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赤い目の少年冒険譚 (2025.05)  作者: MAYAKO
第一章 四月世界

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第31話 レッド・ブーツ帝国     

こんばんは。

今回はこの時間になりました。


「救助かな?」


 鞭のように撓う青年が、ゆっくりと剣を握る。

 そして、溜息を一つ。


「ねぇ、本隊に異変があったようだけど?全滅っぽい、どう思う?」


「……残存兵、263名。他は戦闘不能……」


「雷帝か?」


「ははっ12万の兵だぞ!雷帝!恐るべし!」


「……あの者達、おそらくこの世界の者ではない……」


 ローブの痩せた男が呟く。


「え?」


「この四月世界の『勇者』であるお前をここまで追い詰めたのだ、あれは異界の者だ」


「でも、僕は雷神王にも負けているよ?」


「……あれは、魔王戦の直後だ、それに聖女が……」


 ここで周囲の雰囲気が変わる。


「……それにしても……」


 勇者と呼ばれた青年が、樽将軍を垣間見る。


「救助?殺気がダダ漏れだ、弱ったオレ達を消しに来たみたいだなぁ……舐められたモノだ、この程度の数で……どれ、起き上がるか……」


 トス!と矢が樽将軍に刺さる。


「……この程度の矢、落とせぬとは……」


 ギラギラと眼を輝かせた兵士達が森の中から現れる。


 ……当たったぞ!……

 ……この三人、討ち取れば……

 ……俺ら幹部、いや将軍だって……

 ……あのお高い勇者、気に入らなかったんだ……

 ……なぶり殺しにしようぜ……

 ……殺した上に階級が上がるなんて……

 ……俺ら、なんて幸運なんだ……


「……欲に目が眩んだか……」


 痩せたローブの男が呟く。


「僕についてくるから……」


「俺は、お前のパーティーの壁役だったのだが?」


 ふらり、と、よろめく樽将軍。

 そしてそのまま尻餅を着く。


「……毒矢か……この程度も解毒できねぇとは、情けなぇな」


「雷帝の攻撃がそれ程凄かったのさ。あいつ、魔王以上だ!」


 飛んでくる矢を次々に討ち払う勇者と呼ばれた青年。

 どうにか立ち上がり、青年の前に立つ樽将軍。


「お前、一人で炎帝と雷帝に向うつもりだったろう?」


「まぁ、ね……この四月世界を助けてほしくて……」


「オレ達じゃ、どうしようもないしな……ごふっ!」


 大量の黒い血を吐き出す樽将軍。


「……毒矢かぁ、勇者の壁役も落ちたモノだ……あばよ、先にいってるぜ……聖女が待っている」


 樽将軍は次々に矢を受け、その場に倒れた。


 ……俺の矢だ!俺の矢が仕留めたんだ!……

 ……ばか、俺の矢が一番多く当たっている!……


「……まだまだ実験を続けたかったが、ここまでか、ここで死ぬのか……さて死後の世界はどのようなものか……」


 ムクリ、とローブの男は起き上がり、その目で次々と襲撃者を焼いていく!


 魔眼である!


 が、ローブの男にも矢が一つ刺さり、二つ刺さり、次々に刺さっていく。


「……雑兵に討たれるとは、我が魔眼も……」


 それがローブの男の最後の言葉だった。


「みんな生れた国が悪かったよね……ここまでかぁ……聖女よ、ごめんよ、何もできなかった……ん?」


 パッ!パパッ!と光りが走る!

 それは、一瞬の出来事であった。


 ドゴオオオオオオンッ!と巨大なイカズチが天から振り下ろされる!

 大地がイカズチの威力で吹飛び、土砂が降ってくる!


 ……!……


 襲撃者はその一撃で全て絶命する! 

 まさに容赦のない一撃だ。


 血と肉の焼ける臭い、バラバラと土砂に紛れ、砕け散った何かが周囲にバラ撒かれる。


「よぉ勇者、久しいのう!」


 大岩のような、巨大な塊が話し掛けてくる。


「……雷神王!? ……皇帝にして国王……北国の魔神か!」


 巻き上がった土煙の中から、スノーホワイト国の国王が現れる!


