「私」と白髪の少年
「主様…?」
「ファナ、サン、ダッケ?タマシイ、ヲ、ミセテヨ」
女神アリアが空に四角を描くと細かな数値を現した画面が出て来た。
「ドレドレ、コレハヒドイネェ、トッテモ、フツウジャナイカ」
「タマシイノ、ヨウリョウモ、スクナイシ、コレハ、コレハ」
細かな文字を指で追う様にして笑う。
「キセキヲ、ツカエルヨウニ、シテルノニ、ドウシテ、オイコマレテル?」
「私が対価を設定したので急には発動できないのです…」
少年はポンと手を打ち納得顔をしたが、逆に女神の顔は悔しそうな表情になる。
「マァ、キセキダシネ、ポンポン、ツカワレテモコマルカラネ」
「主様?…ファナさんを…その…どうなさるおつもりですか?」
「ン?チョットマッテ、ココヲコウシテ、コウデ、コウスルト」
白髪の少年は嬉しそうに頷く。
「コレデ、2ツブンクライ、ヨユウガデキタネ」
額の汗を払うようなしぐさをするとアリアに微笑んだ。
「あ、、主様?」
「チョット、ホンニンニ、アッテクルカラ、ジャマシチャ、ダメダヨ」
『パチン』
◇◇◇◇◇
『パチン』
何かが聞こえた、指を鳴らした音?
なんだろう?刺さった音?いいか・・・もうすぐ終わる、目の前に迫る剣が私の喉を貫いて・・・。
「ナンダイ?ナンダイ?アキラメタノカイ?」
「えっ?」
スローモーションの世界に突然白髪の少年が目の前に現れた、あどけない顔に少し不快な感じのする笑みで。
「チョット、キミニ、ソウダンガ、アッテネ」
そう言いながら私に迫り来る剣先を摘まんだ、その瞬間にフィル姉さんもエル兄さんも白銀の鎧も、ピタリと時間が止まったようにその動きを止めている。
「マニアッテ、ヨカッタヨ」
この少年は一体、自分の周囲に何が起こっているのか。
いきなりの事で思考が追い付かない、原因はこの少年だろうが体が動かないので眼だけで少年を追うと、少年は白銀の鎧の周囲を踊る様にして回り眺めていた。
「死に直面して…悪魔でも呼び出しちゃったの?」
女神が居るんだ悪魔だって居るだろう?見るからに怪しい、いきなり現れるし時間も停めたし?死にたくなければ僕と契約とか・・・?
「アクマ、トカヒドイ、イワレヨウダネ、マァ、アイテニスレバ、ソウカモシレナイカ」
ケタケタと少年は笑うが私は声に出していないはずだ、思考を読まれた?女神アリアの知り合いかな?
「ジャア、イドウシヨウカ」
『パチン』
一瞬周囲がぶれると見覚えの無い夕暮れの公園に居た、少年はブランコに座るとゆっくりと漕ぎ始める。
「何処?ここ…」
この異常な状態を考えれば間違い無く女神アリアの知り合いか同族だと思うけど、少年はニコニコしているだけで話が進まない。
どうしようかと考えていると周囲が少し薄暗くなって来た、気になりキョロキョロしていると、
「ムリヤリ、ジカンヲ、トメテイルカラネ、コノソラハ、キミノ、シノ、イメージダヨ」
「…私はやっぱり死ぬんだね」
「マァ、キミガ、アキラメタラネ、ソコデ、ソウダンダヨ、ボクト、ケイヤクヲ、ムスバナイカ?」
私の口の端が引き攣る。
何このベタな展開、女神アリアがまた何か企んでるの?命懸けの魔法少女にでもなるのかな?もう魔女だけど。
少年はブランコから勢いよく飛びフラフラしながら着地をするとビシッと両手を広げポーズを決めた。
「いきなり言われても、その前に契約って何をするの?」
「ボクノ、オネガイハ、ヒトツサ、アノ、ン?、ジョオウ、ダッケ?ト、タタカッテ、ホシイノサ」
「え!あの鎧の中身、魔物の女王なの?大きさ違うし!」
あの芋虫のような下半身がこの鎧の中に納まるとは思えないけど…。
「ンー、チギレタンジャナイカナ?」
「キミガ、ヤイタンダロ?ジョオウハ、イマ、ヒンシ、ダヨ?」
この後、少年は女王の事とか色々楽しそうに説明してくれた、400年前の魔物の大発生とと勇者召喚魔法の事も…しかも…元女神?元勇者?瀕死でこの戦闘能力!アレと戦えって無理ゲーでしょ!
