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第四十六話:炉心の絶対防衛線と、深層のフルダイブ

旧校舎最深部に眠る超巨大演算炉『原初の魔導核』。

暴走冷却を試みる生徒会の前に起動したのは、外部の刺客ではなく、かつて裏組織でノア自身が組まされた冷徹な自律防衛AI《ゴースト》でした。

密閉されたドーム内に降り注ぐ、逃げ場のない一斉掃射!

タクトの全方位偏向陣地で防ぎ止める中、ノアは自身の過去を書き換えるため、意識を炉心深層OSへ直結(フルダイブ)させる――。

「背中は私たちが絶対に守る!」

現実世界の鉄壁の防衛と、仮想空間で幕を開ける天才書記同士の電脳決戦!

息をつく暇もない第七章のクライマックス前哨戦をお楽しみください!


タクトの両腕の青銀の魔導腕甲がキィィィンと高周波の共鳴音を立て、過熱による青白い燐光を噴き上げる。

生徒会6人をドーム状にすっぽりと覆い隠す、多角形の『高密度偏向反発面』が幾重にも組み合わさった半球陣地を瞬時に展開される。

四方八方から降り注ぐ数十条の古代熱線が、タクトの偏向膜に激突した瞬間、直角上方および周囲の何もない空洞の闇へ向けてツルツルと屈折・受け流されていく。

跳ね返された熱線が天井の古代岩盤を焼き溶かし、ドロドロのマグマのような火花と破片をドームの虚空へ撒き散らす。

「ぐ、うううぅぅぅッ……! なんだこの威力、一発一発が軍用戦車の主砲並みじゃねぇか……!」

「熱線の連続照射による魔力磨耗が激しすぎます。偏向角を維持できますか、タクト」

「歯ぁ食いしばって維持しますけどね! 警告も説教もなしに初手から全力全門掃射とか……昔のノア、どれだけ手加減を知らねぇんだよッ!」

光の少年〈ゴースト〉が無表情のまま、空中に浮かぶ古代コードを淡々とスクロールさせる。

『対象の防御術式を解析。屈折率の減衰サイクルを算出――同一座標へエネルギーを集中。突破予測時間:18秒後』

防壁に弾かれた熱線の軌道をミリ秒単位で再計算し、タクトの偏向面の「継ぎ目」を即座に割り出す。

散開していた砲口の照射角度が一斉に収束し、タクトの障壁の天頂部の一点へ向けて集中照射を開始する。

ジジジジッ……!と激しい火花が散り、タクトの腕甲からバチッと過負荷の紫電が爆ぜる。

足元の黒曜石の床にミシミシと亀裂が走り、タクトの膝がわずかに沈む。

「うっそでしょ!? アタシらの防御のクセを一瞬で見抜いて集中砲火に切り替えてきたんだけど!?」

ノアは青ざめつつも、眼鏡の奥で鋭く敵の手順を読み取る。

「……そうです。僕が昔、組織で叩き込まれた迎撃理論は『相手の最大防御面を最短時間で摩耗・破壊すること』……一切の無駄を削ぎ落とした、殺戮のための最適解です」

私は慌てて言う。

「感心してる場合じゃないでしょノア! タクトが消し炭になっちゃう!」

煙を上げ始めたタクトの両腕に向け、セリアがポーチから抜いた白銀のフラスコを直接振りかける。

瞬間、清涼な冷気と超高純度の魔力安定剤がタクトの腕甲へ浸透し、過熱した金属フレームの焼き付きを食い止める。

「『急速冷却潤滑剤』ですわ! これで装甲の融解は防げますが……外側の火力が桁違いすぎますわね」

「助かりますセリア先輩……! けど会長、これ外側からいくら受け流してもキリがねぇっすよ! 大元の炉心から無限にエネルギーを吸い上げてやがる!」

