第30話 無双
こんばんわ
少し遅れました。
メイグ姫は判断を躊躇った。
優先順位、一位は若葉街である。
お父さんなら、そうする。国よりも人を選ぶ王さまなのだ。
本来なら第六国境警備隊本隊への応援で、先輩の所だろう。
今後の戦いで戦力を失うわけにはいかないのだ。
先輩は、街を襲撃しているブリザード・ワーム以上の数を相手している。
街のみんなは四月世界の住人。
魔法も使えるし武器の扱いも素人ではない。
ないけど、相手が悪い!
みんなが苦しんでいる、ならば助ける!当たり前のことだ!
スケベでどうしようもない王さまだけど、必ず助けに行く。
そして、圧倒的『力』で解決してくる。
戦士ならば戦えと、いつも言っている。
最近は雷帝と炎帝の活躍で、外出を控えているように見えるが、なにやら参謀さんと企んでいるようだけど。
(街だ!急ごう!後続は先輩の所へ向わせよう!私も街のブリザード・ワームを倒して速く移動を!)
しかし、街へ向おうとするが、目下の雷帝からなかなか眼が離せない!
(敵の数が多すぎるよ、いくら魔王級とはいえ、これでは……どうしよう?雷帝さん、グリフォンに掴ませて、この場を逃げようか?)
「……9……10!……下がらないね?では、排除させてもらう!」
(上のグリフォンライダー、聞こえるか?あんた俺の言葉を受け取った人だろ?)
いきなりぶつかってくる念!
(!……ええ、そうよ)
ちょっと怒り気味のメイグ姫。
この念は、余りにも乱暴なのだ!
不躾で獰猛な波動、お父さんに似ているなぁ。
この人、やっぱ私の弟かしら?そう思うと、親近感が湧いてこないでもない。
(離れろ!巻き込まれるぞ!)
(え!?)
一瞬、世界が真っ白になる!
そして雨のように降り注ぐ雷!
「きゃああああああああああああああああああっ!?」
(親近感!?前言撤回いいいっ!!いやぁああああんっ!?)
慌ててその場から離脱するグリフォン!
主を気遣い、見事な反射神経で安全な空域を目指す!
主の方はパニックで、方向も時間経過も分からない!
気がつくと数十万の戦士達が、ドミノのように次々と倒れていく!
(感電だ!それも凄い高電圧の!)
立ち残っているのは、もはや数百名。
ある一定以上の力を持った戦士達だ。
(これは……無双戦士?……お父さん以上?)
畏怖の念を覚えるメイグ姫。
雷帝は聞きしに勝る驚異だ。
この力、軽く一国を滅ぼす!
「結構残ったな、お前ら壊滅だぜ?撤退しないの?」
(彼らは撤退しないわ)
「お、飛んでるねーちゃん、何でだ?」
(……ねーちゃん?)
この言葉使い、もう少しどうにかならないかしら?と思いつつも説明を選択するメイグ姫。
お話しはするが、行動は別行動を選択した。
この場は大丈夫だろう。あの大軍を消し去ったのだ、最早戦いの次元が違う!
そう判断し、雷帝と念話しながら街を目指すことにする。
(彼らは、レッド・ブーツ帝国の民は王の命令に逆らえないのです)
「なんで?」
(ゴンザ、知っていたか?)
(いえ、若、それより負傷者が多すぎます)
軍隊などまったく気にしないゴンザの返事。
「ねーちゃん、街ではなく平原の方へ向ってもらっていいか?ゴンザと代わってくれ」
(……ファー・メイグと申します、私としては街を優先したいのですが)
「ファー・メイグ?俺の妹と同じ名だな?紛らわしいなぁ、ねーちゃん今からメイメイな」
「!!!」
(なんと横暴なっ!)
「メイメイ、早くゴンザと代われ!お前が街に行くよりゴンザが行った方がいい!」
確かに戦闘力なら炎帝が上だろう。
私だって、結構上位なんだけどなぁ、と思いながらも雷帝の戦いを見るとこれは従った方がよさそうだ。
上空より炎帝を見つけると、炎帝はフッ、と消える。
(どんな移動法なの!?)
着陸と同時に部下に念話を送る。
(医療ポッド持ってきて!全部で8つ!)
「響弓のメイグよ!しっかりするのよ!今から私が魔力解放する!私に同調して!」
「……八人に魔力供給するのですか……あなたが持ちませんよ……」
「うるさい!ポッドが直ぐに来る!それまで保たせる!」
ここでメイグ姫の動きが止まる。
「!?」
(この感じ……お、お父さんだっ!ど、ど、どこに!?)
ロロロロロロロッ。
遠雷が響いてくる。
次回投稿は未定です。




