がしゃ髑髏4
お風呂から上がった辭は、すぐさま部屋へと戻る。
部屋に戻ると、お稲荷さんがトテトテと私の足元にやってきた。
クンカクンカと匂いを嗅いでいる。
とれたのだろうか…
内心冷や冷やしながら白を見た。
「ん。ほとんど落ちてる。
これぐらい落ちれば大丈夫だろう。」
「良かったです…」
辭はほっ…と息をつく。
お稲荷さんは空中を見ながら、ただ…と呟いた。
「油断は禁物だ。」
「はい。それは分かっています。」
「きゅーん!」
「あ、疾風。先程はごめんなさい。」
辭は擦り寄ってきた疾風と戯れている。
クスクスと笑ってはいるが、どこか安心出来ていないことが見てとれる。
そんな辭を白は見つめながら、何もなければいいんだが…と一人ポツリと呟いた。
正直、かなり不安なのだ。
長年生きてきたが、これ程まで強い死臭を嗅いだのは初めてだ。
だが決して、辭の術師としての力を甘く見ているわけではない。
辭は強い。楿家が誇る歴代一。
ここら辺の雑魚なんて手も足も出ないくらいだ。
狗神の時は絶対絶命の大ピンチだったが…
なんせ辭の術のほとんどが狗神に届かなかったんだ。
俺自身は傷を負って地に伏していたし…
その時、どれくらい悔しかったんだろうな。
あれから辭は変わり始めている。
強くなりたいと。
大切なものを守りたいと…
まぁ、無茶をしないだけまだマシか…
目を閉じてそんなことを考えていると、辭から声を掛けられた。
「ん?何だ、辭。」
「お稲荷さん…」
ススッ…とこちらに近寄ってきた辭を白は不思議そうに見上げる。
何故だか辭の周りには黒いオーラが。
嫌な予感がする。
「な、何だよ?」
「いえ。先程、呟きましたよね…?
年頃を気にするのか、と。」
ビクッと心臓が跳ねた。
白は脱兎の如く辭から距離をとる。
「それがどうしたんだよ?!」
「少し、気に障ったもので…」
少しどころか、かなり気に障ったんだろう!
心の中でツッコミを入れながら、白は冷や汗をかいていた。
「お稲荷さん?」
「ひっ…」
「指切り、しましょうか?」
そう言って、ニコリと笑った辭の手にはいつかのあの包丁が握られていた。
「は、早まるな!
まずは話し合いで解決しよう!な?」
「何を言っているのですか?
それは指切りが終わってからですよ?」
ガシリと掴まれる。
「では。」
「では、じゃねぇ!!うわ、待て!待て待て!やめ、やめろ!やめてくれぇー!
ぎゃあああああああー!」
お稲荷さんの悲鳴は、それはそれは分家中にこだました。




