XLVIIIth
今、巣の中が凄くピリピリしています。警戒態勢に情報統制体制。
私と女王と姫たちの中でも有力女王資格者となるものたち、
あと、一匹の働き蜂がが一堂に集められました。
狩りの訓練に出た姫とその部下たちがオスバチ一匹を残して帰ってこなかった。
無論、野生の世界において強者といえど必ずしも生還できるというものではありませんが、
今回の収集は、先代の件が若干絡んできました。
今回の事件は、その姫が狩りに行った際『魚人』共の卑劣な罠にかかり奮戦虚しく惨殺されたとのことです。
ただ一匹死ぬ気で逃げてきたのでしょう。オスバチは既にいつ死んでも不思議ではない状態でした。
会議をするために間に向かう女王を不敬を承知で引き止め
「女王陛下。どうか「お母様、ジャンヌは最期までヴェスパの誇りを貫きました」と姫からお伝えするよう申し受けました」
そう伝えると、崩れ去りました。女王は彼の働きを認め、
オスバチのラヴァルには特別に逃亡罪と不敬罪の免除と功労賞が贈られることになったようです。
ところでそれが先代の件にどう関係があるのかというと、
デュカリスはこの巣に誰よりも長くいるものの誰よりもこの巣を知らないので、
最近のトレンドで、わからないことは調べる前に誰かに聞くことにした。
聞かれた相手は断るはずもなく大女王たるデュカリスに先代の件とやらを説明した。
今回の語り部は今代の女王クティーラである。
先代の急死のため巣が弱体化した際王族種の数が減り、一匹一匹が希少になったというのもありますが、
それよりも、その今回の件にかかわりが深いのは先代女王の死因によるところがありますわ。
99代目女王はかつて負った怪我が祟り、伏せることが多かったらしいのですが、
持ち前の並外れた統率力と飛針の腕をもってなんとか女王としての体裁を保ち
巣を存続させていたようですわ。
そんな中、招かざる客がやってきました。2本の手と大きな頭を持つ生物。
魚人。先代の御代に壊滅させましたので現在このあたりではそう見なかったのでしたけど。
奴らは、ほぼ最低ランクの生き物でありながらそのずるがしこい頭脳をもって、
巣にやってきました。他の生物から集めた濃縮した毒素や、槍のような尖ったものを持ち、
そしてどこから来たのかわからないほどの数だったといいますわ。
女王の容態が悪化して指揮系統が崩れていたからなのか、姫バチ働きバチ共に、
女王の産卵量が非常に少なかったからなのかわかりませんが、
巣のダメージは深刻でした。奴らは幼虫を槍で刺しては連れ去り、
成虫に対しては姫種の虫質やトラップ、圧倒的物量、
そして、恐ろしく強い細長く強靭な生物を連れてで攻めてきました。
幼虫達を喰らうためでもありましょうが、この領海における恐怖の支配者である我々の根絶というのもあったはずです。
持ち帰れない分は徹底して殺しまわったそうですわ。
嫌な話ではありますが、働きバチは勿論、姫バチでさえも女王さえいればまた増えることができます。
よって巣の最優先対象は本来女王です。しかし、細長い生き物と魚人何体かは逃がしましたが、
ようやく奴らをほぼ全滅させ働きバチが勝利を報告しにいったとき、
女王は卵の部屋で息絶えていたそうです。体調悪化が進行して後がない自分よりも
未来を担う幼い命に未来を託したのか、それともほかの理由があったのかは知りませんが。
卵を除く全ての姫種は全滅し、最後に遺された卵だけが唯一の王族でしたが、
働き蜂たちはまた来るかもしれぬ脅威に対しての特別防衛体制と巣の復旧に精一杯で、
あと、釈迦に説法ではありましょうが、姫種の働き蜂に対する命令権は女王あってのもの。
女王亡き巣においてそもそも、女王でもない幼齢幼虫の姫の発言力があったかは知りませんが。
それでも、巣の防衛と復旧においては大女王陛下がおわされることもあり、
働きバチたちも巣から出ることなく働いてくれましたわ。
防衛と復旧だけでもしてくれるのでは大違いです。
でも、エサに困った幼虫が最初に食したのは先代女王の亡骸でしたわ。
もう説明は不要でしょうが、私がその先代女王が最期に遺した卵ですわ。
魚人。後の世では原始魚人と呼ばれるもの。
美しいマーメイドと呼ぶにはあまりにもインスマス面。
次女ジャンヌ 名前の由来はみんな大好き聖処女 JEANNED’ARC
雄蜂ラヴァル 名前の由来はみんな大好き青髭元帥 GILLES DE MONTMORENCY LAVAL