私は魔導指揮杖を握りしめ、タクトの肩を後ろから支えるように立つ。

しかし、集中砲火は止む気配がなく、炉心の過負荷エネルギーと連動して砲台の光芒はさらに凶悪に輝きを増していく。

ノアが前へ進み出て、コンソールの生体端子を見据える。

「……外部からの砲台破壊じゃ間に合いません。僕が直接、主幹OSへ精神を沈めます」

防壁が軋む限界の秒読みの中、ノアが迷いを捨てて自らの意識を炉心の電脳深層へ直結させる決意を固める。


タクトの腕甲から「キキキ……ッ!」と軋むような過負荷の摩擦音が響き、足元の黒曜石の床に細かな亀裂が広がっていく。

障壁の外側では、〈ゴースト〉がミリ秒単位で熱線の集束点をずらし、防壁の接合部を正確に抉り続けている。

「くそっ……! 集中砲火の威力がどんどん上がってやがる! 先輩の冷却剤がなきゃとっくに腕甲ごと消し炭っすよ!」

「外壁の砲台をアイラと私で順次狙撃・破壊することは可能ですか?」

と、リサがノアに問いかける。

しかしノアは即座に首を横に振る。

「不可能です。あの砲台群は炉心の外郭装甲と一体化しています。1基壊す間に、炉心から供給される魔力で2基が自動再構築されます」

「無限湧きってやつ!? マジで昔のノアくん性格悪すぎじゃん!!」

「……否定はしません。当時の僕は、いかに効率よく対象を絶望させて息の根を止めるかしか考えていませんでしたから」

「じゃあ、どうやってあの砲撃を止めるのよ!?」

「大元の命令権限を直接奪います。……僕の魔力意識を、炉心主幹OSの最深部――電脳仮想空間へ【フルダイブ】させます」

セリアは息を呑む。

「フルダイブですって……!? 精神を肉体から切り離して古代演算炉へ直結させるなんて、自我の焼失を招く禁忌の術式ですわ!」

「ええ。通常なら狂気の沙汰です。ですが、あの〈ゴースト〉の基底プロトコルを組んだのは僕自身です。僕の魔力署名と認証コードなら、仮想空間のコアへ侵入できます」

「……ダイブ中のあなたの肉体はどうなるのですか」

ノアは静かに目を伏せる。

「心肺機能と最低限の魔力循環を除き、完全な仮死状態……無防備な標的になります。指一本動かせません」

ノアが視線を画面から外し、中央操作壇の古代金属プレートに刻まれた「掌の形の認証スロット」を見据える。

普段の気だるげな表情を完全に消し去り、自身の『記録魔法』のコアを脳内で励起させる。

ノアの悲壮感を帯びた告白に対し、私は迷いなく大股で歩み寄り、ノアの細い背中を「バシィィンッ!」と豪快に叩く。

よろめいたノアが驚いて振り返ると、私は魔導指揮杖を肩に担いで、瞳に不敵な炎を宿して笑っている。

「……っ! 会長、痛いです……!」

「痛いならまだ生きてる証拠でしょ! 何をビビってんのよ、ノア!」

「あんたが電脳世界へ飛び込んで過去の自分とケジメをつける間、この肉体は私たちが死んでも守り抜くわ! 一歩も、誰一人としてあんたの髪一本触れさせない!」

私ははっきりとノアに言い切る。

「そうっすよ。ノアの背中を守るために、俺の障壁があるんですからね。安心して頭ん中へダイブしてきな!」

「ノアくんが負けたら、アタシの奢りで高級パフェ10杯おごってもらうからね! 絶対に勝って戻ってきなさいよ!」

リサは手帳を閉じ、冷徹に微笑む。

「……過去の影を完膚なきまでに論破してきなさい、書記」

ノアは眼鏡の縁を直し、口元にかすかな笑みを浮かべる。