「壁役と魔法使いは死んだか、ちと遅かったかぁ?まだ間に合うか?」


「速いよ、もう少し遅くてもよかったよ」


「あん?だったらお前が死んじまうじゃねーか?それとも死にたかったのか?」


「……生きている意味がない」


「まぁレッド・ブーツ帝国の国民は全て奴隷だからなぁ、お前、なんで俺の国に生れなかった?」


「……ふふっ……それはそれで、大変そうだけど」


「ふふっ?……おしい、ここで大胆不敵に笑うお前を惜しむ」


 ゴフッ!


 大量の黒い血を吐き出す青年。

 数本の矢が腕に刺さっていた。


 ボトリ、と腐敗して落ちる左腕。特に強力な毒が塗布されていたようだ。


「……何をしに来た?雷……神王……無力な僕を、笑いに来たのか?」


 カラン、と軽い音を立て、剣が右手から滑り落ちる。


「お前には……お前達のパーティーには貸しがある、その回収にきた」


 雷神王は見つめるだけで、何もしない。


「ん……?……ああ、僕達の死体が欲しいのか?すきにするといい、それで王の呪いが解ければ……苦しんで死んでいった者達も少しは浮かばれるさ……」


「そうさせてもらう」


 雷神王は指先を青年に向ける。


 バチッ!


 人差し指から、青白い光りが放たれる!

 その強烈な光りが、青年を打つ!


 ガクンッ!と身体を曲げ、吹飛ばされる青年。


 無造作に大地に転がり、動かなくなった。


「お、お父さんっ!なんてことをっ!酷いっ!」


 来ないって、言ったのにっ!この嘘つきっ!と、いう言葉を呑み込むメイグ姫。

 グリフォンが急降下してくる!


「ん?メグか?」


 言葉は発したが、その目は樽将軍とローブの男を見ていた。


 バチン!バチッ!


 再び指から飛び出る青白い光り。

 それは、二人の将軍を吹飛ばす!


「!?」


「お?どうしたメグ?」


「おと……皇帝陛下!し、死者を打つとは何事です!」


 怒りに震え出すメイグ姫。


 たとえ敵将でも許されないことだ!

 戦士には敬意を!たとえそれが屍でも!あなたが言った言葉ではないか!


「解毒だ」


「え?」


「……人体は液体だ」


「液体?」


「その液体に毒が入ったのだ、それを電気で電気分解し無毒化した」


(作者注:四月世界でのお話しです、そういう設定です!)


「え?」


「ある種の毒は電気分解できる。ワシは一流の電気使い、こういうこともできる。まぁヒーラー不在だから自然とこうなったのだがな。響弓の隊長!よく見ておけ! 」


 パチパチ、とメイグ姫の髪の毛が浮き始める!


「きゃっ!?」


 それと同時に倒れた二人の将軍が浮き始めた!

 目を見張る響弓の隊長。


 コツ、カラン、矢が次々に抜け、浮いた二人の足下に矢の山ができる。


「電気は使い方による。街はどうしたぁ?」


「響弓のメンバーがブリザード・ワームを制圧」


「雪原と残りの第六国境警備隊は?」


「炎帝殿がブリザード・ワームを制圧、残第六国境警備隊は無事です」


「ほう、で、雷帝は?」


「雷帝はレッド・ブーツ帝国の兵と対峙を……」


「ここにいるぜ、メイメイ!」


「「!?」」


 驚き振り返るメイグ姫と雷神王。


「帝国の奴等は、皆寝てるぞ」


「!」


 ちょっと驚いて目を逸らすメイグ姫。


「……ほう、我が後ろを取るとは……お前が雷帝か?」


「ああ、そう呼ばれているけど。あんたは?」


「ワシか?ワシは一介の戦士」


「あんた、強うそうだな?イッカイ」


「え?」


 驚くメイグ姫。


(も、もしかして、イッカイって名前だと思っているの!?あ、だから私の方を向かないでよ!目のやり場に困るのっ!)


 やっぱり、弟かしら?

 このカン違い、とか傍若無人ぶり、なんかお父さんに似ている!

 お父さん、お風呂上がりマッパでウロウロするし!

次回投稿は未定ですが、木曜日夜を目指しています。

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