小さな本家の案内人6
白は小首を傾げなから、こちらを見ている。
私はふるふると首を左右に振りながら、何でもないことを伝えた。
本当に退屈しない毎日だ。
そんなことを思いながら、改めて部屋の中を見回してみた。
ここは夢にも出てきた華と鬼火の自室も兼ねた案内人室なのだ。
キョロキョロと辺りを興味深く見ていると、部屋の日当たりのいい壁に淡いクリーム色の家が取り付けてあるのが視界に入った。
これは…華の家だろうか。
見た所、私が小さな頃に遊んだドールハウスのようだ。
背後でお茶の準備をしている彼女を見る。
小さな体で自分の何倍もある大きさの麦茶が入った入れ物を持ち上げている所だった。幸いにもこちらには気付いていない。
懐かしさを感じながら、そっと中を見てみる。
二階建てのドールハウスは思った通り彼女の住まいになっていた。
クローゼットの中には小さなハンガーに彼女の服が掛かっている。
他にも小さな歯ブラシや食器などもあり実に可愛らしい。
ベッドや椅子、ソファーに至っては彼女にはピッタリなサイズだろう。
ザッと見た所では快適そうだ。
小さく笑みを浮かべてしまう。
大切に使ってくれているんだと思うと、とても嬉しい。
「ん?どうした?辭。」
お稲荷さんが私の肩に飛び乗ってくる。
艶やかでいて柔らかい毛並みで首元に擦り寄ってきた。
「これは何だ?随分と小さな家だな。」
「ドールハウスですよ。私が小さな頃によく遊んだ玩具の家です。」
白の毛並みを撫でる。
冷房が少し効きすぎて寒さを感じていた所だった為、このもふもふな毛並みは有難い。
ふと、日の光が部屋を照らした。
日が当たったドールハウスの中はキラキラと輝いて見えた。
『お茶はいったのー!』
「華さん、ありがとうございま」
す…と言いかけて止まる。
何故ならお盆が宙に浮いているからだ。
正しくは華が下から持ち上げていた。
動く度にガタガタと震えていて、お盆の上に乗っているグラスも茶菓子が入ったお皿も揺れている。
まるで大きな餌を巣に持ち帰ろうと奮闘している一匹の蟻みたいだ。
先程の麦茶に関してもそうだが、どうやら彼女はかなり力持ちであるらしい。
これぞ、縁の下の力持ちというものか。
私自身力持ちではない為に、小さな彼女が力持ちであることは素直に凄いと思うが、これは早く手伝ってあげないと危ない。
慌てて駆け寄り、お盆を持ってあげた。
楽になったらしく、ふぅ…と大きく息を吐いている。