…「…了解です。会長のその無茶振りに応えるのが、僕の職務ですから」

ノアが操作壇の前へ膝をつき、両の掌を古代金属の認証スロットへ力強く押し当てる。

端末から伸びた青藍色の魔力ケーブルがノアの首筋と頭部へ幾何学パルスを走らせ、双眸孔の奥に金色のバイナリコードが激しく奔流のように巡る。

「システム直結、全感覚遮断――『深層フルダイブ』起動」

ノアの呟きを最後に、ふっと全身の力が抜け、ノアの身体が糸の切れた人形のように前に倒れ込む。

その崩れかけた肉体を、駆け寄ったセナがガシッと抱き留める。

「ナイスキャッチ! ノアくんの本体、しっかり確保したよ!」

「バイタル安定剤を投与しますわ! ここからはわたくしたちの戦いですわね!」

私は指揮杖を構えて前へ踏み出す。

「タクト、障壁を開放しなさい! 迎え撃つわよ!」

ノアの意識が仮想空間の深淵へ落ちていくのと同時に、障壁の外では〈ゴースト〉が古代ゴーレム部隊を招集して強襲を開始する。


操作壇の前で倒れ込んだノアを、セナが素早い手つきで抱え起こし、壇の背もたれへ座らせる。

両手の指先から放った極細の魔導ワイヤーを操作壇の支柱とノアの身体へ幾重にも巻き付け、激しい衝撃波でも決して転倒しないようガッチリと固定する。

「ノアくんの固定完了! ワイヤーでガチガチに縛ったから、震度7が来てもビクともしないよ!」

セリアが調合ポーチから琥珀色のアンプルを抜いてノアの首筋へ直接注入し、淡い光の生体防護膜を展開してフルダイブ中の脳死・魔力逆流を防ぐ。

「『神経安定賦活剤』投与完了ですわ。これで電脳空間からのショックは7割遮断できます。……さあ、いらっしゃいな鉄屑の皆さん!」

私は魔導指揮杖を構えてブリッジの中央へ進み出る。

「タクト、リサ、陣形展開! 一歩もこの壇に近づけさせないわよ!」

黄金の扉側の通路から、ズシン、ズシンと地響きを立てて8体の「重装防衛ゴーレム」がブリッジへ突入してくる。

全身が黒曜石と古代超硬合金で鍛え上げられ、両腕が巨大なパイルバンカーに変形した殺戮兵器。

狭いブリッジを埋め尽くすような密集隊形で、ノアの肉体へ向けて突進を開始する。

タクトがブリッジの中央へ飛び出し、魔導腕甲を叩き合わせて前方の床へ魔力を注ぎ込む。

「狭い一本道で突進とか、俺の障壁のエサっすよ! 『上空へポイ捨て偏向面』ッ!!」

ゴーレム小隊の先頭2体の足元に、急角度の『指向性偏向反発面』を瞬時に隆起させる。

猛烈な勢いで突進してきた先頭の巨体が、見えない光のトランポリンに突っ込んだように「ドォン!」と虚空へ高く打ち上げられる。

「打ち上げ高度、約8メートル。……いただきました」

宙に跳ね上げられた2体、そして後続で急停止しかけた残りのゴーレム6体に対し、リサが眼鏡のブリッジを押し上げながら床と虚空へ同時に指先を向ける。

「『氷葬連環《アイス・バインド》』――連鎖展開」

空中に浮かんだ2体の巨躯に瞬時に分厚い永久凍土の氷晶が巻き付き、動きを完全凍結させた上で重量を数倍化させて床へドスンと叩き落とす。

さらにブリッジの床一面を鏡面氷結させ、突進してきた残りのゴーレムたちの足元を滑らせて隊列を完全に崩壊させる。

「足元を凍結固定。四肢の可動域を奪いました」

そこへセナが氷の上をスケートのように滑走しながら飛び込み、両手から射出した魔導ワイヤーをゴーレムたちの腕や関節へ複雑に巻き付け、互いのパイルバンカー同士を絡め取って自滅を誘発させる。

