♥第1.5話 あなたは覚えていなくて。
「最後まで、気を抜かないで~。勝てるよ!。頑張って!!」
中三の夏、野球部の地区予選大会初戦、私は叫んでいた。
「あっ打たれた。」
私たちは相手チームの四番に打たれた。それが決勝点となりチームは負けてしまった。
私は打たれた瞬間にこう思ったの。
「かっこいい。」一目惚れだった。皮肉なことに私たちを負かした人だ。悔し涙ももちろん出た。けど相手チームの学校のあの人のイソスタをフォローしにいこうか、何回そう悩んだか。
「日高陽くんか。」
接点もないし、叶わない恋だ。諦めよう。心に蓋をしよう。
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「ふー無事に高校みんな受かって良かったね~」
「そうだね。ほんと良かった。」
中学の時からのグループみんなで動いていたから、周りがあまり見えてなかったのかな。
「ごめんなさい。」
いたっ、肩がぶつかった。
「こちらこそ。肩ぶつかっちゃってすみません。」
そう言って顔を見ると、え?なんで?日高くん?
蓋をしていた気持ちがあふれ出て止まらない。
『ちょっと待って心の準備がまだ追いついてないって。おわああああああああ。』
特に話すことなくグループについて行った。
だって、緊張しちゃうんだもん。
クラスも分かったし。日高君も同じクラスだ!!!よっしゃ。
心の中で私は叫んだ。
クラスに行くともっと驚いた。
席が隣じゃん。うっそ。
『神様ありがとう。』
「また、あったね」(喉からかろうじて出た声)
あれ聞こえてない?どうして、うわー緊張しちゃう。
そんなことしてたら先生が来てしまった。
「自分の席座れ~。色々お話あります~。」
しばらく横をチラチラ見ているが気付く気配が全くない。
あっと先生が声を出したので、横を見るのをやめた。
「忘れ物しちゃった、隣の奴と自己紹介しといてくれ~。」
いきなり?
私なら行ける。
「あれ、また会った。私、七澤姫香。となりよろしくね。」
言えたよ、私。よくやったよ、私。
「初めまして、こちらこそよろしく。日高陽です。えーっと趣味はうーん。」
覚えてないのか、大会で少し話したはずなんだけど。ちょっと悲しい。
あと趣味で悩むのかい!野球でしょ!言いにくいのかな?先に言っちゃおうか。
「じゃあ、先に言っちゃおうかな。私は野球観戦が好きなんだ。」
「そうなんだ、プロ野球とか見るの?」
会話続けられてる。
「中学の頃は部活でマネやってて。それで一応?みたいな感じなんだ。」
日高君野球の話するの乗り気じゃないのかな。顔が一瞬曇った、というか今も何言おうか悩んでるし、本当は去年のこと覚えていたり?気まずいのかな。
「そっか。俺の趣味の番だよね。ええと、何にもないな。勉強しかしてなかったからさ、また出来たら教えるよ。」
「何それ、面白い。じゃあ、得意な教科とか聞いてみようかな?」
日高君が答えようとした瞬間に、
「はい、そこまで。静かに~」
聞きそびれちゃった。まあ、席となりだしチャンスあるよね。
話しかけることも出来ず、もう帰る時間になってしまった。
「じゃあね。日高君。また明日。」
「あっうん。また明日。」
友達になれちゃった。明日からの学校楽しみ。絶対振り向かせてみせるんだから。
ご機嫌に中学校の時のグループのメンバーと一緒に帰った。




