美味しい、ベットに腰かけ二人で食べた。

しかし、これどっから?

「なぁロントこれどうしたんだ?」

「ん~どうしようかな、ファナだしなぁ」

意味が解らない、俺だとなんだ?とジト眼で見てみるとロントが顔を近づけて来た、おま、それないきなり、

「耳こっちに内緒だぞ?」

内緒話か驚かせやがって!耳を寄せると少しこそばゆい。

「・・・・・・・・・・・ってことだ」

「それ不味いだろ、大人に言わないと…」

「俺達しか知らない、秘密の通路なんだ、まだベリー沢山実ってたし、俺達だけの秘密なんだ!」

子供だけの秘密、秘密基地みたいな感じか、ちょっとワクワクする。

「明日一緒に行こうぜ、案内してやるよ」

ん~どうしようか危ないことには変わりないが、好奇心が勝ってて”秘密”いい響きだ、こう胸に来るモノがあるよね。

「うん、行こう」

ロントは嬉しそうだ、俺も仲直りできてよかった、するとまたドアがノックされた。


お母さんかなと扉を開けると般若いやお父さんが居た、お父さんが復活してきた戻って来た様だ。

やばい逃げろロント!

ロントに近づかないようお父さんに抱き付き足止めをするとお父さんの表情が般若から恵比須顔になった。

眼でロントに帰るように促すと理解したようだ。

「いけロント今のうちに」

お父さんはロントの名を聞くとまた般若に成りそうになるがぎゅっと抱き付くとフニャフニャと恵比須顔になった。

10歳になり最近スキンシップ足りなかったかなごめんなお父さん、でもちょろいよお父さん今ならどんな我儘も聞いてくれそうな気がする。

「また明日なロント」

ロントが慌てて帰って行った、俺と父さんの姿を見ながらお母さんとアルドーさんが何とも言えない顔していたのが面白かった。


子供だけの秘密、明日が楽しみだ!




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