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seventy firstあるいはおまけ

real mermaid

ちょっと後味悪い感じが(笑)

人魚族の伝承より









集落の外の海には恐ろしい魔物がいるから近寄ってはいけない。




言いつけを守らなかったからだ。


人魚の女は集落の祖母の言うことを今更に理解した。…既に遅かった、遅すぎたが。


女は仲の良い男と隠れるように存在している集落から飛び出して旅に出た。

少女は名家の出であった。そんな箱入りの彼女にとって外の世界を語る少年の誘いは魅力的であった。

少年は姿、気配を隠す魔法の道具を持っていた。それを使って何度か集落の外に出たこともあった。

誰もそれに気づくことはなかったが、ただ一人集落でも最長老でもある祖母だけが警告のように

先の言葉を伝えた。その言葉は昔小さなときにおとぎ話のように聞いたものだ。

時がたち少女は美しい女性となり、少年は集落一の槍術と魔術の使い手となり、数少ない魔槍術の

使い手の一人でもあった。宝槍と呼ばれる至高の逸品を預かっていたが、少女が親の決めた許嫁と結婚する前夜

少女とともにそれをもって逃げ出した。


当初は幸せだった。お互いがいればそれだけでよかった。しかし外の世界の生き物に脅える女に男は苛立った。

守ってやる俺がいるのに、と。


生物としては脆弱な人魚ではあるが姿を隠す宝珠と宝槍のおかげで生き延びてきたにもかかわらず、次第に男は

非常に弱い敵に対しては姿を隠さずスピスという最下級の魚類モンスターやゴゴゴカイ等には姿を露出させたまま

戦ってきた。時には守ってやるからと敢えて女も連れて行った。女は其れが怖かった。


男は今回も仲間から逸れたスピスを倒しに行った。姿を現したまま。

しかし、今回だけはそうすべきではなかった。姿を現した男を見ているものがいた。姿と気配を隠せば見失って逃げられたが

今回だけはいけなかった。


通常海には存在しない生き物のフォルム。高感度の触覚、3対の脚、聞いた話より多い翅、そして鋭い針。

それは、 伝承の魔物 ヴェスパ。




寒い海の中にいればまず会うことはなく伝承は伝承のままであったであろうが、出遭ってしまった。


その魔物はあろうことか脳内に直接話しかけてきた。


<ふうん、生き延びていたか。まぁ昔の醜い姿からだいぶ進化したようだな。ようやく人魚といっても差支えはない容姿になったか>


声に気づいた男は上を見て言葉を失った。虫でない者の感性をもってしてもその魔物の姿は

「う、美しい…」

恍惚とした青年は思わず槍を落とし、神ではなく目の前の魔物に信仰を奉げると、新たな信仰対象から




頭から貪り食われた。

それを見て声すら出さなかった女は十分及第点なのだろう。

宝珠を持って見えないはずの女をまるで見ているかのように魔物は眺め、ギリギリで当たるかどうかの域で

女の周りを針でなぞる。

女は絶望して意識を失いかけたとき、魔物は去って行った。


奇跡的にも生存した女は集落に帰り、許嫁と結婚した。その許嫁も女も元を辿ればかつての王族であり、親戚なので

似たような容姿であったが、産まれてきた子供はどちらにも似ておらず敢えて言うならともに逃げ出した男に似ていた。

人々はいっせいに噂し、夫が問いただしたところ妻が遂に認めたので夫婦はその子を捨てたが、子は生き延び多くの血を流しやがて王になった。




人魚 原始魚人から長い時を経て美しく進化した種族。物理的に星に近いためか、星との交信能力が他の人型より高めであり

人型の中で真価が速かったのも相まって『接続術』の一つである『魔法』が発達しており、信仰に厚く臆病。今だ原始魚人に近いグループも存在する。

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