数を揃えて囲めば勝てるとか…そんなレベルじゃない強さだし。
「もし私が断わるとどうなるんですか?」
「キミハシ、シヌシ、セカイガ、ホロビルヨ」
「世界が滅びる?何で…?」
「ジョオウ…カノジョデイイカ、ハ、セカイジュウノ、マリョクヲ、アツメテ」
「モトノ、セカイニ、カエルツモリ、ナノサ…チキュウ、ニネ」
「チキュウ?って地球!」
元女神で元勇者は地球人なの?
「キミト、オナジ、チキュウジン、ダヨ」
「ソシテ、チキュウニカエレバ、カノジョハ、チキュウモ、アソビアキレバ、ホロボスサ、ソノキョウダイナ、マリョクヲツカッテネ」
まてまて強大な魔力が有っても地球で魔法なんて使えないはず。
「地球には魔力・・魔法は使えないよ?」
「フフ、チキュウジャ、(マホウ)ハ、(カガク)ト、ナマエヲカエタノサ」
少年が言うには、魔力が無い人達でも使える様に"魔法"が電気や化石燃料等を使う"科学"に変わりシステム化されていったのが地球だと言う。
地球にも過去には魔法が有ったそうだが近代化が進み消えた行ったのだとか。
魔法の存在する世界で電化製品を見れば驚くだろうし、また逆もそうだ現代人が魔法を見れば手品の一種だと思い信じないと思う。
科学に慣れ世代交代が進むと魔法使いが世界から消えて全く使えなくなるらしい、科学が発達すると魔法が衰退する、どちらも発達する世界も在るようだけど、最後にはどちらかに落ち着くらしい。
少年は説明が終わると右手を差し出してきた。
「ナニ、イマズグニ、タオセト、イウワケジャナイヨ」
「コンカイハ、ボクガ、キョウリョクシテ、カノジョヲ、アノバショカラ、トバスカラネ」
「ドウスル?ファナ、サン」
断われば私は死亡するし二人も…受ければ一応安全になるフィル姉さんもエル兄さんも助かる。
断る理由も無いかぁ~って断れないよねコレ!
「…よろしくお願いします」
「イヤァ、ソウイッテ、クレルト、オモッタヨ」
少年の右手を取りしっかりと握手をした、すると少年はとても嬉しそうに小躍りし始めた。
女神アリアも小躍りしてたな…やっぱり同類?
「ファナ、サン、ニハ、スコシ、ジンキ、ヲワタシテオクヨ」
そう言って何処からか二つのクリスタルを取り出すと、私の胸に押し当てた。
またか、またなのか!
クリスタルは光を発しながら体に吸い込まれる、これって持ってるだけじゃダメなんですか?
私は自分の体を確かめるが特に変化はなかった、がその後告げられた少年の言葉に言葉を失った。
「キニノ、タマシイヲイジッタカラ、イママデツカエタ、マホウガツカエナイカラネ」
「へ?」
「タマシイ、ノ、アキガ、スクナクテ、イロイロイジッタラ、トッカガタニ、ナッタヨ」
「・・・」
「チリョウマホウ、キョウカ、ショウヘキ、アトハ、ツカエマス、テイドニ、ナッタカラ」
「そ、そんな・・・」
得意としてた炎とか使えないって事?困るんだけど!
「ア、アト、ゲンゴノ、イチブガ、チュウトハンパ、ダッタカラ、シッカリ、コテイシトイタヨ」
「さっっから言葉がおかしいと思ったらそれが原因なのかー!」
もう私、改造人間って言われてもおかしくないよね・・・。