「ハイ絡まった〜! あんたたちの武器、ぜんぶアタシのあやとりで結び目だらけにしてあげたよ!」

「ナイス拘束! 会長、コアガラ空きっす!」

氷漬けとワイヤーで身動きの取れないゴーレムたちのど真ん中へ、私は音速の踏み込みで割って入る。

生徒会長の魔導指揮杖をくるりと反転させ、琥珀色の瞳に爛々とした魔力を漲らせる。

指揮杖の先端に『瞬間凝固』の圧縮魔力を乗せ、先頭のゴーレムの胸部コアへノータイムで一撃を叩き込む。

「うちの書記の脳みそを邪魔しようとする鉄クズどもは、全部私が生徒指導で叩き割るッ!!」

ドゴォォンッ!と炸裂した圧縮衝撃波が胸部装甲を木端微塵に粉砕し、そのまま流れるような連撃ステップで2体目、3体目の動力核へ次々と指揮杖を撃ち抜いていく。

わずか数秒で4体のゴーレムが青白い動力光を吹き出しながら崩壊・完全沈黙する。

「ギャハハ! 相変わらずアイラちゃんのワンパン、見てて気持ちいい〜!」

飛び散る金属片や熱線の余波をタクトの障壁が完璧にシャットアウトし、背後の操作壇のノアには煤煙一つ届かせない。

リサは背後を一瞥する。

「現実側の迎撃は安定しています。……あとは、あなたの番ですよ、ノア」

轟音と火花が渦巻く現実世界のブリッジ上。

固定されたノアの肉体の額から、眩い金色の古代回路が光の奔流となって立ち昇る。


ノアの意識が暗転から覚めると、足元には鏡のように澄んだ青白い情報面が広がり、頭上からは金色の古代魔道コードが幾重にもカーテンのように流れ落ちている。

仮想空間内に構築されたノアの意識アバターが、普段の桐花学園の制服姿で両の手のひらを見つめる。

(……ダイブ成功。ノイズも遅延もない。セリア先輩の安定剤と、外でタクトたちが作ってくれた防壁のおかげだ)

指先を動かすと、キィンと澄んだ電子音が鳴り、周囲の空間に淡い青藍色のコマンドウィンドウが十数枚も自動展開される。

遠くの現実世界から、仲間たちが背中を守ってくれている温かな魔力脈の拍動が、背筋を通してしっかりと伝わってくる。

「……さて、片付けますか。僕の、一番見苦しい過去を」

回廊の最深部、巨大な球体演算ノードの頂点に、青白い光の粒子で形作られた少年――〈ゴースト〉が無表情で見下ろしている。

その瞳には感情の揺らぎが一切なく、数千行の殺戮ルーチンが猛烈な速度で網膜をスクロールしている。

首をわずかに傾げ、合成音声の冷たいトーンを電脳空間に響かせる。

『――侵入体ノアの仮想アバターを捕捉。フルダイブの確認。思考パターンの再検証を実行』

『理解不能。肉体の生存を他者に委ねる行為は、生存確率を著しく低下させる致命的欠陥。論理的帰結:非合理的エラー』

ノアは静かに歩みを進め、眼鏡の位置を直す。

「……他人に背中を預けることが欠陥に見えるなら、当時の君は本当に世界が見えていなかったんだね」

『現在の状況下における侵入体の勝率――0.02%。深層OSの全防壁プロトコルにより、貴方の意識コードを30秒以内にフォーマットします』

〈ゴースト〉が右手を振り上げると、仮想空間の空が真紅に染まり、数億行に及ぶ「論理爆弾(キル・スクリプト)」の槍が無数に実体化してノアへ照準を合わせる。

かつて組織の中で、恐怖と義務感だけで組み上げさせられた、冷徹極まりない殺傷コードの群れ。

『防衛プロトコル・全層射出。……消滅しなさい、出来損ない』

だが、現在のノアの表情には恐れも迷いもない。

「言ったはずですよ。勝率0.02%の計算は、今の僕には通用しないと」

「仲間を信じることも、理不尽に抗うことも知らなかったあの頃の僕に……現在の桐花学園生徒会書記が、本当のコードの組み方を教えてあげます」

ノアが両手を前方に掲げ、自らの固有魔術『記録魔法』の全リソースを仮想空間へ一気に解き放つ。

宙に数千枚の青藍色のキースイッチが幾何学模様を描いて展開し、ノアの指先が目にも止まらぬ神速のタイピングを開始する。

降り注ぐ真紅の論理槍の雨に対し、ノアが打ち込んだ数万行のカウンターパケットが青藍色の光の奔流となって撃ち放たれる。

仮想空間のど真ん中で二つの巨大な魔導コードが激突し、電子の閃光がドームを真っ白に染め上げる。

冷徹無比な過去の迎撃プログラムと、仲間と共に歩んできた現在の天才書記。

互いの存在理由を賭けた神速の電脳決戦の開幕を告げた。


だからぁ!!!!戦闘描写は苦手だって言ったじゃん!!!!!!(自業自得)

戦闘描写はAIに頼りまくってます、すみません……本当に私の戦闘描写がヘッタクソで……

泣きながらAIに頼って書いてます……AI苦手な方本当に申し訳ない……


ただノアのフルダイブはやりたかった演出なのでヨシとします。


……と、第八章がまだ終わってないのに第九章と第十章まで現在プロットの大元が完成してます、なぜ?

そんな暇あるなら戦闘描写の勉強しなさい。

第八章まだまだ難しい展開が続きます。

どうぞお付き合い頂けますと嬉しいです。

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